2021年9月25日土曜日

ケブカアメイロアリ

お散歩先では適当なご新規さんがいなかったので、、、

今週は自宅で見た虫でお茶濁す。

洗面所の床を高速で歩いていたアリを拉致。

ケブカアメイロアリ Paratrechina amia

体長3mm弱。
見た目真っ黒なので明るめに撮影。

毛深というより毛が太い。

脚も長い。

ケブカアメイロアリ Paratrechina amia
アメイロアリ属の特徴は複眼が顔の下寄りに位置するところ。

ケアリ属なんかだと中心線より上側に複眼があるので、ちょっと凶悪顔に見える。

アメイロアリ属は子供っぽい感じ。

ケブカアメイロアリはもともと南西諸島以南に分布するアリだが、ずいぶん前から京阪神の都市部では見かけるアリである。

最近では完全に普通種。

国内外来種になるのかな。

少なくとも1999年には見ているから、20年以上前には定着していたのだと思う。

元上司のブログにそんな記事がある。↓

「ケブカアメイロアリはもう普通種」

本種の♂の羽アリは同じような剛毛が生えているので他種と区別しやすく、アリの♂の中では同定難易度は低い方である。

乾燥した場所が好きなので、たまに家屋に上がり込むことがあり、深い不快害虫の汚名を着せられることがある種類でもある。

うちに上がり込んだケブカアメイロアリもじっと観察すると、お風呂のドア枠の隙間に入っていったので、ノズル付きのスプレー剤をシュッと一吹きして退散してもらった。


ではまた

2021年9月18日土曜日

エナガコマユバチの一種

 日曜日に見つけたちっぽけなハチ。

体長約4㎜。
吸虫管でチュッと回収。
帰って拡大したらコマユバチ科だった。
いつもの寄生蜂のサイトでコマユバチ科をパラパラ見るとそっくりなのが出てきた。このページ↓

DORYCTINAE Förster,1862 オナガコマユバチ亜科

その中の Spathius sp. の見た目がそっくり。

この属何種類?と思ってリストを見ると70種あまりいる。。。

ただ、キイロエナガコマユバチSpathius japonicus という和名の付いてる種類が似ているような感じで、さらに検索すると、

「A CONTRIBUTION TO THE KNOWLEDGE OF THE BRACONID FAUNA OF THE EMPIRE OF JAPAN (Hymenoptera)」WATANABE, 1937

という論文に前伸腹節のスケッチを見つけたが、、、

そっくりだけど微妙に一致しないような気がするので保留にした。

というわけで、属和名はどこにも書いてないけれど、

エナガコマユバチ属の1種としておきます。

亜科和名はオナガコマユバチ亜科。

以下標本画像。

背面。

エナガコマユバチ属の1種 Spathius sp.
触角の先端近くは淡色。
中脚と後脚腿節には黒斑がある。
ひしゃくみたいな腹部である。
後体節第1節が柄節になって細長い。
産卵管も5mmあって体長より長い。
さすがオナガコマユバチ亜科。
ゆってもコマユバチ科にはウマノオバチという別格の存在はいる。

翅脈を見るとコマユバチ科

r-m横脈は透明で見にくいけれどもよく見ると存在する。

背面拡大

エナガコマユバチ属の1種 Spathius sp.
前伸腹節は亀甲紋

胸部側面

中胸側板は黒褐色。

顔面と胸部腹面
小顎髭も長い。
頭盾がくぼむのはコマユバチにありがち。


第一後体節
よく見ると細かい彫刻がある。
芸が細かい。

鞘から外した産卵管
小さすぎて判らないけどギザギザがあるようなないような?


ではまた

2021年9月11日土曜日

カキバトモエの幼虫

いもむし成分追加。

日曜日のいつものお散歩コースのネムノキにて。

カキバトモエ Hypopyra vespertilio  
昼間は幹に止まっていて、日が暮れたら葉っぱを食べに上っていくそうな。
年2回発生する。

近縁のハグルマトモエやオスグロトモエとは別属になる。

幼虫の体長はほぼ同じになるが、灰白色でちょっと太っちょに見えるので上記の幼虫とは区別できるそうな。

食樹は同じネムノキ。


和名のカキバは「柿葉」の意。

成虫が柿の葉に似ていることにちなむ。

ググってみてね。

近影

カキバトモエ Hypopyra vespertilio 
横から
カキバトモエ Hypopyra vespertilio 
第1腹脚は他の腹脚より小さい。

シタバガ亜科は腹脚前方は小さくなる傾向がある。

キンウワバ亜科はもっとその傾向が強い。

頭部らへん。

胸脚脛節はへら状。知らなんだ。

お尻の方

気門輪は黒色。


ではまた

2021年9月4日土曜日

瞬間最大痛覚は高め?・・・ムラサキウスアメバチ

8月最後の日曜日。

葉っぱの裏にハチがいた。

ムラサキウスアメバチ
Dyctyonotus purpurascens

ちゃんと拡大して見たことないなぁ、と思ってネットイン。

フィルムケースに取り込もうとして、人差し指の第1関節にツキーン!と痛みが走る。

刺されてしまった。

寄生蜂と侮るなかれ、結構痛い。

でも5分ほどで痛みは引いた。

腫れたりはしなかったが、4日ほどは痒みがあった。

以前キイロスズメバチに刺されたときは、針で刺したと言うよりもラジオペンチでフンギュッ!と挟まれたような痛みだった。

社会性ハチ類の毒は、寄主の麻酔に使うヒメバチと違って哺乳類にダメージを与えるような毒になっているらしい。

1週間ほどは腫れて痛いし、1ヶ月くらいは思い出したように痒みがぶり返したような記憶がある。

気を取り直しまして、、、

背面

ムラサキウスアメバチ
Dyctyonotus purpurascens

腹部は背面から見て幅が狭いアメバチ型の体形である。


側面

ムラサキウスアメバチ
Dyctyonotus purpurascens

ムラサキというより体はうっすら藍色の光沢。

ルリアリの腹部みたいな光沢である。


胸部背面

前伸腹節は皺状の印刻があるのだけれど、短毛が多くて写真にすると判りづらくなってしまった。

胸部側面

中胸側板にカッコいい印刻がある。


後体節第1節

腹柄状で気門は後方よりにある。


翅の拡大

ムラサキウスアメバチ
Dyctyonotus purpurascens

濃色で翅脈が判りづらいのでスライドグラス2枚で挟んで透過光気味に撮ってみた。

翅脈の透明域が判りやすくなったような?

前翅は鏡胞を欠く。


がっしりした感じ。触角は橙色。


私を刺した産卵管

短め。鋸歯はないように見えるが上下に切り込みがある。


爪の拡大

とっても櫛歯状。

ヒラタゴミムシやアトキリゴミムシの一部の爪も櫛歯状だった。

(突発的に思い出したので書いておく。)


日本産アメバチ亜科で黒紫色なのは今のところ本種だけなので、同定難易度の高いヒメバチの中では今のところ判りやすい種類である。

今のところ、と書いたのは複数種混じっている可能性がある、とツイッターで見たことがあるから。

一昨年辺りだったか標本募集中、とあったのでまだ検討中の模様。


ではまた