2018年1月27日土曜日

アシヨレグモの♀

ネタが無いので旧ブログで既出の生き物。。。
アシヨレグモ Weintrauboa contortipes

今回は♀成体。
アシヨレとか言いながら脚が捩れてない。
脚が捩れているのは♂の方。

♂は旧ブログのこちら↓
「今年もお付き合いありがとうございました。」

裏側
アシヨレグモ Weintrauboa contortipes

腹部腹面基部にある外雌器。
ぺろんとした割りと単純な形。
犬の鼻みたいな。。。

クモ類の交接(交尾とは言わない)は、この外雌器に♂が精子を注入して行われる。
♂は特殊化した触肢にあらかじめ精子を移しておき、触肢を使って精子を注入する。

訳わからんことするやつらである。

ところでアシヨレグモはピモサラグモ科 Pimoidae と言う耳慣れない科に属する。
古くはサラグモ科に入れられていたが分けられたようだ。

ネイチャーガイド 日本のクモ 増補改訂版(文一総合出版,2017)では
Pimoidaeにアシヨレグモ科をあてている。
解り易さを優先されたようである。

日本産クモ類(東海大学出版部,2009)という日本産のクモの聖典である分厚い図鑑と、専門の先生がネットに公開されている「日本産クモ類目録 ver.2017R1」(リンク先PDF) ではピモサラグモ科が使われているので、リスト等を作るときはピモサラグモ科を使用する方がいいだろうと思う。

ではまた

2018年1月20日土曜日

外部寄生するヒメコバチ

ネタが無いので過去画像から。
2016年の2月はじめのコナラの枝先、
10mmほどの糸くずみたいないもむし。

拡大して見ると、
ちっこい尺取り虫だった。
十中八九、越冬中のナカウスエダシャクの弱齢幼虫。

この模様の幼虫は過去何度か飼育して皆ナカウスエダシャクが羽化した。

なので、もーいいかな?と思ったけどヨク見たら
背中にゼリービーンズみたいな物を背負ってる。
寄生バエの卵にしてはツヤテカしているので寄生蜂のたぐいかな?

確認のため拉致。
寄生虫と言うと、体内に潜んで食い荒らす、みたいなイメージを持っていたけど、
中にはこんな種類もいるようだ。

外にいたら振り落とされたりして不利なような気もするが、
中にいても宿主の血球に取り巻かれたり、他の寄生虫に攻撃されたりすることもあり、
体内は体内でそれほど安全と言うわけではなさそう、という話だ。

で、上の幼虫の10日後、こうなった。
尺取り虫は萎びてしまい、幼虫のいたところは透明な抜け殻だけ。
ねじれた不思議な塔が立っていた。
蛹のようなそうでないような?

その9日後、体長2mmのハチが羽化。
ヒメコバチ科の1種 Eulophidae gen.sp.
裏側
ヒメコバチ科の1種 Eulophidae gen.sp.
短い針(産卵管)が見えるから雌みたい。
ねじれた茶色い塔はどうやら蛹化時に出した糞だった。
ハバチなどを除くハチの幼虫は糞をしないで蛹化時に一度に糞を排出する。
極端な便秘体質ですな。

図鑑の解説。
附節は4節、前脚脛節距は短く曲がらない、
中脚脛節距は短く細い、触角は少なくとも9節は明瞭
etc.・・・
寄生のパターンは、
トンボ、バッタ、カメムシ、甲虫、ハチの卵寄生。
甲虫の卵-幼虫寄生。
ヨコバイ、カメムシ、アミメカゲロウ、ハエ、ハチ、甲虫、鱗翅目の幼虫寄生。
クモの卵の過寄生などがあるそうな。
日本の記録だけで32属約130種の記録がある。

種までの同定は私には無理。。。

おまけ
蛹はミイラ化した尺取り虫をめくると殻があった。
左がおしり方向。
なんか鉄人28号のコントローラーみたいな突起がついてる。???

ではまた

2018年1月12日金曜日

ノコメトガリキリガの卵と交尾器

去年の暮れ(12/23)、ツイッターに貼ったヤツ
ノコメトガリキリガ Telorta divergens
サクラの幹に卵を産み散らかしていた。。
産卵直後の卵は薄黄色。
数種類しか見たことないが、ヤガ科の卵は大体そうで
数日経つと着色する。

年明けて初散歩の1月2日、様子を見ると
矢印部分の卵は着色して鉢巻き模様が出ているが、一部そのままのがある。
交尾が完全でなく、すべての卵を受精できなかったのだろうか?

さて、

卵産んだからもういいよね?と連れ帰ったメスの交尾器を観察。
ノコメトガリキリガ Telorta divergens ♀genitalia
交尾嚢(画像下方の透明な袋)が綺麗であまり濁っていない。

こちらは以前採った分の♂交尾器
ノコメトガリキリガ Telorta divergens ♂genitalia
上図はファルス(エデアグス)を外した状態。
ファルスはこちら。
ノコメトガリキリガ Telorta divergens ♂phallus
内袋(ベシカ;vesica)を反転させるとこんな形。
ノコメトガリキリガ Telorta divergens ♂phallus
先端に1本のコルヌツス(cornutus,刺状の硬化部)がある。

こちらも別の日に採った♀の交尾器
ノコメトガリキリガ Telorta divergens ♀genitalia
こちらの交尾嚢は内部が濁っていて交尾が問題なく終了した感じ?
あと、ドゥクツス・ブルサエ(ductus bursae,交尾口から交尾嚢までの管状部)の形状が反転した♂の交尾器と同じ形状なのがオモシロい。
この♀の交尾嚢には♂のコルヌツスが残されていた(下画像矢印)。

ではまた

2018年1月1日月曜日

戌年にちなみまして・・・イヌビワハマキマドキ

12年前に使った画像・・・

え~さてさて
お散歩コースで見る蛾の中で「イヌ」がつくものを探してみました。
2005年の5月に飼育羽化したもの。
イヌビワハマキモドキ Choreutis japonica
名前の通り幼虫はイヌビワを食す。
イヌビワの展葉前の巻いた葉っぱを糸で綴って巣にします。
こんな感じ。
イヌビワハマキモドキ Choreutis japonica の巣
特徴的なのでほぼ本種と同定してよい。
同じハマキモドキガ科で開いた葉っぱに糸を貼って巣にする種類がいる。
タイワンオドリハマキモドキ Brenthia formosensis という種類だが、
こちらは旧ブログで紹介してます。
こちら-->神戸のタイワンオドリハマキモドキ

今年も週に1回くらいは更新する感じで行こうかと思います。

ではまた