2024年11月30日土曜日

クチナガガガンボはおちょぼぐち

日曜日は用事があったので、、、

ちょっと前のツイート

OM-10で撮ったやつ↓

クチナガガガンボの一種
Elephantomyia sp.
細長い口吻を持つ特異なヒメガガンボである。

口吻の先端は隠れているが、見えている先端は矢印のところ。

クチナガガガンボ属は体長より長い口吻を持つのが特徴とのこと。

蚊(カ科)の口は口器のそれぞれのパーツが伸長した構造だけれど、こちらは単純な筒のように見える。

ちょっと苛性カリで炊いて観察してみた。

頭部全体

これだとヨク判らないので、、

口吻基部

クチナガガガンボの一種
Elephantomyia sp.
触角の間に筒が伸びているだけで、なんのパーツもない。

口吻先端

クチナガガガンボの一種
Elephantomyia sp.
先端に口のパーツが集まっていた。

矢印の刺毛は他から流れてきたもので口器とは無関係。

パーツが簡略化しているので、小顎髭は判るけど残りのパーツが唇弁なのか下唇髭なのかよく判らない。

おちょぼぐちというか、極端なひょっとこ顔というか、変わった進化の仕方である。

手持ちの図鑑にはElephantomyia属は

ヒメクチナガガガンボE.dietziana

クチナガガガンボE.hokkaidensisの2種がいるらしい。

が、私にはよく判らないので一種にしておく。

属名にエレファントが入っていて覚えやすい。

おまけ、前翅

クチナガガガンボの一種
Elephantomyia sp.

ではまた

2024年11月23日土曜日

ツヤカモドキサシガメ

ちょっと前のツイート

これに鶉様より「ツヤカモドキサシガメだと思います」のご指摘が。

いつも見掛けるのはウスイロカモドキサシガメなので、そう思い込んでリリースしてしまった。

標本がないと確認できないし、もやもやするし、

で日曜日に再度シュロを叩きに行ってみたがリベンジならず。

あきらめきれずに枯葉を叩いてみたら1個体だけ見つけることができた。

やっほい

こんな感じの枯葉。

たしかナラ枯れの倒木に巻き込まれたカゴノキか何かだったと思う。

谷筋で湿り気があり、菌食性のチャタテムシとかがいるような空中の枯葉がポイントのような気がする。

さて

背面

ツヤカモドキサシガメ
Calphurnioides japonicus

手足が長くてよく判らないので、、

以下拡大画像と図鑑の解説をかいつまんで。

前半背面

ツヤカモドキサシガメ
Calphurnioides japonicus
湾曲した短毛が生えてる。

前翅

ツヤカモドキサシガメ
Calphurnioides japonicus
赤丸の部屋が盤状翅室

盤状翅室の基方には翅脈で閉じられた小部屋はない

青丸のところは翅脈に見えるけど模様である(と図鑑に書いてある)

矢印は縁紋の終端(翅縁に届く種類がいるそうな)


前脚黒バック

ツヤカモドキサシガメ
Calphurnioides japonicus

跗節は2節

前脚跗節の長さは踁節の1/3以下で毛に覆われる。

腿節下面の微毛が目立つが、踁節背面中央あたりにも微毛が生えてる。

白バック前脚

腿節下面にはトゲが並ぶ。

前脚腿節下面

トゲは2列に並ぶ

背中のトゲ

後胸背板に強大なトゲがある。

図鑑には小盾板と第1腹節にはトゲを欠くのがツヤカモドキサシガメ属の特徴、と書いてあるが、この個体は第1腹節にも小さいトゲがあった。

ハテ?

オスだから?

別種てことはないよね。

オスなので交尾器画像

斜めから
後ろから

おまけ

サシガメなので?前胸腹面に窪みがあり細かい横溝がある。

口吻でカリカリ音を鳴らしているのかもしれない。


ではまた

2024年11月16日土曜日

ルイスチャイロナガカメムシ

今年の夏にチャイロナガカメムシを紹介したのだけど↓、

「チャイロナガカメムシ」(クリックで移動)

日曜日のお散歩で似たのを見つけた。

これ

ルイスチャイロナガカメムシ
Neolethaeus lewisi
触角第3節先半の白色帯が目立つ種である。

標本箱を見たら既に採集済みなのが発覚したが、油が浸みてひどい標本になってた、ので綺麗なうちに画像を残しておこうそうしよう。

チャイロナガカメムシはササの上とか地上部で見かけたけど、こちらは斜面のジャノヒゲをガサガサしたら落ちてきたので地表性の種類のようだ。

チャイロナガカメムシは全国区だけど、ルイスチャイロナガカメムシは関東以西の分布だそうで、チャイロよりも南方系なのかも。

腹面

チャイロナガカメムシの口吻は中脚基節を超えるか超えないかだけど、ルイスチャイロナガカメムシは後脚基節まで伸びている。

拡大

ルイスチャイロナガカメムシ
Neolethaeus lewisi
ルイスチャイロナガカメムシは前胸背に明瞭な縦隆起があることが特徴とあるが、隆起というより無点刻域という感じがする。

