2022年12月24日土曜日

貰い物。ヤサイゾウムシ幼虫

お散歩コースでは中々新顔が得られない。。

なので自宅採集品でも。

「ハクサイになんかおった。」と娘から御恵与いただいた。

ヤサイゾウムシ Listroderes costirostris
手も足もないつるんころんとしたウジ虫だけど、頭だけはしっかりしている。

頭部。
ヤサイゾウムシ Listroderes costirostris

本種幼虫の特徴は気門の形。
ヤサイゾウムシ Listroderes costirostris

三日月型の気門輪にタラコ唇みたいな気門。

他の、例えばアルファルファタコゾウムシとかは前方後円墳と言うかキノコ型というかそんな形をしている。

ヤサイゾウムシは、1942年に岡山県下で最初に確認された南アメリカ原産の侵入害虫。雌のみの単為生殖で年1化。秋から春にかけて活動し、晩春から夏にかけて羽化した成虫は夏眠する。


ではまた


2022年12月17日土曜日

アゲハヒメバチ拡大画像

コロナワクチン5回目接種だん。

で、倦怠感に押しつぶされているので、

今年見た虫を貼るだけにしまふ。

2022年6月26日

アゲハヒメバチ Holcojoppa mactator ♀

梅雨時に、カラスザンショウの食痕部分を探索していた。ピンボケ、、

背面

アゲハヒメバチ Holcojoppa mactator
腹面
アゲハヒメバチ Holcojoppa mactator ♀
胸部背面
アゲハヒメバチ Holcojoppa mactator ♀
胸部腹面
アゲハヒメバチ Holcojoppa mactator ♀
腹部背面、前の方。
アゲハヒメバチ Holcojoppa mactator ♀
顔面
アゲハヒメバチ Holcojoppa mactator ♀
顔、斜めから。
アゲハヒメバチ Holcojoppa mactator ♀
しゃくれてる感じの顔である。

胸部側面

アゲハヒメバチ Holcojoppa mactator ♀
腹柄節側面
アゲハヒメバチ Holcojoppa mactator ♀
産卵管
アゲハヒメバチ Holcojoppa mactator ♀
体サイズの割りにとても短い。

付け根からでも1.4mmほど。


ではまた。

2022年12月10日土曜日

ちいさなハエヒメバチ亜科の一種

ネタが無いのでちょっと前に採ったハチの分類を試みる。

こんなの

2022年11月27日採集
ハエヒメバチ亜科の一種 Orthocentrinae Gen.sp.

体長3mmほど。

コバチ上科かと思っていたが帰って拡大すると、翅脈はヒメバチ科だった。

ちいさい、というだけで同定難易度が上がってしまうが、

ハエヒメバチ亜科の一種とした。


ハエヒメバチ亜科にした根拠は以下

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触角柄節の長さは幅の2.5倍以上ある

触角鞭節は13節以上ある

マーラースペース(大顎基部と複眼の間)は長く、明瞭な眼下溝がある

顔面は膨らみ、頭盾との境界は不明瞭

大顎は細い

後体節第1節は細長くない

中脛節の距は2本

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本亜科はヒメバチ科では最も分類が遅れているグループで日本産は100種近くいるが、ほとんどが未記載か未記録種だそうな。

ということでそれ以上の分類は諦めた。

胸部側面

ハエヒメバチ亜科の一種 Orthocentrinae Gen.sp.


胸部背面、ちょい斜め
撮影技術が小ささに負けている。。


腹部側面

ハエヒメバチ亜科の一種 Orthocentrinae Gen.sp.
矢印がたぶん気門の位置。第1後体節の気門は中央よりやや前。


ハエヒメバチ亜科の一種 Orthocentrinae Gen.sp.
矢印の下が眼下溝。


翅脈

ハエヒメバチ亜科の一種 Orthocentrinae Gen.sp.
矢印の翅脈で囲まれた部分が「鏡胞」

中脛節の距は2本の図。


おまけ 産卵管


ではまた

2022年12月3日土曜日

チャマダラカスミカメの一種

今週も不明種を貼っておしまい。

ちょこっと枯れ葉の溜まった枝をビーティングしたら落ちてきたカメムシ。

チャマダラカスミカメの一種 Yamatolygus sp. ♀
腹面
チャマダラカスミカメの一種 Yamatolygus sp. ♀
カメムシ図鑑の2巻では、本属は3種。

このうち、ミナミチャマダラカスミカメ Yamatolygus insulanus は他種より複眼間の幅が狭く、複眼間/頭幅が♂で0.3、♀で0.38以下となるそうな。

この画像でだいたい0.35。

ということはミナミチャマダラカスミカメ、

になるはずだが分布が南西諸島となっているので???

