2021年5月29日土曜日

戦闘力高そうなコマユバチ・・・ニッポンツノコマユバチ?

日曜日に立ち枯れの周りを飛んでいたハチを拉致。

ヒメバチ科と思っていたらコマユバチ科だった。

ニッポンツノコマユバチ Helconidea nipponica

手持ちの図鑑をザッと眺めるとモモブトツノコマユバチが近そうなのでネットで検索すると、どこぞのなんちゃらナビがヒメバチの画像を貼ってるせいかマトモな画像が見当たらない。

で、学名で検索した海外の画像はすべての脚が褐色の様なので、
今回採ったのは別種のよう。

Helconidea属なのは間違いなさそうなので、いつものサイト「Information station of Parasitoid wasps」にいくと本属の日本産既知種は6種。
その中でニッポンツノコマユバチの画像があって見た目はソックリ。
たぶんコレ。
ホソツノコマユバチHelconidea dentator とモモブトツノコマユバチHelconidea ruspatorはネットで画像が見られたので違うのは判ったが、残りの種が判らないので?付きとした。

この属はカミキリムシ科の幼虫に寄生するようだ。
それで立ち枯れの廻りを飛んでたのね。

側面 
ニッポンツノコマユバチ Helconidea nipponica ?

胸部背面

ニッポンツノコマユバチ Helconidea nipponica ?
真っ黒だけど拡大してみると印刻がカッチョイイ。

腹部背面。
ニッポンツノコマユバチ Helconidea nipponica ?
2節目以降はツルピカ。

胸部腹面
ニッポンツノコマユバチ Helconidea nipponica ?


ニッポンツノコマユバチ Helconidea nipponica ?
はまあ普通?

翅脈
ニッポンツノコマユバチ Helconidea nipponica ?
翅脈での科の区別点は以前のこの記事とかあの記事に書いた。
科の区別で見るべき部分は青丸で囲んだところ。
後翅の丸で囲んだ翅脈に横脈が無く閉じているのもコマユバチ科の特徴。


後脚腿節
ニッポンツノコマユバチ Helconidea nipponica ?
強そう。
以前ヒメバチで似たようなのを見たから同属かな?とか思ったけど、翅脈を見たら
コマユバチ科だった。

おまけ
鞘から外した産卵管
先端が下方に曲がる。
ギザ歯とかは無いようだ。


ではまた

2021年5月22日土曜日

ムカシアリガタバチの♂

5月中旬なのに近畿も梅雨入りとか何ですか?

長靴履いて傘さして通常営業のお散歩へ。

雨の合間にフラフラと飛んでいたのをネットイン。

ちいさいコツチバチかな?とか思ったが、

帰ってみたら大きなアリガタバチ科Bethylidaeだった。

背面

ムカシアリガタバチ Acrepyris japonicus

腹面

ムカシアリガタバチ Acrepyris japonicus ♂

側面


「日本産有剣ハチ類図鑑(2016,東海大学出版部)」で検索した結果、

ムカシアリガタバチ Acrepyris japonicus に落ち着いた、

ムカシアリガタバチ亜科 Pristocerinae

ムカシアリガタバチ属 Acrepyris に属す。

検索表より特徴を抜粋。

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ムカシアリガタバチ亜科 Pristocerinae

前伸腹節後縁両側に突起はない

腹部第2節はとくに発達せず、第3節以降の長さの和より短い

♂の後胸は大きく、中胸と前伸腹節は背面中央部でも後胸で隔てられる


ムカシアリガタバチ属 Acrepyris

腹部第2背板は単純で小孔や凹みはない

触角は13節で、各鞭節の長さは幅の2倍以上

複眼は毛を欠くかまばら

単眼は頭部後縁から離れる

前翅に後縁紋脈がある

前伸腹節背板に複数の隆起線や皺を持つ

♂の挿入器は細長く3つの部分から構成される

大顎の基部の歯は強く、弧を描いて先端が頭盾に向く

頭盾前縁は突出せずほぼ直線的で触角挿入口付近は凹む


ムカシアリガタバチ Acrepyris japonicus

前伸腹節背面は全体に皺状の彫刻がある

前胸背板は上から見た台形に近く肩部は角張る

大顎の歯は4個

頭盾前縁は弱く凹む

交尾鈎先端に葉状突起が2個ある

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各部の拡大、胸部

他のアリガタバチでは背面中央で後胸背板が狭くなり、小盾板と前伸腹節がくっついている。

図鑑の解説から書き込んでみた。

アリガタバチにしては翅脈がよく残っている。

ここら辺が祖先的でムカシがつくのかなぁ?

アリガタバチ科の後翅には閉じた部屋がないのが特徴の一つ。


正面斜め前から顔の拡大

大顎に歯が4つあって、手前の1個が大きくてカッチョいい。


交尾器を引っ張り出したら3つに分かれたの図。


交尾器を横から
交尾鈎先端に葉状突起が2個あるの図。


本種の♀は無翅で体色も褐色で全然違う形をしてるそうだが、採集例が少なくツルグレンで見つかることが多いらしい。


コメツキムシの幼虫に寄生するそうだ。

たまに持ち帰る腐葉土で見つからないかなぁ?


