2022年6月25日土曜日

おそらくイノコズチキバガ

今週は見た虫貼るだけ。

2022年6月19日
イノコズチキバガ Chrysoesthia heringi

イノコヅチの葉上にいたのでたぶん上記の種だと思う。

本種に外見が酷似するものに

ムツモンアカザキバガ Chrysoesthia sexguttella がいるが

図鑑によるとムツモンアカザキバガは、

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寄主植物:アカザ、ハマアカザ、アマランサス(国外)

触角は♂♀とも細く性的二型はない。

斑紋は黄橙色で不明瞭な銀紋で囲まれる。

小腮鬚は黒褐色で第2節末端と末端節の基部と先端に淡褐色の環状紋を持つ。

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などの特徴があり、対してイノコズチキバガでは

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寄主植物:ヒカゲイノコヅチ、ヤナギイノコヅチ

♂の触角は太く前脚脛節より太い。

比較すると斑紋の黄橙色は橙色が濃く、銀紋は明瞭で明るい。

小腮鬚は内面が淡褐色で外面は黒褐色で環状紋を欠く。

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であるそうだ。

端的に言って素人泣かせである。

別角度

イノコズチキバガ Chrysoesthia heringi

いつものように「撮ったら採れぬ」の法則は発動しなかった。

無事採集できたので、翅を拡げたところ。

イノコズチキバガ Chrysoesthia heringi

♀だったので触角の特徴は使えない。

小腮鬚に環状紋はなさそうなので、イノコズチキバガでいいのかな?

イノコヅチにいたし。..

矢印は後翅の外縁に段差があるところ。

キバガ科の特徴のひとつである。

食草はイノコ「ヅ」チなのに和名がイノコ「ズ」チキバガなのは何か変だけど、図鑑にも目録にもそう書いてあるので従った。

意味は「猪の子槌」なので「ヅ」が正しいはずだけどね。


ではまた

2022年6月18日土曜日

ルリオオキノコの幼虫

そういえば普通種なのに幼虫見たことないな、な虫の話。

2022年6月5日

倒れたコナラに生えたクジラタケとおぼしきキノコに新しい食痕を見つけたので二つほど持ち帰った。

表面上は何も見えなかったけれど、ビニール袋に密閉して翌日見ると、這い出してきたものがいる。酸欠で苦しかったのやも。
ゴミムシダマシ科の幼虫にしては白くてムチムチしてる。
通気口のあるタッパーに移して一日経ったら姿が見えなくなった。
やわやわな感じからして、基本、潜り込んで生活しているのだろう。

で、10日もしないうちに成虫が出てきた。
ルリオオキノコ Aulacochilus sibiricus 

オオキノコムシ科ではアカハバビロオオキノコと並ぶ2大普通種のルリオオキノコであった。
アカハバビロオオキノコの幼虫はキノコの表面を這っているのでよく見かける。

画像を探したが、エラい昔に撮ったのしかなかった。↓
アカハバビロオオキノコ Neotriplax lewisii 幼虫
こちらは外で生活するだけあって、背中の装甲が厚い。

ルリオオキノコは、超普通種のくせに、ネットで検索しても幼虫が出てこないのは見えるところに出てこないからのようだ。


幼虫画像をペタペタ。
背面

ルリオオキノコ 幼虫
Aulacochilus sibiricus larvae
側面
ルリオオキノコ 幼虫
Aulacochilus sibiricus larvae

ルリオオキノコ 幼虫
Aulacochilus sibiricus larvae
尾突起

キノコの中に蛹があった。
ルリオオキノコ 蛹
Aulacochilus sibiricus pupa

蛹になってもおしりのフォークは健在。

成虫
ルリオオキノコ 成虫
Aulacochilus sibiricus adult

おまけ
脱皮殻からとりだした幼虫の小顎
ルリオオキノコ 幼虫の小顎
Aulacochilus sibiricus maxilla of larvae

標本から取り出した成虫の小顎
ルリオオキノコ 成虫の小顎
Aulacochilus sibiricus maxilla of adult

成虫になると、小顎髭の先端節が巨大化する。


ではまた

2022年6月11日土曜日

ナガサキムジホソバの交尾器

ちょっと前に見かけた地味蛾。

2022年5月15日

ナガサキムジホソバ Tigrioides immaculatus

無地のコケガ亜科までは判るけど、種名がパッと決められないヤツ。(少なくともワタシはね。)

写真を撮ったので採集して冷蔵庫に入れていたのを今週取り出して交尾器を見てみた。

挿入器を外して側面

ナガサキムジホソバ Tigrioides immaculatus
♂genitalia
本種は長大なユクスタが特徴。

ユクスタ(juxta):挿入器(phallus)を腹面から支持するディアフラグマの硬化部。

ディアフラグマ(diaphragma):腹部末端を閉じる膜質部で、第9-10腹節の節間膜に由来。


バルバを開いて腹面から

バルバも変わっており左右非相称である。

ちょい角度を変えた腹面


バルバを閉じた状態。

ユクスタも真っ直ぐではなく、左右非相称のバルバに合わせるようにカーブしている。


ここまで特徴的だと、取り出してプレパラートにしなくとも、少し引き出すだけで同定できそうである。


挿入器(phallus)


反転した状態。


ナガサキムジホソバは関東以南の本州、四国、九州、屋久島、五島列島に分布する。同属にはもう一種おり、沖縄以南にリュウキュウムジホソバ Tigrioides pallens が分布しており、ユクスタの形状が異なる。リュウキュウムジホソバはユクスタの先端が大きく二叉することで区別できる。

そもそも分布域が異なる。

どちらも日本固有種とのこと。

2024年1月27日追記**********

♀の交尾器は以下の記事↓

「ヤネホソバあらためナガサキムジホソバの毒針毛とメス交尾器」

幼虫は以下の記事↓

「幼虫成分追加(ナガサキムジホソバの幼虫)」

にあります。


ではまた

2022年6月4日土曜日

ウリハムシの交尾器

今日は虫の日なのに会社である。。。


ちょっと前の散歩でみかけたイチャコラハムシ

2020年5月15日神戸市
ウリハムシ Aulacophora indica 交尾

ごくまれに虫の破片を持ってきて「ナニコレ?」とか聞かれることがあるので、最近は害虫のたぐいが交尾していたら持ち帰ることにしている。

ためしに「ウリハムシ 交尾器」で検索しても農業害虫のくせになかなか見つからない。

ということで自分用に画像を残しておく。

♂背面

ウリハムシ Aulacophora indica ♂
♂は触角第1節が太く、上翅肩部に剛毛が生えていることで♀と区別可能。

♂腹面

ウリハムシ Aulacophora indica ♂
♂腹面腹端

ウリハムシ Aulacophora indica
切れ込みが一対あって複雑な形。知らんかった。

♀背面
ウリハムシ Aulacophora indica
♀腹面
ウリハムシ Aulacophora indica ♀
♀腹端腹面
ウリハムシ Aulacophora indica ♀
♀は中央に切れ込みがある。

反転した♂の交尾器
ウリハムシ Aulacophora indica 

内袋には細かい棘が並んでいたり、大きな骨片があったり割りと複雑。


ではまた