2022年10月29日土曜日

ヒトフシムカデ属改めイシムカデ属の一種

そろそろ歩いているだけではブログネタが見つからなくなってきたので、腐葉土を久し振りに持ち帰ってネタ探し。

小型のムカデがいたので、今回はこれを調べてみる。

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2023年5月4日訂正

ツイッターでご指摘がありイシムカデ属の一種 Lithobius sp.に訂正します。

ご指摘いただいた、もふK様に感謝。

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ヒトフシムカデ属の一種 Monotarsobius sp.
イシムカデ属の一種 Lithobius sp.
体長は約9mm。最終歩肢の方にシマ模様がある。

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歩肢の数は15対なので、イシムカデ目 Lithobiomorpha

ヒトフシムカデ属の一種 Monotarsobius sp.
イシムカデ属の一種 Lithobius sp.

歩肢の各節に数本の武装棘をもつ(各節先端の例えば矢印の所)

歩肢の脛節末端に棘突起はない

顎肢歯板の小歯数は各側に2・3個(矢印が小歯)

ヒトフシムカデ属の一種 Monotarsobius sp.
イシムカデ属の一種 Lithobius sp.

第12~15歩肢の基節腺孔は1列(丸印が腺孔のある基節、矢印が腺孔)

以上がイシムカデ科 Lithobiidae の特徴

で、そのうち第1~13歩肢の付節は1節なのが、

ヒトフシムカデ属 Monotarsobius となる。

※第2付節の画像をあげているのに何故ヒトフシムカデ属としたのかナゾである。

他の属は付節は2節である。

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日本産土壌動物 第二版(東海大学出版会、2015)によると、ヒトフシムカデ属は小型のイシムカデの仲間で現在27種、研究途上で今後さらに多くの種が追加されるであらう、

と書かれているのでこれ以上は素人同定は止めた方が無難な感じ。

これ以上の分類には、触角節数、眼の数、♀の生殖肢の爪の数と形状、♂の第15歩肢脛節の飾毛群の有無と形状、第12~15歩肢基節の腺孔数、などを細かく見ていかないといけないようだ。

