2026年2月28日土曜日

イシイツヤアシブトコバチ

日曜日に採ったコバチ。

イシイツヤアシブトコバチ
Antrocephalus ishiii
よく見かけるキアシブトコバチと違って黄色い模様がない種類。

この日は2月と思えないくらい暖かく、土留めの鉄パイプで日向ぼっこしていたのを拉致。

アシブトコバチの分類は以前までは
A revision of the Chalcididae (Hymenoptera) of Japan with descriptions of sixteen new species.日本産アシブトコバチ科の再検討、及び16新種の記載(1960,土生)
という英語の論文しかなかったが、

渡辺恭平:日本産アシブトコバチ科の同定資料と神奈川県立生命の星・地球博物館の収蔵標本目録 p34-79

という和文の報文がでたのでとても判り易くなった。
日本産全種の検索表付きである。善き。

イシイツヤアシブトコバチの特徴を検索表から抜き書きすると、
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明瞭な腹柄を持たない
触角は複眼下縁より下の頭楯付近から生じる
後脚脛節末端は尖らずに裁断状
前翅前縁脈は翅の前縁に接する(前縁脈前方に膜質部はない)
後前縁脈はある
複眼内縁隆起線をもち、上部は発達して額隆起線となり前単眼の後方で合流する
額隆起線は複眼下方で消失する
小盾板に後方に伸びる一対の突起を持たない
後脚基節の背面基部付近に突起がある
後脚腿節は基部より1/3の下縁に突起がある。
後脚腿節基部は赤褐色
触角は黒色
*****************************************引用終わり
以下拡大画像
胸部側面
黄色矢印は後脚基節の突起。

前伸腹節らへん
点刻やら印刻やら

矢印あたりが、前縁脈 marginal vein
内方に短く伸びるのが、縁紋脈 stigmal vein
前縁脈から縁紋脈を挟んで伸びるのが、後前縁脈 postmarginal vein
前縁脈基部側の前縁に膜質部がある部分の脈は submarginal veinと呼ぶ。

後脚拡大
腿節基部は赤褐色で基部1/3あたりが突出する。
突出部から後方は細かい鋸歯があった。

後体節(腹部)
土生1960に記載されていた特徴。
腹節基部に一対の短い隆起線がある。

正面顔
斜め下から
黄色矢印が、複眼内縁隆起線(preorbital carina)
赤矢印は、マーラースペースの縫合線(malar sulcus)
判りにくいけど、複眼下縁から大顎基部まで縫合線がある。

