2023年9月30日土曜日

ハネナガイナゴの♂交尾器

ちょっと前のツイート。

腹部より翅が長いのでハネナガイナゴかな?と思ったけど翅の長いコバネイナゴもいるらしいので種名を書くのは避けておいた。

この個体は撮ってるうちにフェンスの向こうに飛んでいったので迷宮入り。

で、この日曜日に同じ所を通ったら、同種と思われるものがいたので確保した。

背面

ハネナガイナゴ Oxya japonica 

側面

ハネナガイナゴ Oxya japonica 
手持ちの図鑑によると、日本産イナゴ属は10種。

そんなにいたのか、、と思ったが、

神戸ではハネナガとコバネイナゴの2種だけのようなので、交尾器さえ見れば簡単に区別可能である。

コバネイナゴには長翅型が出るそうで、翅の長さだけで区別するのは危険が伴うそうな。

腹端背面

ハネナガイナゴ Oxya japonica 
腹端側面

亜生殖板に隠れた挿入器を引き出すと、、、
ハネナガイナゴ Oxya japonica 

斜め上からのぞき込むと

硬化部があった。

Epiphallusと言う構造で古い昆虫学事典で訳を調べると上陰茎とあった。

後脚の膝

尖ったトゲを持つのはコオロギ亜科の特徴のひとつ。
「イナゴ亜科」Oxyinaeの間違いです。
どっから出てきたんや、コオロギ。。。


コバネイナゴはどんなんか?

2010年に三田で採った標本があったので、参考までに画像貼っておきます。

背面

2010年9月29日

コバネイナゴ Oxya yezoensis
10年以上前なので流石に色褪せてしまった。

交尾器

コバネイナゴ Oxya yezoensis ♂
上陰茎を取り出してみた。
コバネイナゴ Oxya yezoensis ♂
コバネイナゴの挿入器部分はハネナガイナゴと比較して太く長いことで区別できる。


おまけ

付節先端

ハネナガイナゴ Oxya japonica 

おっきな吸盤。


ではまた


2023年9月23日土曜日

ニセヒメクモヘリカメムシ

この間のお散歩では何も採っていなかったので、その前の週にウッカリ採ってしまったものを拡大してみた。

2023年9月10日

ニセヒメクモヘリカメムシ
Paraplesius vulgaris
とてもよく見かけるカメムシ。

が、ソックリさんがいるので注意がいる虫でもある。

背面

ニセヒメクモヘリカメムシ
Paraplesius vulgaris
シュッとした体型。

腹面

ニセヒメクモヘリカメムシ
Paraplesius vulgaris
腹面は基部のみに黒色が現れる。

近縁のヒメクモヘリカメムシ P. unicolor には黒条があることで区別できるそうだ。

頭部背面

ニセヒメクモヘリカメムシ
Paraplesius vulgaris
先端に突出している3個の突起は、真ん中が「中葉」、左右が「側葉」と呼び、本種では中葉より側葉が長く先端でわずかに外に向くことが特徴で、ヒメクモヘリカメムシではほぼ同じ長さになるそうだ。

見かけてもちゃんと確認したことが無いのでヒメクモヘリカメムシはここらでは未確認。ニセよりも山地性らしい。分布も北寄りらしいので、ここらにはいないかも。

頭部側面

ニセヒメクモヘリカメムシ
Paraplesius vulgaris
横から見るとこんな顔。

ちょっと開翅

ニセヒメクモヘリカメムシ
Paraplesius vulgaris
ガラス様の繊細な翅である。

足下から飛んで逃げることがよくあるけど、飛んでいるときはカメムシに見えなくて「なんじゃコレ?」と止まったところでよく見ると、いつもの、、となるヤツである。

飛んでるときにカメムシに見えないのはこの翅のせいかも。

腹端にサル顔のカプセルがあるのでオスですね。


ではまた

2023年9月16日土曜日

マエグロハネナガウンカの卵は王冠付き?

日曜日のお散歩でみかけたクモの巣。

アシナガサラグモ Neriene longipedella
不規則な感じの糸が全体として伏せたお椀型なので、サラグモ科だろう。
犠牲者の方に意識が行ってクモちゃんと撮ってなかったけど、お尻の模様からアシナガサラグモでいいと思う。
普通種だし。

犠牲者の方は久し振りに見たハネナガウンカの仲間なので、横取りして持ち帰り。

背面

マエグロハネナガウンカ
Zoraida pterophoroides
正面
マエグロハネナガウンカ
Zoraida pterophoroides

拡大してみると複眼の中まで溶けており、中身はすっからかん。


食後の獲物を横取りしただけのようじゃ。

なので、それほどクモには恨まれてないと思う。

チョット巣は潰したけど。。


マエグロハネナガウンカ
Zoraida pterophoroides
前翅長は14.5mm。
中身が無いのでとても脆い。
翅脈の中まで吸われているのか、スライドグラスで挟んだら基部が割れてしまった。
近縁にシリアカハネナガウンカとかウスマエグロハネナガウンカとか似た種がいるのでこの辺難しい。
前縁の模様のギザギザ具合からマエグロハネナガウンカとしたが、ちと自信が無い。

腹側
腹部は破損して中身が見える。
楕円形の何かがチラホラ。
どー見ても卵。

拡大
先っちょに小さな王冠みたいなものがある。
半翅目の卵によく見られる蓋の部分だろうか。


ハネナガウンカ類はサルノコシカケ系の硬いキノコにつくそうだ。

どうやって餌を採っているのかナゾである。口が針なのに。

なんか溶かして吸ってるのだろうか?

とりあえずキノコに王冠付きの卵が刺さってるかも知れないので今後は気をつけて見たいと思う。(たぶん忘れてる)


ではまた

2023年9月9日土曜日

コモンツチバチの拡大画像

ここんところは殆んど採集していないのでブログネタが枯渇している、、
る〜

2週前にキンモウアナバチが穴掘りしていた場所のさらに2週間前。
地面すれすれにたくさん飛び回っていたツチバチの一種。
飛び回っているのは大抵♀を探索している♂である。
もののついでに採集していたので拡大画像を貼っておきます。

まず背面
2023年8月6日
コモンツチバチ
Scolia decorata
腹面
コモンツチバチ
Scolia decorata

コモンツチバチ
Scolia decorata

前伸腹節後面
コモンツチバチ
Scolia decorata

腹端
コモンツチバチ
Scolia decorata
最終腹板が変化して三叉鉾になっている。
手づかみすると、腹部を曲げて刺すふりをするが、毒針ではないのでチクチクするだけである。ハチ類の毒針は♀の産卵管の変化したものなので、♂にはもちろん無い。
ただチクッとするので思わず逃がしてしまうことになるのを狙っているのだろう。

コモンツチバチ
Scolia decorata

舌は三つに分かれている。


ではまた

2023年9月2日土曜日

ノウタケのクロモンカクケシキスイ

8月最後の日曜日。

お散歩コースの真ん中にニョキって顔を出していたキノコ。

ノウタケの若い個体のようだ。
成熟するとシワが入って名前通りの脳ミソっぽくなるそうな。

で、よく見ると虫食い跡がある。
割ってみると虫がいたので持ち帰り。

背面
クロモンカクケシキスイ
Pocadius nobilis
体長約3.5mm
ホコリタケの仲間が大好きなケシキスイだそう。

腹面
クロモンカクケシキスイ
Pocadius nobilis

触角の辺り
クロモンカクケシキスイ
Pocadius nobilis

触角は11節で第8節は扁平、
先端3節は球桿状。


ではまた