臭腺のあたり

ルイスチャイロナガカメムシ
Neolethaeus lewisi
矢印が臭腺で、廻りの艶消し部分が蒸発域。

腹面腹端

中央とサイドに小さな突起があるけど、チャイロナガカメムシにはなかった気がする。


ではまた

2024年11月9日土曜日

ヒゲブトムネトゲアシブトコバチ

虫の声も少なくなってきた11月。

これといったものも見つからないままお散歩コースを歩く。

帰り際に服にくっ付いたコバチをケースに収めて持ち帰った。

・・・

初見のアシブトコバチの一種だった。

初見と言うか初認識と言うか。。

以前見つけた文献「日本産アシブトコバチ科の再検討」(リンク先pdf)で絵合わせしたら、ヒゲブトムネトゲアシブトコバチという長ったらしい和名のアシブトコバチらしい。

こんなの

ヒゲブトムネトゲアシブトコバチ
Haltichella clavicornis

よく見るキアシブトコバチと違って黄色い模様のない種類。

全体黒色で、脚とか肩板が赤褐色。

腹面

ヒゲブトムネトゲアシブトコバチ
Haltichella clavicornis

側面

ヒゲブトムネトゲアシブトコバチ
Haltichella clavicornis

ちょい斜めから

ヒゲブトムネトゲアシブトコバチ
Haltichella clavicornis
和名の「ムネトゲ」は小盾板後方の一対の突起からきてるのかしら?

ヒゲブトムネトゲアシブトコバチ
Haltichella clavicornis
文献で他のHaltichellaと比べると触角鞭節は太い感じ。

複眼の周囲は稜線で囲まれてる。

ついでに正面顔


後脚

ヒゲブトムネトゲアシブトコバチ
Haltichella clavicornis
後脚腿節はふとましい。

ひととおり和名の特徴の画像はこんなものかな。

腿節後縁には細かい鋸歯が並ぶ。

コバチ上科なので?翅脈は退化してる。

前伸腹節が見えるように斜め後ろから。

ヒゲブトムネトゲアシブトコバチ
Haltichella clavicornis

細かな網目模様。

すき


ではまた

2024年11月2日土曜日

コンボウアメバチの一種

日曜日にお散歩ネットで採った虫。

ふよふよ飛んでいたときはニトベハラボソツリアブくらいの見た目と大きさ。

採ってみたら、触角長いのでアメバチ系のヒメバチだった。

こんなの

コンボウアメバチの一種
Agrypon sp.
体長は約12mmほどの小型種。

細長くて全体を入れて撮影するとよく判らないことになる。

神奈川県立生命の星・地球博物館 特別出版物 第2号 の

「日本産ヒメバチ上科(膜翅目)の属への検索表」で

属を検索したらコンボウアメバチ亜科のAgrypon属に行き着いた。

目録を見たら、Agrypon属をみたら日本産は30種記録されている。

種までの検索はないので同定はあきらめたけど、画像が確認できるものの中ではハラナガコンボウアメバチAgrypon longipropodeum の配色が近い感じ、

だけど、微妙に産卵管の長さと形は違うような気がするので別種っぽい。


コンボウアメバチ亜科Anomaloninae の特徴は、

************************************

前翅に2m-cu脈を持つこと、

腹部第1節は細く筒状で気門は中央より後方にあること、

アメバチ型体型(腹部が縦に扁平で背面から見て細い)であること、

付節の爪は櫛歯状ではなく単純であること、

前翅は鏡胞を欠くこと

前伸腹節は網目状の隆起線に覆われること、

************************************

などで、

Agrypon属の特徴は、

************************************

産卵管鞘は腹部第2節より短いこと、

中脚脛節端の棘は2本であること、

前翅の翅脈のうち赤線の区間と黄色線の区間で長さが異なること(下図参照)、

前胸背板下方は歯状突起を欠くこと、

複眼は剛毛に覆われないこと、

前脚基節に隆起線はあるが外側には達しないこと、

頭盾前縁は突起を欠くこと、

************************************

である。(上記文献より抜粋)

で以下拡大画像。

側面

コンボウアメバチの一種
Agrypon sp.

前伸腹節が筒状に伸びている(矢印)のが素人目に新鮮であった。


胸部側面

コンボウアメバチの一種
Agrypon sp.

胸部背面
コンボウアメバチの一種
Agrypon sp.
矢印が前伸腹節。網目状。
他の種類は亀甲状だったり様々。

胸部腹面
コンボウアメバチの一種
Agrypon sp.
左上は拡大した前脚基節の隆起線

正面顔


鞘から出した産卵管

先端が幅広い。


ではまた