2020年8月29日土曜日

吸血アブの大顎はギザ歯の包丁

お散歩コースでいつも纏わりついて鬱陶しいアブがいる。

まだ血を吸われたことはない。

お散歩ネットで捕獲。

ヤマトアブ Tabanus rufidens 

旧ブログで一度紹介したヤマトアブ。

ネタがないので

口の構造をもう少し詳しく観察してみた。

mp:maxillary palpi 小顎髭

la:labellum 唇弁

小顎髭を外して、、

ぷよぷよしている唇弁をさげると、、

尖った口が出てきた。

昔の記事ではここで終わっていたのをもう少し。

尖った口を分解してみた。

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2020年9月5日画像差し替え

海外のサイトを参考にして書き込んでいたのですが、

上唇と下咽頭をどうも取り違えているようです。

手持ちの図鑑とか昆虫学辞典を見直して上図に改めます。

hp(大きい方)の前面に lbが貼り付いている状態です。

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lb:labrum 上唇

hp:hypopharynx 下咽頭

md:mandible 大顎

mx:maxilla 小顎

mp:maxillary palpi 小顎髭


いろんなパーツで構成されているようで。

拡大してみると先端形状も様々だった。


上唇下咽頭の先端


下咽頭上唇の先端


下咽頭は上唇は下咽頭の上に貼り付くように付いている。

下咽頭には唾液道があるらしい。


小顎の先端

逆トゲがビッシリ)))


大顎

ぺなんぺなんである。


大顎先端の拡大

完全にのこぎり。


蚊のように注射針を刺すイメージではなく

ギザ歯の包丁で切り裂きながら唇弁で舐めるイメージ?


平たく言えばハエの仲間なので大顎なんて退化しているように思うところだが、種類によっては機能的な大顎がちゃんとある。


ではまた

2020年8月22日土曜日

ミツノゴミムシダマシ

採った虫貼るだけday。

暑くてだらだら歩くだけの今日この頃。

お散歩ネットも蚊除けとメマトイ除けにしか使っていないという。。

そのネットを枯れ木に引っ掛けて休憩して、

、、、

さて、と見ると勝手に入っていた。↓

ミツノゴミムシダマシ Toxicum triconutum

さすがゴミムシダマシ大図鑑で★1個の普通種である。

(この図鑑は珍品ほど★がたくさん付けられている)


オスは画像のように角があってカッコいいんだけどねぇ。

顔を斜めから。

朽ち木に住むゴミムシダマシの中には

ときどきオスに角のある種類がいるけど、

生活に支障はないのだろうか?

少々の不便を押してもオス同士の♀をめぐる競争が激しいということだろうか。


ではまた

2020年8月15日土曜日

ヒゲナガグンバイ

 今日は新顔貼るだけ。

2020年8月2日 ヒイラギの葉裏。
ヒゲナガグンバイ Perissonemia occasa

何年も前からヒイラギの葉っぱが白くなっているのを見ていた。

なんじゃろね? と思っていたが今年初めて犯人を見た。

まだ葉っぱは白くなっていないけど、葉裏は糞で汚れている。


2個体ほど同定用に持ち帰り。

ヒゲナガグンバイ Perissonemia occasa

触角は体長の半分以上。

茶色い地味系のグンバイの中では綺麗な種類だと思う。

側面

頭部下面にひだが張り出してる。

腹面

口吻は中脚基部に届く程度。

前翅翅脈はどれがどれやらな感じ。

後翅は割と普通。

腹端

オスでした。


翌週、同じ場所に行ってみた。

2020年8月10日

1匹もいなくなっていた。

見えているのは脱皮殻。

糞で汚れているけど、まだ葉っぱが白くなっていない。

汁を吸われて白くなった葉っぱを見つけても

犯人がいないのは羽化したらすぐ分散する習性があるのかも?


ではまた

2020年8月8日土曜日

神戸の台湾・・・タイワンヒラアシキバチ初見

 今日はハチの日だそうで、、、

先日買った「日本産ハバチ・キバチ類図鑑」が早速役にたった。


ナラ枯れの進む我がお散歩コース。

枯れかけのコナラに見たこともないキバチがいた。

2020年8月2日

矢印はカシノナガキクイが粉を出している穴。

この穴が樹液を出しているうちはコナラはまだ抵抗しているようだけど、画像のように乾燥した粉を出すようになると、葉っぱが茶色くなって1・2年で枯れてしまう。


キバチはハチの中ではどんくさい方だと思うが、

飛ばれると見失うので1枚撮って即採集。

タイワンヒラアシキバチEriotremex formosanus でよさそうだ。

買ったばかりの図鑑で決定。

キバチ科Siricidae の大形種である。


以下死骸の画像。

背面

タイワンヒラアシキバチ
Eriotremex formosanus

腹面

背面から見た印象と違って、意外と産卵管が長い。


側面

鞘から産卵管を出してある。真っ黒で硬そう。


本種は南方系の種で単発的に本州で記録があり、輸入材からの発生だと考えられていたのが、最近では山口県のコナラ林でかなり発生しており、京都府ではカシノナガキクイの捕獲トラップで多数採集された、と図鑑にある。トラップってあれかな?ペットボトルの上部分を逆さにズラッと重ねてぶら下げるやつかな?


