2023年12月30日土曜日

アヤトガリバの一種、幼虫と蛹

ネタ不足につき確定してない虫を投入。

11月下旬、クサイチゴにいた若齢幼虫。

アヤトガリバの一種Habrosyne sp.
若齢幼虫

横向き

アヤトガリバの一種Habrosyne sp.
若齢幼虫

尾脚がツツマしいのでトガリバガ科あたりかな?と当たりを付けたものの判らないので持ち帰る。

こんな時期に外にいても成長できるか微妙なところだし、、、

その後3日後に脱皮。


1週間後にまた脱皮した模様。

アヤトガリバの一種Habrosyne sp.
終齢幼虫

これで終齢幼虫ぽい。

第1腹節に一対の白斑がある他にはあまり特徴のないいもむしになった。

12月11日、むちむち。

アヤトガリバの一種Habrosyne sp.
終齢幼虫

この時点でアヤトガリバかオオアヤトガリバだろう、まではほぼ確定。

その後、葉っぱを綴って静かになった。

クリスマスに葉っぱを拡げて確認。

アヤトガリバの一種Habrosyne sp. 

蛹に無事変態。

蛹の特徴は尾端。

尾端側面。


腹端の第10節が9節から明瞭に区切られている。

帽子被せたみたいな感じ。

8節と9節は多くの他の蛹と同様に癒合している。

尾端腹面。


生殖口が9節にあるのでオスだろう。メスなら第8節に食い込むような位置になるはず。

肛門は10節にありスリット状である。


漠然とだけどオオアヤトガリバかなぁと思うけど、来春無事に羽化したら追記します。

手持ちの図鑑によると、静岡で幼虫越冬しているオオアヤトガリバが観察されているとのこと。

さて、今年の更新はこれで最後です。
来年もボチボチ更新していく所存。

ではまた

2023年12月23日土曜日

チャマダラノコメキバガのメス交尾器

お散歩コースのお地蔵さんにフユシャクの♀でもいないかな?といつものようにアヤシい動きで見て回る。

凹みに引っ掛かるワラクズが目に留まる。

気になってつついてみると、なんとワラクズが歩き出した。

別の凹みに収まったところを無事確保。

冬でよかった。夏なら飛んでいって見失うとこだった。

さて、歩くワラクズを拡大してみると蛾であった。

チャマダラノコメキバガ
Hypatima teramotoi

翅の模様
チャマダラノコメキバガ
Hypatima teramotoi

手持ちの図鑑をみると、チャマダラノコメキバガのようだ。

なんだけど、キバガの仲間なんて研究が進んでないグループなのでイマイチ信憑性が低い。

なのでちょっと検索してみると、以下の文献に交尾器の図があったので交尾器を抜いてみた。

文献は、「日本産Chelariini族の4新種(鱗翅目,キバガ科) Four new species of the tribe Chelariini(Lepidoptera, Gelechiidae)from Japan(蝶と蛾,63(2):P79-86、2012)」。

♀交尾器

チャマダラノコメキバガ ♀交尾器
Hypatima teramotoi
female genitalia
corpus bursae:交尾囊

signum:シグヌム(複数形はsigna)、交尾囊(corpus bursae)にみられる刺状あるいは板状の硬化部

signumの別方向

交尾囊表面に菱形のシグヌムがあり、菱形の対角線が内部に突出している様な形状だった。

文献の図と比較して違和感がないので、チャマダラノコメキバガとしてよいようだ。


ではまた

2023年12月16日土曜日

けったいな産卵管・・・クロホシチビヒゲナガゾウムシ

お地蔵さんのてっぺんで待機するアカコッコマダニを見つけたときに近くをちっちゃい虫が歩いていた。

(アカコッコマダニは旧ブログで紹介済み→「珍しげな名前」

肉眼では何も判らないので持ち帰り。

背面

クロホシチビヒゲナガゾウムシ
Unciferina japonica
体長は2.5mm弱。拡大すると毛の模様がある。

図鑑をみると、クロホシチビヒゲナガゾウムシのようだ。

ヒゲナガゾウムシ科の小型種。


側面

クロホシチビヒゲナガゾウムシ
Unciferina japonica

腹面

クロホシチビヒゲナガゾウムシ
Unciferina japonica
正面顔、ちょっと斜めから。


腹端の隙間から硬化した期間器官が見えたので、♂の交尾器かな?と思って柄付き針で引っぱり出したみた。

クロホシチビヒゲナガゾウムシ
Unciferina japonica
思ってたのと違うのがでてきた。

♀の産卵管ですな。

外側に歯の開いた不思議な産卵管だった。

何にどうやって産卵してるのだろう?


