2019年11月30日土曜日

オウギグモの卵嚢

10数年来のお散歩コースの疑問がツイッターで解消したのでこちらにも記録。

先日何気なくしたツイート。

このツイートから続く、三千里@ilovespider2525 氏とのやり取りで、あっさりと解決してしまった。
感謝感激であります。

で、オウギグモ Hyptiotes affinis と判明したので、画像を放出。

最初に認識したのは2006年。

この年は複数見たので、3月に複数削り取って持ち帰った。
見たことない小蛾でも羽化しないかな?とか思ったのであるが、、
で、我慢できずに4月に1個開いたら、、、
ハチの蛹が出てきて、ヒメバチの繭だったか~。と納得していたら
5月になって別のものから仔グモが出てきてアレッとなる。↓
要は、ハチはクモの卵嚢に寄生していたらしい。
このときのハチの標本は残っていないので、干乾びさせてしまった模様。
仔グモももちろん飼育できずに死んでしまった。
クモの卵嚢だと判ったのでとりあえず満足。

それから数年は見かける卵嚢の数が少なかったので採集自粛。
節操なくイロイロ採集しているけど、一応私は蛾屋なので。。。

で、2008年の暮れに割りと数を見かけたので、
2009年の早春になってから懲りずに採集。
暮れに採集しちゃうと乾燥でダメにしそうだと思ったからである。

同じ場所を飽きもせずに散歩している利点ですな。

さて、記憶では5個ほど持ち帰ったはず。
それから、1♂2♀のヒメバチが羽化して、
残りから仔グモが孵った。
ツイッターに貼った画像を再掲。オウギグモ初齢。
この画像で種類が判明。仔グモで判るとか、クモ屋さんすごい。

ところで、
1個の卵嚢に10数個しか卵がないが、大卵少産型なんだろうか。
それとも卵嚢をたくさん作るのだろうか?
こんなにヒメバチに寄生されるのなら後者のような気もするが、、、
親グモのサイズからすると、十分大型の卵みたいだから、
孵化さえすれば生き残る確率は高そうな気もする。

手持ちの図鑑を読み直す。
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ウズグモ科 Uloboridae に属する。
オウギグモ属の特徴
前列眼はとても小さく後列眼がとても大きい、
後中眼の間は広く離れ、後側眼は背甲の側方にある、
とあるが、日本産の種(オウギグモ)では後側眼は退化して痕跡となり6眼である。
とある。
****************************
日本産クモ類(2009)より引用。

答えを聞いてから図鑑を見直すと確かに変わった眼の並び。。。
私にはムリムリ。

で、この時も飼育に失敗してしまった。
巣を張るクモだったから、管ビンに小バエと一緒にしていただけでは、うまく食い付けなかったのかも?と答えを知ってから思うなど。。。

時々見かけた卵嚢の写真を貼っておしまい。
2008.XI.2

2009.II.8
お散歩コースでは、このヤブツバキのような滑らかな樹皮で見ることが多い。

2009.II.21
風通しのよい尾根筋で見ることはなく、コケが生えるような湿り気のある木の幹で見ることが多い気がする。

2010.XII.4
ほとんどは木の幹で見るが、枝にも付いていることがある。

こんな感じで、胸から膝くらいの高さの幹にペトッと貼りついている。


ところで、
オウギグモの巣とかは旧ブログで紹介している。↓
insectmoth.hatenablog.com

数少ない経験則では、尾根筋には見たことなくて中腹から谷筋で巣を見る。
卵嚢も同じ場所にある。

点と点が繋がった今週でした。

おまけ

羽化したヒメバチも貼っておきます。
同定放棄。
オウギグモの卵嚢から羽化したヒメバチの1種


前伸腹節は大小の六角形が二つ並んだ感じ。
前翅長4㎜程の小型のヒメバチでした。

ではまた

2019年11月23日土曜日

不明卵塊の遮蔽物はお弁当かも?

砂防堰堤に誰かが植えたモクレンが、
昨年の台風で土砂が30cm積もって結局枯れちゃった。

その幹をよく見るとカサブタが付いていた。

持ち帰って裏側を見ると何かの卵塊であることが判明。
ただ卵は干乾びており、孵化しなかった卵塊のようだ。

遮蔽物(カサブタ部分)を水で溶いて拡大。
鱗粉が見当たらないので鱗翅目じゃなさそう。
遮蔽物は植物片かな?
地衣かも?
それを糸で固定しているようだ。

卵は俵型だった。
見たことのあるクモの卵は球形なので、クモでもなさそう。

思いつくのはチャタテムシくらい?

同じ木にあった不思議物。
孵化後の卵塊ぽい?

でも遮蔽物がない。

想像をたくましくして考えて、
もしこれらが同じものだとすると、
孵化した幼虫が遮蔽物を食べたんだろうか?
とか
そうすると、母虫が卵塊を隠すついでに
わざわざ食べ物を幼虫に用意していることになる。
とか考えてみる。

真相は判りませんけどね。

だれか調べてみない?

