2018年2月24日土曜日

ルリオビナミシャクの交尾器

ちょっと前、フユシャクもろくに見ていないのに出てきた蛾。
2018年2月11日
暗がりのスマホ画像なのでボケボケである。

持ち帰ったので撮り直し
ルリオビナミシャク Acasis viretata 
どこら辺が「ルリ」なのかが謎。
新鮮な個体は緑色を帯びる。
関東付近では年1回7~8月に見られるそうだが、沖縄では12月に記録があるので多化性かも。と図鑑にあるので、今頃見られる神戸付近では2回くらい発生してるのかもしれない。

本属やコバネナミシャクの一部の♂は後翅後縁基部にポケット状の折り返しがある。
♂だけに見られるのでたぶん交尾のときになだめフェロモンとか出すやつ。
だと思う。

♂交尾器側面
ルリオビナミシャク Acasis viretata ♂genitalia
♂交尾器、ファルスを外してバルバを開いた状態。
ルリオビナミシャク Acasis viretata ♂genitalia
バルバの膜質部が見にくいので背景を変えて、
ルリオビナミシャク Acasis viretata ♂genitalia
講談社の日本産蛾類大図鑑に同属3種(ルリオビナミシャク、テンオビナミシャク、アヤコバネナミシャク)の♂交尾器の図がある。

それでは

2018年2月17日土曜日

ノコメトガリキリガの孵化幼虫


以前記事にした、産卵を終えたノコメトガリキリガのお母さん、
(過去記事;「ノコメトガリキリガの卵と交尾器」)
一晩フィルムケースに入れておいたらまだ卵を持っていたようで
10個ほどケース内で産卵していた。
半分ほどは黄色いままで発生が進まず無精卵だったようだが
今週になって孵化してしまった。
ノコメトガリキリガ 孵化幼虫
Telorta divergens first instar larva
体長2mmの糸クズである。
霧吹きの水滴でも放っておくとくっ付いておぼれ死ぬような存在である。
本種の幼虫は与えれば葉っぱも食べるが、基本は花や蕾を好んで食べる。
農業上では「モモノハナムシ」と呼ばれる害虫である。

見た目は一般的なヨトウムシ系の特徴の無いいもむしなので、1齢幼虫での他種との区別はちょっと無理そう。

さて、寒いとはいえ室内で保管して早めに孵化した幼虫をどうするか。。。

そこで、ちょうど良い具合にサクラの花芽があるのを思いつく。
タッパーにつめた腐葉土から先週ナナフシモドキがフライング孵化したので
休日に膨らんだサクラの花芽のある枝を探してきて与えてあったのだ。

サクラの蕾を枝からちぎってフィルムケースに投入。
面相筆で蕾に乗せてやると、早速喰いついた。
餌付け成功。
さすが害虫。

終齢幼虫は旧ブログに貼ってます。
コチラ→「ノコメトガリキリガの♂交尾器


おまけ
サクラの蕾をかじるノコメトガリキリガ孵化幼虫動画

ではまた

2018年2月10日土曜日

幼虫成分追加(ナガサキムジホソバの幼虫)

種名は判らないけども久し振りにイモケムを見ました。

お散歩コースのお地蔵さん。
スマホ画像、15mmほどの毛虫。

持ち帰って撮り直し
コケガ亜科の1種 Lithosiinae G. sp.
ヤネホソバでもないし、シロホソバに近いようなそうでもない。

***2024年1月20日追記************
その後の飼育でヤネホソバが羽化しました。
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***2024年1月27日追記の追記************
ナガサキムジホソバでした。
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コケガ亜科としたのは、、、
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二次刺毛が多い。
背腺が無い(水色矢印)
腹脚の鉤爪は異規的縦帯(青丸内)
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上記3点でヒトリガ科なのが判る。
あとは地衣の付いてるようなお地蔵さんにいたので
地衣食のコケガ亜科と思った次第。

二次刺毛は一時刺毛以外の余分に生えた毛。
一時刺毛は旧ブログに書いた。↓

背腺はドクガ科幼虫の第6・7腹節背面に見られるおできみたいな器官、と
異規的縦帯など鉤爪の呼称については旧ブログのこの記事、↓
を見てください。

おまけ
コケガ亜科の1種 Lithosiinae G. sp.
わさおくん、、、?

ではまた

2018年2月3日土曜日

これも収斂進化?・・・フサヤスデとカツオブシムシ幼虫

日曜日にツイッターに貼った画像ですが、、、

口が開いたままのトックリバチ類の古巣。
入口が泥で封じていないので営巣放棄されたものと判る。
こんなイイ家を他の生き物が見逃すわけがない。
捲ってみると、、、
ニホンフサヤスデ Eudigraphis takakuwai
植木鉢をどけるとよくいるヤスデとはかなり違った体型である。
スマホ画像では何なので以前撮ったデジカメ画像
ニホンフサヤスデ Eudigraphis takakuwai

フサヤスデ科 Polyxenidae のニホンフサヤスデ属 Eudigraphis なのだが、本属は日本産は1種だが3亜種に分けられていたり、イヤイヤ独立種でない?とか議論はあるようだが、「日本産土壌動物第2版」では1種の扱いなのでそれに倣っておく。
亜種名で言うとウスアカフサヤスデだろうか。

ところでフサヤスデのおしり、画像の矢印部分に毛の束があるのだが非常に抜けやすい。
この毛の束は「尾毛叢(びもうそう) tail brush」といい、その毛は「有枝剛毛 trichome」と呼ぶ。
文献には卵塊の表面に塗りつけて包み外敵から守る、とある。
この毛は非常に絡まりやすく、かつ抜けやすいので自身を外敵から守るのにも使うと思われる。

有枝剛毛の拡大
ニホンフサヤスデの有枝剛毛 trichome
ギザギザの毛の先端に3~4本根元に向いた枝がある。

図鑑にも書いてあったが、フサヤスデのこの形態、カツオブシムシ類の幼虫によく似ている。特にマダラカツオブシムシ属 Trogoderma は機能がよく似た毛束をおしりに持つ。
代表的なのはヒメマルカツオブシムシだけど、あいにく手持ちの幼虫が無かったので同属の、、、
ヒメマダラカツオブシムシ Trogoderma inclusum 幼虫
たまたま会社で飼ってるこの虫のおしりの毛を拡大。
ヒメマダラカツオブシムシ Trogoderma inclusum の槍状毛
より洗練されたような感じ。
槍状の先端の付け根には返しがあってギザギザの毛に絡まりやすい。
細かな形態の違いはあるが、機能的には同じである。
ヤスデと昆虫と言う離れた分類群ではあるが奇妙な一致である。

コレも「収斂進化(しゅうれんしんか)」と言っていいのかな?

ヒメマルカツオブシムシの幼虫にアリンコをけしかけたら一体どうなるかやってみたいのだが、いつも忘れてしまう。

おまけ 以前撮ったフサヤスデの赤ちゃん動画
途中見失ってます。

ニホンフサヤスデ成体の脚は13対あるが、動画のは5対しかない。
生まれたての赤ちゃんは3対しかないそうである。
生まれたての赤ちゃんは定義上昆虫である(ウソ)
脱皮のたびに1対ずつ脚が増えていくそうなので動画のは第3幼期と呼ばれる時期みたい。こういう少しずつ増える変態方法を「増節変態」と呼ぶ。

生まれたての3対赤ちゃん見てみたい。

追記
その後生まれたての3対赤ちゃん見つけたので記事にしました。↓