ではまた

2023年12月9日土曜日

カゴノキのクスグンバイ

12月最初の日曜日。

フユシャクでも飛ばんかしらん?

年々少なくなる幼虫の発生量を鑑みながら

お散歩。

やっぱりいなかった。

なんかいないかとウロウロしつつ目に留まった木。

カゴノキ Litsea coreana

カゴノキはクスノキ科だけど、全く樟脳臭くない木である。

樹皮が斑点状に剥がれて子供のシカの模様みたいな木である。

だから「鹿子の木」。

なるほど。


近づいてみると、葉っぱに白い斑模様。

カゴノキ Litsea coreana

お、これはと捲ってみれば、タール状の黒いシミがある。

これ、グンバイムシにみられる食痕である。

もう時期も遅いしいないかなぁ、といくつか捲っていくと居残っていたグンバイがいたので確保。

複数採ってきたけれど、すべてメスだった。

クスグンバイ
Stephanitis tabidula

オスがいないと言うことはやっぱり時期的に遅いのであろう。

オスは死んでメスだけで越冬するのか、これから産卵して死ぬのかどっちだろ。

あとで写真を拡大してみたら、カゴノキの葉の主脈に沿って点々と産卵痕らしきものが見えた。ここを解剖して中身入りの卵でもあれば卵越冬の線が濃くなるが、食痕だらけの葉っぱに卵を産み付けることはないような気がする。

うん、思いついただけでアカンな、こんな雑な方法。


拡大
クスグンバイ
Stephanitis tabidula

腹面

クスグンバイ
Stephanitis tabidula

胸部拡大

クスグンバイ
Stephanitis tabidula

クスグンバイはツツジグンバイ属Stephanitisに属す。

ツツジグンバイ属のうち、クスノキ科を食樹とするものに、クスグンバイの他にタブグンバイ、ヒメタブグンバイ、ヤブニッケイグンバイなどの近縁種がいるらしく、互いによく似ている。

クスノキやタブ、ヤブニッケイなどすべて近所に生えているような木である。

カメムシ図鑑3巻にあるツツジグンバイ属の検索表を見ると、クスグンバイ以外は前胸の側隆起はないようなことが書いてある。

拡大してみると今回のグンバイには短い側隆起がちゃんとあるので、クスグンバイだろうと思う。

ただ、検索表を見ていると側隆起のあるなしで分岐していった先の両方にヤブニッケイグンバイがでてくる。。。

どゆこと?

まあ、クスグンバイはクスノキ科のいろんな種類でみられる普通種みたいなので、たぶんクスグンバイでいいだろうと思う。

漏れ聞く話によるとツツジグンバイ属は種分化の真っ最中みたいな虫なので、将来的にはカゴノキ専食のカゴノキグンバイと呼ぶべき様な種が分かれていくかも知れないですな。


ではまた

2023年12月2日土曜日

ヒヨドリバナのホソバチビヒメハマキ

10月に咲いていたヒヨドリバナ

綴られて出入口があったので持ち帰ってみた。

チラリ

紫褐色の体色に白色の刺毛基板。

なんか見たことある。

よーな気がする。

シャーレに入れて一カ月後。2023年11月22日。

蛹が飛び出して羽化した跡が。

羽化したのはこちら。

ホソバチビヒメハマキ
Lobesia aeolopa
でした。

本種は旧ブログでナワシログミの実についていたのを紹介済み。↓

insectmoth.hatenablog.com

本種は広食性でさまざまな葉や果実につくそうだ。

今回はヒヨドリバナについていたので再登場。 

翅を拡げたところ。

ホソバチビヒメハマキ
Lobesia aeolopa
幼虫と蛹の脱皮殻。


蛹の尾端腹面

交尾器開口部の位置を見るとオスですな。

この辺は過去記事に解説したので詳しく知りたい方は以下の記事へ↓

「カタカケハマキの幼虫と蛹殻」←クリックで移動


ということでオスの交尾器はこんな感じ

ホソバチビヒメハマキ
Lobesia aeolopa
Male genitalia
透過光でバルバの拡大

よく似た同属他種がいるけども、手持ちの図鑑やネットで拾った文献などを見る限り、たぶんあっていると思う。

未記載種だったら知らんけど。


ではまた