頭部背面
複眼内縁隆起線が伸びてそのまま額隆起線になって前単眼後方でつながっているの図。

ではまた

2026年2月21日土曜日

ケチャタテの一種Valenzuela scriptus

この週末も暖かいが、前回の週末も暖かくてキイロケチャタテらしきものがぷわりぷわりと飛んでいた。

そのうち服に止まったのを見ると模様付きのチャタテだったので持ち帰ってみた。

ケチャタテ科の一種
Valenzuela scriptus
わりと見かける種類である。

ちょっと検索したら、おちゃたてむしさんのブログで学名付きで紹介されていた。↓

「ケチャタテ科の一種(Valenzuela scriptus)・卵塊の糸かけ(改題)」

模様で決めちゃイケナイけど、そっくりそのままなので同種と考えていいでしょう。

前翅の拡大

ケチャタテ科の一種
Valenzuela scriptus
黄色丸印の肘脈Cuで囲まれた部屋を後小室という。

ウスイロチャタテ科にはこれがない。

ケチャタテ科には翅脈に毛が生えているがウスイロチャタテ科には生えてない。

チャタテムシは以前は噛虫目Psocopteraとして独立していたけど、現在はシラミやハジラミと合わせて咀顎目Psocodeaの下位分類になっているようだ。

咀顎目はカジリムシ目と呼ばれるのが正式らしいが私はキライである。

チョウ目と呼ぶのも大嫌いなので、このブログでは鱗翅目を使用します。


ではまた

2026年2月14日土曜日

チビアメバチ亜科の一種

先週のはマルヒメバチ亜科じゃなくハエヒメバチ亜科かも知れん。。

今週も冷蔵庫で昆虫採集。

昨年暮れに庭掃除した際にゴミ袋から這い出してきたヒメバチ。

2025年12月29日
チビアメバチ亜科
Campopleginae

先週同様、

「日本産ヒメバチ上科(膜翅目)の属への検索表」

で亜科の検索を進めるとチビアメバチ亜科に行き着いた。

チビアメバチ亜科の特徴を抜粋すると、、

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翅は通常どおり発達する

前翅は翅脈 2m-cu をもつ

触角鞭節は 13節以上

T1の気門は、節の中央付近かより後方に存在し、基部は背面からみて細く、柄を形成する。S1の節片部はたいてい気門の位置かより後方の位置まで伸長する。

後体節は側圧され、背面から見て幅が狭く多少とも平べったい(アメバチ型体型)。跗節の爪はたいてい櫛歯状。産卵管は背面の切れ込みをもつ。

前翅は鏡胞をもつ。鏡胞を欠く場合、翅脈翅脈 2m-cu は本来鏡胞のある位置の付近で合流するか、より翅の先端方の位置で合流する

前伸腹節は網目状の隆起線には覆われず、たいてい縦横の隆起線で区画される。後単眼と後頭隆起線は比較的離れる。

前胸側板は腹方後角に強い突出部を持ち、多少とも角ばった葉片は前胸背板に触れるか、オーバーラップする。中胸腹板の後方横隆起線はたいてい完全。産卵管は多少とも長く、短い際も後体節先端の厚み程度の長さはある。

中脚および後脚の脛節棘の間は膜状で、脛節棘の膜質の挿入孔は互いに独立しない。頭盾は顔面と溝で分割されない。顔面はたいてい一様に黒色。前翅の縁紋は幅がそれほど拡大せず、狭く細長い三角形。後脚腿節腹面に棘を欠く。

小顎ひげは5節。下唇ひげは4節。

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検索するにあたって、検索キーをエクセルのセルに張り付けてリンクを使って次の選択肢のセルにジャンプするように設定してみた。

クリックするだけで次の選択肢に飛べるのでとても便利。フフフ

あとは文章の意味が分かれば完璧。

私にはそれが難関だったりする。

ハチ特有の用語が出てくるのでちょっと難儀する。

普通の昆虫だと、頭部・胸部・腹部のところが、

頭部・中体節mesosoma・後体節metasomaと表現されたり。

ハチの仲間は腹部第1節が前伸腹節propodeumとして胸部と合体しており、見た目の腹部は第2節から始まっているため、見た目の胸部と腹部を中体節・後体節、と表現するそうな。

ただし、この体制は刺すハチの仲間(細腰亜目)だけで、ハバチなどの原始的なハチ(広腰亜目)では前伸腹節は形成されずに一般の昆虫同様に胸部と腹部で分かれている。

なので「T1」は後体節第1背板で、「S1」は後体節第1腹板のことである。(背板:tergum,腹板:sternum)

上記検索には属までの検索もあったけど、まだ検討中のものもあって暫定的(意訳)とのことなので、やってみたけどくじけました。ムズイ。

先週と違って亜科は確かだと思う。

以下拡大画像。

体長は約7㎜。

矢印が前伸腹節。
拡大すると丸い気門が見える。
前伸腹節背面
亀甲型の隆起線がある。
隆起線と区切られた区画はそれぞれに名称があるが割愛。

後体節第1節
本種では柄状。
赤矢印が気門。
気門があるのが背板でT1、T2。
青矢印は腹板でS1の終点、背板より短く、気門近くまである。

腹部側面
矢印は、産卵管(針)上部の切れ込みdorsal subapical notch
腹端のピロピロは鞘

丸印の外側が横脈で区切られている場合は丸印の位置を「鏡胞」と呼ぶ。
本種では2m-cu脈が鏡胞の位置につながる。

前胸らへん
前胸側板は腹方後角に強い突出部(葉片)を持つの図。

正面顔
大顎は2歯
顔面と頭楯は区切られない

後ろ頭の図。
青矢印が後頭隆起線occipital carina で大顎基部につながっているように見える。
赤矢印が下口隆起線hypostomal carina

見え難いが、小顎髭は5節で下唇髭は4節だった。


ではまた

2026年2月7日土曜日

マルヒメバチ亜科?

新しいネタが仕入れられなかったので、冷蔵庫に活路。

昨年の11月に採集したままだったヒメバチがいたので撮影してみた。

全体

マルヒメバチ亜科Ctenopelmatinae

体長7㎜ほどの小型種。

胸部側面
腹部側面
後体節第1節の気門は中央よりやや前。

中脚脛節の距は2本。

爪は櫛歯状ではなく単純のよう。

前伸腹節背面

マルヒメバチ亜科Ctenopelmatinae ?
ヒメバチ科でよく見る亀甲模様はないですな。

鞘から出した産卵管(針)

上部に切り込みあり。

翅脈

マルヒメバチ亜科Ctenopelmatinae ?

神奈川県立生命の星・地球博物館の以下のページからダウンロードできる

「日本産ヒメバチ上科(膜翅目)の属への検索表」

を斜め読みしたところ、ヒメバチ科の中のマルヒメバチ亜科に該当する種の模様。(錯覚かも?)

上記文献、

日本語で、

さらに写真や部分図なども豊富に掲載されているので

標本数を揃えて読み込んだら楽しそう。

ただし素人が1個体ポンと持ってきて同定するのはちょっと大変かも。

私は属の同定までたどり着けなかった。


ではまた