ではまた

2021年5月15日土曜日

和名の特徴がかすりもしない件・・・シロジュウシホシテントウ

今週も簡単に。

ゴールデンウイークに撮った虫の消化。

塀の上をトテトテと歩いていたテントウムシ。

2021年5月3日


ヒメカメノコテントウとナナホシテントウの中間くらいの大きさ。

積ん読本の山から「テントウムシハンドブック」を引っ張り出して見るとすぐに出てきた。

シロジュウシホシテントウ Calvia quatuordecimguttata

本種は3種類の型があるそうで、

基本型が黄褐色の地色に白い紋が14個、

暗色型は黒色の地色に白い紋が14個、

紅型が赤色の地色に黒い紋が11個。

紅型だけがかけ離れた模様をしている。

背面

シロジュウシホシテントウ 紅型
Calvia quatuordecimguttata

腹面

シロジュウシホシテントウ 紅型
Calvia quatuordecimguttata

基本型、見たことあったっけ?

ではまた

2021年5月8日土曜日

チャイロツヤツチカメムシ

今週は私的初見の虫。

お散歩コースで休憩中に落葉の上にいた子。

2020年5月4日

チャイロツヤツチカメムシ Parachilocoris japonicus

小さなツチカメムシで、点刻が少なく艶々して見える。

捕まえて帰ったので拡大

チャイロツヤツチカメムシ Parachilocoris japonicus
体長は約3mm。あまり丸っこくない。


腹面

チャイロツヤツチカメムシ Parachilocoris japonicus
触角はよく見ると短い2節目があるので、全部で5節。


頭部の拡大

チャイロツヤツチカメムシ Parachilocoris japonicus
ツチカメムシには頭部の先端に毛が生えたり、短棘が生えたり生えなかったりしているのが区別点になる。

本種では短棘がなく毛が2対ほど生えている。


おまけ

臭いところの拡大。

カメムシの臭腺は幼虫時代は背面に開口しているが、成虫になると後胸の腹面に開口している。

臭腺の周囲はつや消しのざらざらした表面構造をしており、蒸発域と呼ばれる。

臭腺から分泌したくっさい液体が蒸発域に拡がって効率よく臭くなる仕組み。


ではまた

2021年5月1日土曜日

生まれた時から模様付き・・・ハラゲチビエダシャクの幼虫

 ちょっと前3月のツイート

現地ツイートでボケをかまして訂正したわけであるが、、、

持ち帰って確認した後、生かしておいたら産卵した。

2020年3月9日


フィルムケースに0.5mmのビットで通気口を開けてあるのだが、わざわざその穴に産み付けていた。

拡大

てっぺんに行くに従い、彫刻が深くなっている。
今まで見たシャクガの中で1番彫刻が複雑である。


2020年3月15日

日にちが経つと、美味しそうな色に変わっていく。

2020年3月22日、孵化確認。

ハラゲチビエダシャク Satoblephara parvularia
First inster larva

1齢幼虫なのに縞模様がある。頭部も黒くない。

2020年3月29日、2齢幼虫

2齢になって少し経った子。
1度に産卵せずに数日かけてバラバラと産んだので、孵化日もバラバラ、成長度合いもバラバラである。

2020年4月2日

もうどれが何齢か判らない。

第1腹節後縁に一対の白色横線が目立つ。

2020年4月3日
白線はそのままなので大きくなると目立たなくなる。腹背のハの字模様が目立つ。

2020年4月6日、終齢幼虫
ハラゲチビエダシャク Satoblephara parvularia
Last inster larva

中齢からだけど、胸部の模様と頭部の模様は連続している。

後胸部が太ましい。

腹部第5・6節腹面に赤い斑点。
お洒落である。

2020年4月9日 蛹化第1陣。

ハラゲチビエダシャク Satoblephara parvularia
Pupa

蛹の腹部側面第4節と5節の間にトラバサミ構造がある。
エダシャク亜科の蛹に時々見られる構造である。
以前ヤマトエダシャクの蛹でも見た。↓

過去記事「ヤマトエダシャク蛹のトラバサミ構造」

2020年4月19日 羽化第1号



羽化した♂の腹部拡大。

♂の腹部を見て初めてハラゲの意味を知るなど。
腹毛なのね。
♀にはこんな黒い毛束はない。
毛深い方がモテるのか?

普通に考えて交尾の際に「なだめ物質」を放散させるための毛束だろう。
ようするに、「ボクは同種の♂だから逃げなくても大丈夫だよ~」と♀に認識させるためにあるのだと思う。

ついでに♂交尾器側面

ハラゲチビエダシャク Satoblephara parvularia
Male genitalia

バルバを開いて正面から。
ハラゲチビエダシャク Satoblephara parvularia
Male genitalia

おまけ
産卵した♀の交尾器
ハラゲチビエダシャク Satoblephara parvularia
Female genitalia

交尾囊がちぎれちゃった。。
矢印はシグヌム(signum)

トゲに見えるが、方向を変えると
ハラゲチビエダシャク Satoblephara parvularia
corpus bursae
舌みたいな形である。

ではまた