2020年2月29日土曜日

和名のないヒメバチが出てきた

この間紹介したツマキアオジョウカイモドキの食べ残し?のクモ卵嚢の容器を見ると、なにやら見慣れないシルエット。
2020.II.28羽化
ヒメバチがなぜかいる。
中の樹皮には繭らしいものはなかったのでクモの卵嚢から出てきたのだろうか。

孵化した仔グモがワチャワチャしている隙間を縫って吸虫管で回収。

背面図
Paraphylax agelenae
体長は6㎜弱

例によって以下の2サイトを参照する。
「日本産ヒメバチ目録 Check list of Japanese Ichneumonidae」 と
「Information station of Parasitoid wasps」

どうやら Paraphylax agelenae らしい
コクサグモの卵嚢から羽化した記録がある。
ヒメバチ科目録ではトガリヒメバチ亜科Cryptinaeだが、近年
Phygadeuontinae という独立の亜科に含まれるとのこと。
本亜科にはハネナシヒメバチの仲間や2m-cu脈に透明域を2個持つものが含まれる。


胸部背面
印刻がカッコいい。
前伸腹節の隆起線ははっきりしてる。

胸部側面
写真の腕がない。。。

後体節第1節
spは気門の位置、矢印は腹板の終点、背板の半分くらい。


暗色の斑紋が2対。
羽化し立てで絞めたのでもうちょっと濃くなるかも?
前翅に2m-cu脈があり下方が外縁に向かい斜めになる、その脈に薄い部分(透明域)が2か所ある(矢印部)
前翅鏡胞を欠く
後翅のM+Cu脈は曲線状
(画像に書くの忘れたので調べてね。付け根のほうの曲がった脈)

鞘から出した産卵管
下側に弱い鋸歯



腹部腹面
腹板は中央が膜質

ではまた

2020年2月22日土曜日

翅に模様のあるコマユバチ

そろそろ早春の蛾が出る季節。
ご近所の山の散歩では特筆する者もいないので
葉っぱの裏を見ながら歩いて小さな虫を摘まんで帰る。
コマユバチ科の1種
体長4㎜程の小さなハチ。
コバチ上科かクロバチ上科の何かと思っていたが、
翅脈をみるとコマユバチ科だった。

背面にはうっすらと複雑な彫刻がある。

側面
なかなかスレンダーなコマユバチ。
ググった感じでは Rhaconotus 属に似ている感じ。
オナガコマユバチ亜科Doryctinaeに含まれる。

ではまた

2020年2月15日土曜日

生まれる前から銀メッキ

この時期はこれと言ったものが見当たらないので
目に付いた繭らしきものを持ち帰る。

我慢がきかなくなった年寄りなので、ちょいと解して中身を確認。
クモっ子がウゴウゴ。
繭かと思っていたものはクモの卵嚢でした。

おしりがピカピカ。
ギンメッキゴミグモだろうか。
銀メッキ色のゴミグモは何種類かいるので特定は避けておく。

無印ゴミグモは若グモで枝先とかで越冬しているのを見かけるけど、こちらは孵化してもそのまま卵嚢の中で越冬するようだ。


ではまた

2020年2月8日土曜日

クモの卵を食べるツマキアオジョウカイモドキの幼虫

2020年2月2日に見た虫。
ツマキアオジョウカイモドキ
Malachius prolongatus larvae
一昨年の台風で倒れたクヌギの樹皮を捲ったらいた。
クモの卵嚢の脇に2個体いたが、かたっぽは落ちてしまった。
ゾロ目の日なので(?)持ち帰る。

見た目は普段よく見かける赤いジョウカイモドキ科の幼虫に似ているので、「Melyridae larvae」で画像検索すると Malachius 属の幼虫にそっくりである。
日本産のMalachius 属は、ツマキアオジョウカイモドキ1種なのでたぶん本種の幼虫であろう。

