2019年8月31日土曜日

ミイロツメボソクモバチのクモ運び

日曜日のお散歩で見かけたハチ。
稜線沿いのガレ場。
時刻は12:12

拡大
ハエトリグモを抱えていた。
近年増加傾向にあるハチだと図鑑にあった。
ハエトリグモを狩って既存の穴を利用して砂で埋めるとのこと。

時々休んだりしながらクモの脚を咥えて運んでいた。
12:27

ハチが目を離した隙にクモを拡大。
ネコハエトリ Carrhotus xanthogrammaのようだ。

12:28
戻ってきて顔をコシコシ。
12:31
ミイロツメボソクモバチ 赤色型
  Agenioideus cinctellus
図鑑には黒色型がいるそうだ。
黒かったら私には同定できる気がしない。

水平面は後ろ向きに引っ張って運ぶが、垂直面はぶら下げながら前向きに運んでいる。
12:37
あ゛あ゛あ゛腰が死ぬ(私のこと)
と背伸びをして眺めていたら、
崖の割れ目にスルリと引きずり込んでしまった。


運んだルートはこんな感じで5mほど。
5m運ぶのに25分かけていた。
狩った現場をを見ていないので、それ以上を運んだことになる。
途中でクモを置いて、ルートを確かめるために行ったり来たりしていたので、かなり長い距離を移動していることになる。

ハチのお母さんは働き者ですな。

ではまた

2019年8月24日土曜日

ザウターキモグリバエの産卵

ネタがないのでちょっと前の画像から。
2019.VII.21
ササの新梢が枯れている。
以前なら気にも留めていなかった現象。

下手人はその前の週に撮っていた。
ふわふわと目の前をゆ~っくり飛んで、ササに止まったショウジョウバエくらいのちっちゃなハエ。
2019.VII.15
ザウターキモグリバエ Terusa frontata
そおっと覗いていると、伸びかけのササの新梢におしりをつけて、
フニフニと体を揺らしていた。

たぶん産卵。
ザウターキモグリバエ Terusa frontata
レモン色のなかなか美人さんのハエである。
最初のササとはまた別の場所である。
早いと5月頃から見かけているような気がする。
幼虫はたぶんフツーのウジだと思う。
暑くて確かめる気が起きない。

本種は以前、「一寸のハエにも五分の大和魂」というハエの掲示板に質問して教えていただいた種類である。
該当のスレッドは↓をクリック。
「キモグリバエ?」

本種は当初 Sauter博士が Chlorops frontata として新種記載されたものが<-間違い)
本種は当初 Sauter氏が採集し、Becker博士が Chlorops frontata として新種記載されたものが、のちに新属に移され、その際 Sauter氏の功績をたたえて名前を並べ替えた「 Terusa 」という属にされたそうである。
こういう並べ替えをアナグラムと云うそうな。


ではまた

2019年8月17日土曜日

セミヤドリガのアブラゼミ寄生例

ワタシ的盆休み採集最終の16日、台風一過のお散歩へ。
セミも疲れたのか、年取ったのかあまり逃げない。
何年振りかでアブラゼミを手掴み。

!!
なんと、セミヤドリガの幼虫が付いていた。
アブラゼミ Graptopsaltria nigrofuscata に寄生する
セミヤドリガ Epipomponia nawai 幼虫
私は見るのは初めて。
ヒグラシ、アブラゼミ、ミンミンゼミ、ツクツクボウシ、ヒメハルゼミ、ニイニイゼミに寄生例がある。
近所ではヒグラシとミンミンゼミで寄生しているのを見たことがあり、寄生例が多いのはヒグラシである。
アブラゼミに寄生しているのを見たのは今回が初めてである。
アブラゼミの寄生例は少ないが、単純に少ないのか、翅が着色しているため目で見て寄生している幼虫が見えていないだけなのか?不明である。

セミヤドリガの寄生したセミを見るのは、割りと湿り気のある谷筋の方で多い気がする。
高い所にいることが多いアブラゼミはやはり寄生することは少ないと思う。

画像の幼虫は亜終齢くらいかな?
白いワックスだらけになった終齢幼虫だったら
持ち帰ればすぐ蛹化すると思うが、
この状態で持ち帰ってもセミがすぐ死んで
飼育できる気がしなかったので、泣く泣くリリース。

の前に、拡大。
セミヤドリガ Epipomponia nawai 幼虫
落ちないように糸を張り巡らせて、短い腹脚でしっかり掴んでいるのが判る。


ではまた

2019年8月10日土曜日

チリイソウロウグモの外雌器

ちょっと前のツイート
いくつか見たうちの巣で、主がいない古巣をチラ見。
なんか違うのが居座っている。
拡大
チリイソウロウグモ Argyrodes kumadai
ヒメグモの仲間だけど、自分では巣を張らずに他種の巣に間借りして餌を横取りしたり、あろうことか巣の主を襲うこともあるそうだ。

居候蜘蛛というより強盗殺人蜘蛛ではないか。

なんとなく採集して持ち帰ったら死んでいた。
おう。。

メス成体だったので外雌器のあたりを撮影。
体の模様はチリイソウロウグモだけど、
図鑑の外雌器の図となんか違う。

外雌器の上半分が膠(ニカワ)のようなもので覆われてよく判らない。

解剖して苛性カリ水溶液で炊いてみた。
矢印の膠部分はゼリー状になったので外す。
なんとなく図鑑の図に近づいた。

ギフチョウみたいに交尾の時オスが交尾栓を残すのかな?
たぶんそうだろう。
クモの中には触肢の栓子(精子を注入する針みたいなもの)を
交尾後に折って外雌器に残すヤツもいるそうで、
後から浮気されたりしないように対策している。
下手したらメスに食べられたりするし、
オスはみんな子孫を残すのに必死みたいである。

外雌器を内側から
外から見るより複雑な構造である。

透過光で撮影

ではまた

2019年8月3日土曜日

コブチヒメヘリカメムシ

今週も採った虫貼って終わり。。
7月21日採集分。
コブチヒメヘリカメムシ
 Stictopleurus minutus 
裏側

顔のあたり

ブチヒメヘリカメムシ Stictopleurus punctatonervosus の亜種とされていたが、近年独立種となったそうな。
古い図鑑の和名はブチヒゲヘリカメムシになっているが誤りとのこと。ブチヒメが正しい。
【日本原色カメムシ図鑑の3巻では正しい和名だが、同図鑑の1巻ではブチヒゲヘリカメムシ(誤)になっているので注意。】
コブチはブチヒメと比較して体表の毛が疎らなことで区別できる、とある。
典型的な個体は体色が明るいとのこと。
手持ちの標本でみると、ブチヒメの方は腹部側面は白黒まだらになっているが、画像の個体の側面は全体淡色である。

昔採ったブチヒメヘリカメムシ
ブチヒメヘリカメムシ
 Stictopleurus punctatonervosus 
コブチは♀だけど、こちらは♂。体形は性差だと思う。
2013年11月23日採集

顔のあたり
言われてみれば毛が長いような気がする。。。

同定合ってるよね?


ではまた