ではまた

2019年11月16日土曜日

ウスバフタホシコケガとスカシコケガは蛹で区別できそう。

先日のお散歩で見かけた蛾。
2019.XI.10
ウスバフタホシコケガ Schistophleps bipuncta
背中も縁毛もハゲてない新鮮な状態の蛾。
ということで、横っちょにあるスケスケ繭は本種のものだろう。
すぐ上にあるクシャッとしたのはスジチャタテの羽化殻。

羽化後の蛹と繭の拡大。
繭には黒い毛が垣根状に並べてある。

同じ形状の繭を作るのは以前見ている。
旧ブログに紹介した、↓

「垣根付きの繭」の、スカシコケガ Nudaria ranruna

これと比べると繭の形状はほとんど同じである。
本種も同様に終齢幼虫が自らの毛を使って繭を作るのだろう。

コケガの仲間は他にもこんな習性を持つ種がいて、
アカスジシロコケガはカゴ状の繭を作る。昨年の記事↓
「アカスジシロコケガの繭作り」

さて、スカシコケガとウスバフタホシコケガの蛹を比べると、蛹に残る黒斑の模様は2種で異なっているようだ。

スカシコケガの黒斑は腹部背板の4・5節辺りに見られるだけだが、ウスバフタホシコケガでは胸部から腹端まで黒斑が広がっているようだ。

後は幼虫が来年以降の宿題ですな。

(ツイッターでしばらく前に見かけた繭はスカシコケガで決定してよかったみたい。)


ではまた

2019年11月9日土曜日

跳ねるウジ・・・ナカジロコガネショウジョウバエ

跳ねるウジといえば、ミバエとかチーズバエが知られている。
以前見る機会のあったカボチャミバエのウジが跳ねる動画


同じ習性がショウジョウバエ科でも見られたのでご紹介。

先週ヌカカを紹介したキノコにいたウジ。
ヌカカは糸角亜目だけど、こちらは頭殻が退化しているので短角亜目のハエの幼虫。

咽頭骨格
透過処理して押さえつけたら咽頭骨格が前後に離れてしまった。
幼虫は前屈して、画像左端の口鉤を腹端に引っ掛けてピンっと跳ねる。
「as」は前方気門。

前方気門の拡大

後方気門

それが今週羽化した。
2月に紹介した「ナカジロコガネショウジョウバエ」だった。
羽化間もないので翅の模様がちと薄い。
♂交尾器
硬化が進んでないのでフニャフニャにつぶれたけど、以前の記事と一致してる。

蛹(囲蛹)
左が頭部側。

拡大
前方気門が幼虫時より目立つ。

羽化後の囲蛹殻
ノミバエの蛹は観音開きだけど、ショウジョウバエは上下に割れる感じ。
幼虫時の咽頭骨格が残っているのが判る。

さて、

ナカジロコガネショウジョウバエの幼虫が跳ねる動画。

跳ねる方法はカボチャミバエと一緒。
濡れているので跳ねる前段階で何回かコケてますが、最後に跳ねます。
ほぼワープ。
飼育容器の壁は4cmあるのだが、余裕で飛び越えていた。
ウジは6mmほどだから、身長の7倍以上を飛べることになる。

ヒマがあったらハイスピード動画撮りたかったけど、時間が取れず。。。

なぜこんな跳ねる行動を獲得したのか?

先週の記事の1枚目のキノコ写真に写り込んでいるスイカの種みたいなのはオオヒラタエンマムシ。
オオヒラタエンマムシはハエのウジが好物らしい。
他にもハネカクシにウジ好きな種類がいる。

ナカジロコガネショウジョウバエは他のショウジョウバエより一回り大きく捕食者にとっては食いでがあるように見える。
だから、成熟したらとっととキノコから離れて蛹化するのじゃなかろうか?

でもこんなのが近くに待機していたら、のろのろ這って移動するより跳ねる方が生き残りやすいと考えてみる。
ウジの口器は他の昆虫のように左右に動かずに上下に動くようになっている。
この構造もおしりに引っ掛けやすくて、跳ねる行動を獲得しやすかったんじゃないか?
なんて想像してみるのである。

となると短角亜目の他の科にも同様な行動をする種がいそうな気がするのだが、どうだろうか。


ではまた

2019年11月2日土曜日

キノコを食べるヌカカ

昨年の台風で倒れたエノキにキノコが生えていた。
2019.X.20
秋に来た台風で山が湿ったので出てきたみたい。
種類は???。
ニクハリタケとかサガリハリタケとかその辺り?
傘の裏が針状になるタイプ。

ひとつまみ持って帰ってタッパーに入れて時々見ていた。ら、
ヌカカ科 Ceratopogonidae gen.sp.
ヌカカの幼虫がうにうに出てきた。体長は約4mm。
種類はもちろん判らない。

ヌカカは水生の種が多いが、陸生の種類もいて
湿った枯れ木の樹皮下とかキノコで時々見かける。
腐葉土にも似たのがいるけど、陸生ユスリカのことが多い。

幼虫の顔

キノコをひっくり返すと蛹も出てきた。
蛹の側面
オニボウフラ(カの蛹)っぽい形ですな。

なぜかジッとしている幼虫がいた。
ピコプコ上下に屈伸していたので、ちょうど蛹化をはじめたみたい。

途中からだけど、動画撮ってみた。

しばらくしたら羽化が始まった。

成虫はこんな。

体長は約3mm。

♂側面
触角には長毛が生えている。
普通はフサフサに拡がっているけど、羽化後しばらくとか死んだりすると閉じちゃう。

♀側面
♀の触角には長毛はない。

ヌカカも刺す口を持っているが、ヒト刺咬性の種類は少ない。
蛾とか他の昆虫の翅に止まって翅脈から吸血しているヌカカは時々見ることがある。


ではまた