残りの既知種、チャマダラカスミカメ Y.pilosus とヒメチャマダラカスミカメ Y.flavigenis は本州に分布するが、複眼間の幅がもっと広いようだ。

とこんな感じで素人には決定打に欠けるため属止まりで止めざるを得ないという。。

カメムシ図鑑の4巻でも出れば解決するのだろうか。

この種はかなり以前から冬場に限って見かけることが多く、7年前にもツイッターに貼っていた。↓

このツイートに、おぴんぴんおじさん ことピン・セイダイ Nagashima, Seidai 氏より、私も採ってるけど未同定、という返信をいただいている。

この方はカメムシ図鑑の著者のおひとりなので、やっぱり未決定種ということなのだろう。

おまけ
標本箱にいくつかあったので、古い記録はどれくらいかな、と探してみた。

2010年1月31日採集
チャマダラカスミカメの一種 Yamatolygus sp. ♂
ワタクシ的初見は12年前らしい。

ざっと計算して複眼間は0.25くらい。
0.3以下なのでこれも未決定種になっちゃった。

ではまた

2022年11月26日土曜日

ヒメコバチに寄生されたムモンハモグリガ科の幼虫

今週のお散歩コースも安定の虫不足。

なので、ちょっと前の画像から。

2022年10月16日
ムモンハモグリガ科Tischeriidaeの食痕
茶色い円形のがムモンハモグリガ科の食痕。

秋遅くの食痕は普通中身がないのだが、話のタネに持ち帰ってみた。

ぺりぺり捲ってみると、幼虫が残っていたが、生育できずにミイラ化していた。

でも何かいますな。

拡大。

手足はないが、右側に頭蓋らしきものがあるので双翅目ではなさそう。

寄生蜂の幼虫かな。

1週間後、

蛹化した。

左のはうんち。

色合いが不健康な感じでどうなることかと思っていた10日後、

ヒメコバチ科の1種Eulophidae Gen.sp.
体長0.9mmのヒメコバチが羽化した。

腹面も

ヒメコバチ科の1種Eulophidae Gen.sp.
ちいさくてこれ以上掘り下げて調べることができず。


で、ミイラ化したいもむしを苛性カリで炊いてみた。

ムモンハモグリガ科Tischeriidae Gen.sp.

腹部が破れており、こいつからヒメコバチが脱出していたことは確からしい。


ムモンハモグリガ科幼虫の特徴は、

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前額縫線と副前額縫線は頭部後端で合一する。

個眼は4あるいは6対で側縁にほぼ直線状に並ぶ。

胸脚を欠き、関節と爪を欠く「歩瘤(ambulatory callus)」を備える。

腹脚は4対あるが欠く場合がある。

尾脚の鉤爪は同長で多列横帯か単列横帯。

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などなど。


頭部の拡大。

ムモンハモグリガ科Tischeriidae Gen.sp.
矢印は頭部の後端。

よく見ると側縁に4対まで個眼が確認できた。


前胸と中胸。

ムモンハモグリガ科Tischeriidae Gen.sp.
矢印が「歩瘤」


本個体では腹脚は確認できず。

尾脚。

本個体は単列横帯だった。

おまけ

ピントをずらすと、、、

ひょっとして

昆虫寄生菌のラブルベニアかや?


ではまた

2022年11月19日土曜日

オニグルミに付くオオアブラムシの1種

この日曜日のお散歩コースは雨の一日であった。

なんの成果も得られませんでした~

ということで、ベランダから見た自宅の庭木から。。

オオアブラムシの1種 Lachnus sp.
葉っぱが黄色くなりかけのオニグルミの枝に、今年初めてアブラムシが湧いた。

拡大

オオアブラムシの1種 Lachnus sp.
腹面
オオアブラムシの1種 Lachnus sp.
体長約5mmと大型、頭は丸い、角状管は短く噴火口状、腹端は丸い、触角も口吻も長くない、ということでオオアブラムシの1種だろうけど、手持ちの図鑑にもネットを検索しても、オニグルミに付くオオアブラムシは見つからない。

肉眼的にはクリオオアブラムシLachnus tropicalisにそっくりなので、趣味嗜好が特殊な個体群なのかしら?

寄主転換して別種になりつつある所だったら面白い(妄想)。

比べてみたいところだけれど、手元にクリオオアブラムシが無いので如何ともし難い。。

仕方が無いので、詳細な画像を作っておいてそのうち検証しよう。

いつになるか判らないけど、,,

ということで、10%苛性カリ水溶液で湯煎して内容物を溶かし出す。

各部の拡大

角状管


腹端


触角第3節

触角第4節

触角第5・6節

腹部の肥厚板

気門

個人的に面白いと思ったのは後脚脛節。
小さな窓がいっぱいある。

アブラムシのコロニーに手をかざしたりすると、皆で一斉に後脚を振り上げてパタパタしているのが観察できるけど、この窓から忌避的な物質を放出していたら後脚パタパタが意味のある行動になるのだけれどどうだろうか。

化学屋さんの誰か分析してみない?

ではまた

2022年11月12日土曜日

ネグロミノガ

日曜日のお散歩起点の八幡さんに着いて早々に見つけた。
ネグロミノガ Acanthopsyche nigraplaga
本種の成虫は初めて見た。
羽化したてっぽいのに翅の鱗粉が剥げている、
のではなく、もともとこういう蛾。

10秒後。
ネグロミノガ Acanthopsyche nigraplaga
蛾尿を排出した。蛹便ともいう。
蛹時代の老廃物を、翅を伸ばした後に排出する。
水に不溶の尿酸を含んでいるので白く濁っている。

ミノガの仲間は口吻が退化しているので、
これがおそらく最後のうんちである。

蓑と蛹殻。
本種の蓑は細長く、イネ科など丸い茎を齧り取って蓑にくっつけるのが特徴とのこと。

蛹殻
ネグロミノガ Acanthopsyche nigraplaga
スズメガとかの蛹と違って、口吻が目立たない(か無い)。

♂成虫の翅
ネグロミノガ Acanthopsyche nigraplaga
拡大してみると、透明に見える部分にも細くなった毛状の鱗粉が生えていた。
基部の黒い部分は普通の鱗粉だった。

触角は羽毛状。
♀は蓑の中で蛹化してそのまま羽化するが、羽も脚もない蛆虫状で蓑から出ない。
そんな引きこもりの♀を探すために、触角が発達してるのだろう。
♀も頭を下にして羽化するので、腹端は蓑の奥。
♂は腹部を長く伸ばして交尾するらしい。


ではまた