ツマキアオジョウカイモドキの成虫は5月頃によく近所で花粉を食べているのを見かける。
昨年5月撮影。
ツマキアオジョウカイモドキ Malachius prolongatus
さて、
持ち帰ったものを見ると、穴の開いた卵嚢に潜り込んでいた。
尾突起が覗いている。
頭隠して尻隠さず状態。
右の白いのは幼虫がいる上に重なっていた卵嚢である。
その卵嚢を開いてみると、
真ん丸の健全な卵と萎びた卵が見られた。

状況をまとめると、、
クモの卵嚢の脇に2個体いて、
クモの卵が一部萎びており、
クモの卵色した糞が散らばっていた、
ということである。

試しに幼虫の隠れているところに健全なクモの卵を2個放り込んでみた。
顔の前の卵に即噛り付く。

8分間もぐもぐ食べる。

横の卵にとびかかる。
くわっ!

がぶぅぅ。

緻密な糸の布団にくるまれたクモの卵も敵がいっぱいですな。

ところで樹皮下の狭いところにある平べったい卵嚢って何グモ?
カニグモ系?

2020.IV.4追記
蛹化したので記事にしました。↓
「ジョウカイモドキ科の蛹・・・ツマキアオジョウカイモドキ?」

2020.IV.12追記
羽化確認して確定しました。

ではまた

2020年2月1日土曜日

シギアブ科の幼虫

この時期はなんにもいないねぇ、、と散歩して、
たまたま目に留まったウジ虫を持ち帰ってみた。
谷筋の斜面の道端で、うにうにしていた。

ガガンボ科辺りの訳わからんヤツだと高をくくっていたら、幼虫では初見のシギアブ科だった。

日本産土壌動物 第二版の検索からシギアブ科の特徴を抜粋。
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胸部腹面に胸骨はない
頭部は多少なりとも硬化し、胸部内に引き込むことができる
後方気門は腹部末端にある
1対の後方気門はその直径の倍以上離れる
頭部後半部が後頭棒になっていない
前胸に気門がある
腹部末端は側方から見てV字形に切れ込んでいる
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シギアブ科?あたり?ということで、学名の
Rhagionidae larvae」で画像検索かけてみたら
BugGuide.Netのサイトでそっくりな幼虫が Rhagio属として紹介されていたので、シギアブ科なのは間違いなさそうだ。

持ち帰った動き回るウジ虫幼虫を、TG-5にフラッシュディフューザーをつけてバシャバシャめくら撮り。

全体
シギアブの1種 Rhagionidae 幼虫
全体その2
シギアブの1種 Rhagionidae 幼虫
頭部拡大
シギアブの1種 Rhagionidae 幼虫
顔出したり引っ込めたりするのでなかなか良いタイミングで撮れない。。

前方気門の位置はここ
シギアブの1種 Rhagionidae 幼虫
頭部横向き
シギアブの1種 Rhagionidae 幼虫

最後にお尻
シギアブの1種 Rhagionidae 幼虫
1対の大きい後方気門が見える。
おしりもパカパカ開閉するので中々写せない。

見てたら子供の頃に遊んだパクパク折り紙を思い出した。

この幼虫、初見といっても過去腐葉土いじっているときに何回か見たことある。
ヤマトシギアブっぽい成虫は初夏の頃にたくさん見るから、幼虫もそれなりにたくさんいるだろうから普通に見かけるはずである。
今まではガガンボ辺りの幼虫、とふわっと認識してただけなので、ちゃんと調べないとアカンね。

画像の幼虫は20mm以上あるのでヤマトシギアブ辺りの大型種だと思う。
ヤマトシギアブを含む Rhagio 属は昆虫捕食性で、他の属は朽木食やデトリタス食、コケ食のものまでいるそうな。
中にはジャゴケに葉潜りするジャゴケシトネアブ Litoleptis japonica というのもいるそうな。
近所におらんかな?

ではまた