2023年5月27日土曜日

ナラ枯れコナラに集まっていたヒロズコガ科不明種

ちょっと前に見かけた小蛾類。

3年ほど前にナラ枯れで立ち枯れたコナラ。

去年の秋にはトゲトゲのキノコがびっしりと生えていた。

ヤマブシタケとかのサンゴハリタケ科の何かだろうか。
友情出演;コマユバチをちうちうするヨコヅナサシガメ。

今年の5月。
キノコは食べられたりして目立たなくなった。
が、何かがチラッと飛んだ気がして近づいて見た。

2023年5月14日
ヒロズコガ科の1種
Tineidae gen.sp.

10個体以上いたと思う。
少し持ち帰って展翅。
ヒロズコガ科の1種
Tineidae gen.sp.

ヒロズコガ科と思うけど、手持ちの図鑑には載ってなさげ。

たぶん樹皮下で菌類を食べるタイプのヒロズコガだと思うけど、私では種類は判らない。

ではまた

2023年5月20日土曜日

シュノーケリングと鰓呼吸・・・アシブトハナアブ

一般にオナガウジと呼ばれる幼虫の話。

4月にお散歩コースの汚れた水桶にハナアブが集まっていた。
アシブトハナアブ Helophilus eristaloideus
水面を見ると、、

著しい数の卵が浮いていた。

壁面にも卵塊が見られた。

産卵の現場は見ていないが、アシブトハナアブの卵だろう。
他にもオオハアナブが少しいたので、念のために卵を少し持ち帰って飼育することにした。

卵の拡大。
アシブトハナアブの卵
Egg of Helophilus eristaloideus
アブラムシを食べるヒラタアブの卵にも似た模様があったような。
同じハナアブ科なので似ているだろう。
やたらと水をはじくのはこの表面構造のおかげだろうか。

撥水構造の製品のヒントになるかも?

翌日には孵化が始まった。
生まれたては尻尾が短いがしばらくすると体長分くらいの長さになる。

1齢幼虫をカバーガラスで横向きに押さえて撮影。
ハナアブ科は肉食性のヒラタアブ亜科・アリスアブ亜科と腐食性のナミハナアブ亜科に大きく大別され、ナミハナアブ亜科のうち水生の種類が上のようなオナガウジの形態になる。

呼吸管は繰り出し式の釣り竿みたいに伸び縮みして水面に突き出して空気呼吸をする。
肛門鰓は普段は引き込まれた状態だが、見ていると外に出してヒラヒラあおいで水中の溶存酸素を利用することができる。

肛門鰓をヒラヒラしてる動画↓

さて、飼育はタッパーに浅く水を入れ、小動物飼育用の粉末飼料を入れ、2日おきに水を替えるだけですくすく育った。
3週後には壁面を登って脱走を企てる幼虫が出だした。
ので、
一回り大きな砂入りタッパーを用意して入れると脱走した幼虫は隙間に潜って蛹化した。

蛹(囲蛹)
アシブトハナアブ Helophilus eristaloideus
ハナアブの蛹化は幼虫の殻から脱皮せずに内部で蛹になる。
コレを「囲蛹」といい、双翅目の中で短角亜目の仲間の特徴である。
画像の矢印は幼虫時代の前方気門。
その上に突き出ているのは蛹の前方気門である「呼吸角」。

卵を採ってちょうど一ヶ月後に羽化。
無事アシブトハナアブと確認。

羽化後の囲蛹殻
幼虫時代の前方気門から後方が丸く外れて羽化してくる。
ショウジョウバエもこんな感じで羽化してくる。
ノミバエなんかは左右に分かれて観音開きに開いて羽化してくる。