イシムカデ属に至っては種の紹介もされていないので素人に分類することは難しそうである。


おまけの図

頭部側面

ヒトフシムカデ属の一種 Monotarsobius sp.
イシムカデ属の一種 Lithobius sp.
小さい種類なので眼の数が判りにくい。。。

2列で6個あるように見えるが定かでない。


腹端腹面

ヒトフシムカデ属の一種 Monotarsobius sp.
イシムカデ属の一種 Lithobius sp.
矢印が生殖肢だろう。

ということは♀のようだ。


ではまた

2022年10月22日土曜日

馬面のトビコバチ

木の幹を何気なく眺めていたらいたらコバチがいた。

コバチがいたとは書いたけど、現地では老眼なので何目かすら判らず。

こういうのだった。

トビコバチ科 Encyrtidae Gen.sp.
普段見かけるのとは頭部の雰囲気が違うのだけど、中脚が発達しているのでトビコバチ科でいいと思う。

背面

トビコバチ科 Encyrtidae Gen.sp.
体長は2mm足らず、翅端まで2.3mmほど。

中脚径節端の距が発達している。

頭がヘルメットみたい。

腹面


側面

トビコバチ科 Encyrtidae Gen.sp.
白い産卵管が見えるので♀である。

顔が長い。

複眼はニヤけた感じ。


トビコバチ科 Encyrtidae Gen.sp.
トビコバチではあまり見ないタイプの顔。

トビコバチ科 Encyrtidae Gen.sp.
翅には黒い帯があり、その基部側は白っぽい。


ネットをちょこっと検索したら、同種と思われる画像を @uro_della さんがあげておられた。↓

寄生蜂を専門にされている方なので、間違いないと思うなど。

ではまた。

2022年10月15日土曜日

カラムシにいたけどヤブガラシグンバイみたい

お散歩コースも蝉の声が絶え、寂しくなってきた。

さて、いつも通る砂防堰堤上流側の草地に生えたカラムシ。

ツイッターでヤブマオとかつぶやいていたな。あれは嘘だ。

葉っぱの裏があまり白くないのでアオカラムシというヤツかも知れない。

いつも参考にしている「松江の花図鑑」にはそんなことが書いてあった。

で、その実が膨らんでいた。

ので、お散歩ネットを受けてぺしぺし叩いてみたらグンバイムシが落ちてきた。

ヤブマオ属にはコアカソグンバイが付くとか図鑑で見た記憶があるのでそれかな?と思いつつ、持ち帰り。

背面

上段が♀で、下段が♂。

腹面
日本原色カメムシ図鑑第3巻(全国農村教育協会,2012)をパラパラ見ると、同属別種のヤブガラシグンバイにしか見えない。

ヤブカラシ自体はすぐ脇にも絡まっていた記憶がある。

幼虫期の食草は割と厳密だけど、成虫になると分散するのでそうゆうこともあると納得しておく。

♂拡大

ヤブガラシグンバイPhysatocheila chiniana
同腹面

白っぽい♂
ヤブガラシグンバイPhysatocheila chiniana
同腹面

♀拡大

ヤブガラシグンバイPhysatocheila chiniana
同腹面

白っぽい♀
ヤブガラシグンバイPhysatocheila chiniana
同腹面
口吻の溝は後胸まであるが、口吻自体は中胸後縁までしかないようだ。

本種の学名については、

日本原色カメムシ図鑑第3巻(全国農村教育協会,2012)では、ヤブガラシグンバイ属Cysteochila のヤブガラシグンバイCysteochila consueta になっているが、最近分類体系が変わったらしい。

新しい学名はチャイログンバイ属PhysatocheilaヤブガラシグンバイPhysatocheila chiniana になっている。種小名まで変わっているので注意が必要だ。

参考にしたのは、

相馬 純氏のウェブサイトLargid & Tingid「日本産グンバイムシ科標本写真集」(2022年10月15日閲覧)

である。


ところで、植物名のヤブラシは別名で標準和名はヤブラシであるらしい。


ではまた

2022年10月8日土曜日

カトウツケオグモ

毎週歩いているお散歩コースで人生初の生き物に出会った。

2022年10月2日、神戸市
カトウツケオグモ Phrynarachne katoi

カトウツケオグモ Phrynarachne katoi

アラカシの葉上にいた。標高は60mの低山地。

昔はニセアカシア優先のしょぼい林で、コナラ・ヤシャブシなどを経て現在はアラカシ・ヤブツバキなどの照葉樹林に遷移しかけているそんな場所。

クモ界では日本七大珍種の一角だそうだ。

個体数が少ない種類だそうだが、同定難易度は低い(間違うことはない)種類なので、写真だけで採集はしなかった。

形態はカニグモ科らしい形。

習性が変わっており、ハエが好む匂いを放出して寄ってきたハエを捕食するそうだ。

ちょっと嗅いでみたけれど、特に匂いはしなかったのでお腹が空いていなかったのかも。

見た目通り、鳥糞に擬態しているのだろう。

まぁ、こちらは「何を見ても蟲に見える病」を煩っているので、あまり関係はないのである。

またしばらくは鳥糞に擬態した?鳥糞を見る日々が続くであろう。

ではまた

2022年10月1日土曜日

日本固有属ですって・・・コバネヒョウタンナガカメムシ

今年も残すところあと3ヶ月である。
最近のお散歩は漫然と歩いているばかりなのでほとんど虫を採っていない。

ちょっと前にお散歩ネットに入った虫を貼っておきます。

2022年9月18日神戸市
コバネヒョウタンナガカメムシ
Togo hemipterus
翅が腹端に届いていない。
ごくまれに長翅型が出るそうな。
ヒョウタンナガカメムシ科Rhyparochromidaeに属する。
コバネヒョウタンナガカメムシ属Togoは日本に固有の属とのこと。
そこらで普通に見られるが、そう聞くとアリガタイヨウナソウデモナイヨウナ。。

腹面
コバネヒョウタンナガカメムシ
Togo hemipterus

腹部側面
ヒョウタンナガカメムシ科Rhyparochromidaeの特徴は腹部の4節と5節の間が湾曲すること(一部例外あり)。
カメムシの腹部は第1節は退化?して外見上見えない。
8節以降は生殖節となる。

頭部
目立たないけど、矢印位置に単眼がある。

前胸部
前胸にはくびれが2カ所あり、前から「襟状部」「前葉」「後葉」と呼ぶ。
コバネヒョウタンナガカメムシ属は前葉の長さが後葉の2倍あることで他の属と区別ができる。

おまけの図
前脚腿節には物々しいトゲを装備。

カメムシ図鑑によると、本属にはTogo praetor という神戸の個体を元にした種が記載されているらしいが、正体不明とのこと。



ではまた