2019年3月30日土曜日

判らずじまい

3月2日に見かけたシダの先っちょを丸めた巣
中を覗くと、
うんちをため込んだムチムチいもむしがいた。

旧ブログでは夏に回収したシダボールから
イノモトソウノメイガが羽化してきた。
「シダボールをつくるもの・・・シダを食べる蛾。その3」

多分同じ種類だろなー?
幼虫越冬なのか~?

でも近縁種いるからなー
と持ち帰っていた。




そういえばどーなったやろ?と昨日見てみたら
ケースの底に、、、
ヤナ予感。

巣をあばいてみる。
萎びた幼虫の皮の横に俵型の物体が。

ヤドリバエに寄生されていた。

寄生されたから幼虫で越冬したのかな?
寄生者が寄主を操作する、ていう話は時々聞くし、
どーなんでしょ?

いろんなことが判らずじまいで終わりました。

ではまた

2019年3月23日土曜日

シロテンエダシャクの1齢幼虫

春分の日にはアラカシの新芽にヤガ科の幼虫が見られるようになった。

こちらは3月10日に見たシロテンエダシャクの♀
何となく捕まえてプラケースに入れておいた。

忙しくてよく見ないまま昨日(22日)、たまたま見ると。。
何かがぴこぴこ動いてる。

シロテンエダシャク Cleora leucophaea 1齢幼虫
2mm強の糸クズである。老眼鏡外すと私には見えない。
あれれ?産卵しているように見えなかったけど、、とよく見ると、
プラケースの黒いカバーと透明蓋の隙間に卵の殻がたくさん。。
孵化前の卵があった。
背景は1mmグラフ用紙。

ヤガ科とかの1齢幼虫だと頭は大概黒いけど、本種は黄色。

あわてて面相筆で回収してアラカシとサクラの新芽を放り込んでおいた。
本種は広食性なので餌は適当なおいしそうな新芽でたいがい食いつく。
今朝見たら粉のようなうんちがケースの底に落ちていた。

終齢幼虫は旧ブログで紹介済み↓。
「吾輩は樹皮である」

終齢幼虫には第2腹節の気門直上に黒い瘤状隆起があるのが特徴だが、
この特徴だけだと、例えばヒロバフユエダシャクにも見られるので
他の色彩も合わせて総合判断しないと間違う恐れがある。

ではまた

2019年3月16日土曜日

神戸の日光・・・ニッコウエダシャク

3月10日のお散歩で見かけた春の蛾。
ニッコウエダシャク Lassaba nikkonis
たぶん日光で採れた標本を元に記載されたんだと思うけど、全国的に分布する。
蛹で越冬して早春に出現する普通種である。

♂の触角は両櫛歯状。

これだけだと何なので、、、、ハードディスクを探すと、、、
終齢幼虫を2008年5月中旬に撮影していた。
ニッコウエダシャク Lassaba nikkonis 幼虫
顔面は絶壁。
頭頂部両側はやや突出し角張る。
気門は赤く、気門輪は黒色。
ニッコウエダシャク Lassaba nikkonis 幼虫
体表はプツプツした感じで腹部第2節気門付近がやや膨大し、
その背面部が淡色の斑紋となる。
コナラ、サクラ、モミジ、など多食性の幼虫である。
6月頃には土中で蛹化し、春まで寝んね。

おまけ
交尾器はこんな。

反転したファルス。

ではまた

2019年3月9日土曜日

マダラカバエ

先週スズキカバエの記事を書いた後、お散歩に出たらいた虫。
マダラカバエ Sylvicola japonicus
左右の複眼が離れてるので♀。(図鑑には「複眼は離眼的」と書いてある。)
先週同様、「撮ったら採れぬ」の法則が発動して逃げられる。

「採るなら撮るな」
コレ大事。

本種も以前別な場所で手に入れたものがあるので翅の画像を貼っておく。
マダラカバエ Sylvicola japonicus 前翅
スズキカバエと模様が違う。

マダラカバエの学名については少し問題があるそうだ。

松村松年博士の原記載文には「胸部に三本の暗色条がある」と書いてあるのに元記載の図には四本の暗色条が書かれていて、タイプ標本は四本のが残されているようだ。なので画像の種類は標本を基にすると未記載種になってしまうのだが、タイプ標本以外に同時に三本の標本も残されているので話がややこしくなっているようだ。
なので暫定的に画像の種類を S. japonicus としておくそうである。

このことは双翅目の掲示板「一寸のハエにも五分の大和魂・改」の以下のスレッド↓
「カバエ科キイロカバエでしょうか」にも書いてあるので参照されたい。

ではまた

2019年3月2日土曜日

スズキカバエ

2月最後の日曜日、神戸はまぁまぁの天気。
木に止まるハエ。
スズキカバエ Sylvicola suzukii
林の中なので暗い。。。
ストロボ使ってみる。
スズキカバエ Sylvicola suzukii
ここで飛んで逃げられる。クッ
さいわい翅の紋に特徴があるのと、別の場所で採集したことがあるので名前は知っていた。翅端近くに透明紋が2対見える。

カバエ科 Anisopodidae という日本産10種に満たない小さな科に属する。
複眼が合眼的(複眼が大きくて左右が接する状態のこと)なので♂。
♀の複眼は♂より小さくて離れている。
ほぼ年中みられる。
お散歩コースでは初会合。

以前採集した分の翅脈を貼っておきます。

カバエ科 Anisopodidae の翅脈
翅脈の説明つき
大文字ではじまる青英字は翅脈の記号。
小文字の青英字は横脈の記号。
緑の英字は翅室の記号。
翅室は基本直前の翅脈を使う。
は基室、は中室。
alulaは小翅片。覆弁(calypter)ではない。

*記号は「新訂 原色昆虫大図鑑III(北隆館、2008)」に従った。
CuA脈以降が昔の図鑑と違う。
あとカバエ科そのものの図はないので脈の解釈が違うかも?

ではまた