山口と京都で採れてたら神戸でもいるよね。


ネットを検索すると

「茨城県初記録となるタイワンヒラアシキバチ(ハチ目:キバチ科)の採集とそのマイカンギアの観察」 (リンク先pdfファイル)

という報文があり、

それによると関東や福井県辺りまで記録があるそうな。

ということでなので、しっかり定着しているようだ。


ところで、

「きべりはむし36巻2号(2014)」にニセタイワンヒラアシキバチの採集報告というのも見つけた。

・兵庫県産ハバチ・キバチ類の追加記録 (リンク先pdfファイル)

2004年に三田市で1♀の記録。


このニセタイワンヒラアシキバチEriotremex yamasakii という種は

岡山県で採集された1♀により1990年に新種記載されたが、

タイワンヒラアシキバチに酷似しているため再検討が必要、

と図鑑に書かれていた。ので、

とりあえずここではタイワンヒラアシキバチとしておきます。

もう1種いますが分布が石垣島で腹部は全体黒色なので除外。


ヒラアシキバチ属Tremex

ミナミヒラアシキバチ属Eriotremex の区別点。

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前翅2R1室と3R1室の長さに比は約1:1。触角の節は16節以下。

・・・・・・・・・・・・・・・ヒラアシキバチ属Tremex

前翅2R1室と3R1室の長さに比は約1:2。触角の節は20節以上。

・・・・・・・・・・・・・・・ミナミヒラアシキバチ属Eriotremex

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標本箱からヒラアシキバチ属をパチリ
2012年5月4日採集
カタマルヒラアシキバチ
Tremex contractus

今回のミナミヒラアシキバチ属の翅脈

タイワンヒラアシキバチ
Eriotremex formosanus


北から拡がってきたナラ枯れを利用して、

南からタイワンヒラアシキバチが

これ幸いと分布拡大しているのだろうか。。


おまけ

タイワンヒラアシキバチの顔

複眼の後ろが膨らんで筋肉たっぷりみたいな?

硬い木でもバリバリ穴開けそう。。

ではまた

2020年8月1日土曜日

クロテンハイイロコケガの幼虫

近畿は7月最終日にやっとこさ梅雨明けの報。
なんでしょうね今年は。

久々に幼虫貼ります。
ちょっと前の7月19日。
クロテンハイイロコケガ Eugoa grisea
クロテンハイイロコケガ Eugoa grisea 
谷筋の苔むした木の幹に貼り付く毛虫。
地衣類を食べるが、乾燥しているときは隠れて出てこない。
梅雨時にはいろんなコケガ亜科の幼虫で出てきていることが多い。

背中から
クロテンハイイロコケガ Eugoa grisea
クロテンハイイロコケガ Eugoa grisea 
地味なようで白黒のメリハリの利いた模様が並ぶ。
側面にうすいミカン色の毛束が並んでいる。

普通種なので成虫はよく見かけるが、幼虫は私的に初見。

持ち帰り。
クロテンハイイロコケガ Eugoa grisea
クロテンハイイロコケガ Eugoa grisea 
体長は15㎜ほど。♂の終齢幼虫だと思う。

顔。
クロテンハイイロコケガ Eugoa grisea
個眼のうち、第3個眼が他より大きい。
幼虫の目をときどき「単眼;ocellus」と呼ぶ方がおられるが、
成虫の単眼とは相同でないため、
個眼stemma 複数形はstemmata」と呼ぶのが正しい。
数字は上の後ろから第1個眼、第2個眼・・・と数えていく。

鱗翅目幼虫の個眼数は通常6個である。
祖先形質はトビケラと同じで7個だそう。
現生の鱗翅目で7個の個眼を持つのはモグリコバネガ科だけだそうだ。

さて、この幼虫は他のコケガと同じ感じで
自分の体毛で荒い繭を作って蛹化した。
2020年7月25日
クロテンハイイロコケガ Eugoa grisea pupa
繭作ったはいいが、はみでてる。。。

白いのは蛹化したてなだけで、日がたつと焦げ茶色になる。

羽化してから記事にしようかと思ったけど、
ネタがないのでとりあえずここまでで記事化。

無事に羽化したら成虫をこの下に貼る予定。

ではまた