2016年10月29日土曜日

ツカモトコクロバエと思うよ。


この日曜日は時折霧雨の降る天気で適当な虫がいなかったので、
ひとつ前の日曜日の採集品。

服に止まって日向ぼっこを決め込んだハエをフィルムケースを被せて確保。
ツカモトコクロバエ Melinda tsukamotoi と思う。

最初、何も考えずに「日本のイエバエ科」で名前を調べ始めてしばし、、
何かおかしい。

科の検索からやり直したらクロバエ科だった。
全然修行が足りないようです。


新訂原色昆虫大図鑑3巻にある双翅目の検索から一部を抜粋。

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翅下瘤(greater ampulla)が発達し基覆弁が発達する。(有弁翅類Calyptratae)
口器は退化せず口吻は通常
中基副節に縦に配列された長剛毛列を生じる
(生じないのはイエバエ科・ヒメイエバエ科・ハナバエ科・フンバエ科)
M1+2脈は強く前方に屈曲する
下小盾板域は土手状に発達しない(発達するのはヤドリバエ科)
基覆弁は小盾板と接する。
外側の肩後剛毛が横線直前の翅背剛毛より外側に位置する。
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参考用拡大画像:前翅

参考用拡大画像;胸部側面


と、クロバエ科ということで図鑑を見ると似たのがあった。
そのツカモトコクロバエの解説は以下。

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春、秋に多い。前翅前縁は暗色。春型は体・脚はすべて黒色だが、
秋型は肩瘤、小盾板、腹部第2・3節両側、腿節末梢部、脛節などが橙黄色を呈する。
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ということで記載文とか読んでないので心もとないが、たぶん合ってると思う。
合ってるといいな。

ついでに腹部腹板
左から3・4・5節。第5腹節の中央は乳頭状に突出している。

♂交尾器側面

♂交尾器斜め後ろから


で、あらためて画像ファイルを見ると同一種と思われる生態写真を昨年撮っていた。
2015.VII.19
これも ツカモトコクロバエ Melinda tsukamotoi と思う。


ではまた

2016年10月22日土曜日

おでこが青空・・・キンパラナガハシカ

日曜日のお散歩で見た蚊。

イヌタデで吸蜜中
キンパラナガハシカ Tripteroides bambusa

こちらは♀
キンパラナガハシカ Tripteroides bambusa

本種の特徴は腹端に届くほどの長い口吻と腹部腹板の淡い黄金色。


あと、腿節の銀白の一条紋と二白斑など。

鱗片は金属光沢があり、特に後頭部は光の当たりかたで秋の青空色に光る。

♀は吸血するがヒト選好性は低い種類で、あまり刺された記憶はない。

新訂原色昆虫大図鑑(III)の検索にあるナガハシカ属の特徴の抜粋(一部)
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体に鱗片が多く、特に腹部は完全に覆われる
口吻は直線状
翅膜は全面に微毛状突起を具える
気門前刺毛がある
翅の覆片に刺毛状の鱗片がある
・・・etc.
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で、日本産ナガハシカ属はキンパラナガハシカ1種とのこと。
(琉球列島に1亜種あり)

おまけ
覆片は前翅基部後方の膜質部のこと。
矢印部が刺毛状の鱗片。

ではまた

2016年10月15日土曜日

ツヤハネカクシの1種

ネタ不足のため、今週は同定できなかった虫を貼っておしまい。

先々週、通り道のジャマなイノコヅチを少々引き抜いて砂防堰堤の砂に積んでおいた。
それをこの休みにめくったらいたハネカクシ2個体。たぶん同種。。。


ホソハネカクシの1種 Othius sp.

♂♀1匹ずついたので、御夫婦だったのかも?

同定は上司のくろあり氏によるもの。
最初は「ウスアカバホソハネカクシやな。」と言ってたが、日本産ハネカクシ科総目録に
同属種が5種あるからヤッパリ判らんな!と投げ返されたので、属どまりとなった。

本種は雌雄で形態差が認められる。

まず前脚ふ節の幅が♂の方が広く粘着毛と思われる先端の丸い毛が多い。

これはオサムシ科などの食肉亜目ではよく見られる性差である。
ゲンゴロウ科では幅が広いだけでなく吸盤までついている。

これは交尾の際に♀を逃がさないために進化したんじゃないかと思ったり。

あと、♂の腹部腹面に微毛域が認められた。
これは何のためか判らず。


おまけ
♂の交尾器、腹面から

♂の交尾器、斜め下からの図

ではまた

2016年10月8日土曜日

黒いマルカメムシ

日曜日のお散歩中、ママコノシリヌグイで見かけた虫

タデマルカメムシ Coptosoma parvipictum
マルカメムシ科の中で黒い種類は数種いるが、他の種はマメ科につくのに対し
本種はタデ科につく。

腹面。左が♀で右が♂。
♂は腹端が少しへこんでいる。

タデマルカメムシの翅。

本種を含むマルカメムシ科の仲間は、昆虫界では珍しく前翅に折りたたみ構造を持つ。
点線の位置で折り畳んで巨大な小楯板に翅を納める。

こんな感じ。

前翅を束ねるようにたたむ虫は結構いるが、
前翅を折り曲げてたたむ虫というのはあまり見たことがない。
私が見たのは他にアオマツムシくらい。
→旧ブログ「変形する前翅
あとコオロギ類もアオマツムシ同様の構造がある。

おまけ。
タデマルカメムシのおしり、♀

タデマルカメムシのおしり、♂
♂の小楯板は彎曲する。

ではまた

2016年10月1日土曜日

初秋のハバチ。

ハバチの成虫は春から初夏までによく見かけるけれども、
9月に入って見かけたもの。(9/19)
ワラビハバチ Aneugmenus kiotonis
だと思う。
名前通りワラビを食べて、年数回発生する種類だそうだ。
だからこの時期にも見られるようである。

ワラビハバチの翅脈
シダハバチ亜科は肘脈基部が縁紋方向に曲がるのが特徴。(図の①)

ワラビハバチ属の特徴を検索表から抜き出すと、

3本ある肘横脈のうち、第1肘横脈が退化する、(図の②)
前翅基脈は湾曲せず直線的で第1反上脈とほぼ平行。
前翅肛室に横脈がない、(図の③)
中胸側板の前側片は溝で明瞭に区分される。(下図の③)

脚の爪の先端は二分せず内爪を持つ。
脚は大半黄白色(日本産に限る)
など。

ワラビハバチ属Aneugmenus は他にキバラワラビハバチ A. japonicus が知られているが
腹部腹面が末端節を除いて広く淡黄色なので区別できるとのこと。
あと、perapteron がワラビでは黒色、キバラワラビでは黄白色とあったが、
結局どの部位かが判らなかった。
たぶんだけど、肩板と中胸側板の間にある小さな三角域のことだと思う。
(間違ってたら教えてね。)

あと、ワラビハバチの特徴として、

前胸背板後縁と肩板は淡黄色。
頭盾(とうじゅん)は黒色だが、ときに下半が黄白色。
中胸側板に淡色紋がでることがある。
腹部は黒色だが、ときに背板側縁が淡黄色となる。
または腹部前半が黄褐色になるなどの個体変異があるそうだ。
ワラビハバチの顔面
上唇は黄白色、頭盾の一部に黄白色紋がでている。


おまけ
先端が二分する爪の例
まだ同定してないハバチ亜科の1種
こんな感じ

ではまた