羽化後の呼吸角の辺り
矢印のペラペラしたのが本来の蛹の殻。
呼吸角は蛹から生えて幼虫の殻を突き破って出ているのが判る。

その他の画像いろいろ
終齢幼虫
背面側に太い気管が1対波打つように走る。
古い幼虫図鑑のオオハアナブの幼虫の図の気管は直線的だった。
当てになるかどうかは不明。

横から見た前方気門

飼育容器に浮かんでいたたぶん2齢幼虫の脱皮殻
咽頭骨格はあるがその先の口鉤が痕跡的。
ハナアブ科の幼虫の特徴だそうな。

2齢幼虫の呼吸管(脱皮殻)
先端に撥水性のある3対の毛が生えている。

オオハナアブも3対あるが、その毛は羽毛状に発達しているようだ。

おまけ
ガラス瓶に小分けにした幼虫。
しばらくの間、机のインテリアになっていた。




ではまた

2023年5月13日土曜日

ウスイロクチブサガの幼虫と蛹殻

先週に引き続いて、庭のクヌギにいたいもむし。

2023年4月24日

ウスイロクチブサガ
Ypsolopha parenthesella
シュッとしたいもむしである。

背面
ウスイロクチブサガ
Ypsolopha parenthesella

頭を突っつくと光の速さで後退して見えなくなるので注意が必要である。

3日後に営繭した。
前後にスリットの入った舟形の繭。

それがつい昨日羽化した。

ウスイロクチブサガ
Ypsolopha parenthesella
背面
ウスイロクチブサガ
Ypsolopha parenthesella

前翅長は約9㎜

ウスイロクチブサガ
Ypsolopha parenthesella
なかなかの美人さんである。

羽化後の繭

矢印側に鱗粉が付いているのでコチラから羽化した模様。

ハマキガやメイガと違って繭から蛹は飛び出してこないみたいである。

円内は幼虫の脱皮殻。

なぜか繭の外にあった。

繭の斜めに裁断した部分はスリット状に隙間が開くので、蛹化する際に外に出すことができるようだ。

きれい好きなのだろうか。

さて、繭から蛹殻を引っぱり出してみた。

ウスイロクチブサガ
Ypsolopha parenthesella
蛹の腹端

第9節の交尾器開口部が第8節に食い込むように開口してるので♀である。

あと腹端に鉤状刺毛が発達していない。

蛹は飛び出さないので、ストッパーの鉤状刺毛は必要ないのかしら。

その代わりに繭にスリットを設けて、羽化した成虫が出やすいようにしているのかもね。


おまけ

蛹の頭端

下方に向かって鋭く短いトゲが生えていた。

(画像は仰向けの状態)


なんの用途に使うのやら?


ではまた

2023年5月6日土曜日

ミダレカクモンハマキの幼虫(ほぼ前蛹)と蛹

庭のクヌギにいたいもむし。
というか、トビオくんの餌に使ったクヌギの葉にくっ付いていた。

2023年4月24日
ミダレカクモンハマキ終齢幼虫
Archips fuscocupreana
背面
ミダレカクモンハマキ終齢幼虫
Archips fuscocupreana

ちょっと見にくいけれど、矢印のところに透けて見える黄色いのが精巣である。つまりオス。
葉を綴って営繭していたので、ほぼ前蛹状態であろう。

などと言っている内に蛹化。
2023年4月27日
ミダレカクモンハマキ蛹
Archips fuscocupreana
体長は約10mm。

で、5月5日、こどもの日に羽化
ミダレカクモンハマキ♂
Archips fuscocupreana

本種の♂は前翅前縁基部(矢印位置)に折り返し部分がある。
コレを「前縁褶(ぜんえんしゅう・ぜんえんひだ): costal fold」といって、♀には無い構造であり、ハマキガ亜科の数属に見られる特徴である。

羽化後の繭からは蛹が飛び出している。

ハマキガ科の蛹は、腹部のトゲを使って頭を繭から出してから羽化する。
腹部も伸ばしているので全長が14mmくらいに増えている。
繭の中で羽化しちゃうと、ハマキガはちっちゃくて非力だから外に出られなくなる。
それに対して工夫しているわけですな。

蛹の腹端、側面
腹部第8・9・10節は癒合している。

蛹の腹端、腹面
尾端の鉤状刺毛で繭に固定している。
羽化の際に蛹が繭から飛び出すときにもコレが錨(いかり)の役割を果たしており、勢い余って蛹が落っこちることを防いでいる。

第9腹節に交尾器開口部、第10腹節に肛門が開口している。
(開口と書いたが穴が開いているわけでは無い。)
画像は♂なので、交尾器開口部は第9腹節にあるが、♀の場合は第8腹節に陥入する形で開口しているので、蛹での雌雄の区別は可能である。

この辺は、過去記事にも解説してあるのでそちらを参照されたい。↓



ではまた