2022年8月27日土曜日

ヒメグンバイ繁殖跡地にアカオビアザミウマ

お散歩コースの虫がいまいちなので、庭の虫から。
ベランダから庭のクヌギを見ると白くなった葉が見えた。
ヒメグンバイの被害葉

毎年ヒメグンバイが湧いているのは把握しているので、何気なく捲ってみたが既に本体はどっかに行ってしまって脱皮殻のみだった。
が、よく見ると赤い筋のあるちんまいのがいた。
アカオビアザミウマ
Selenothrips rubrocinctus

トゲトゲしているのはヒメグンバイ幼虫の脱皮殻。
紅白の虫がアカオビアザミウマの幼虫。
左下の黒いのが成虫。
右上にも成虫が隠れている。

本種は元々南方系の虫で、沖縄や小笠原でグアバやマンゴーなどの害虫として知られていたのが、近年分布が北上しているそうだ。
東京ではカツラやマンサクなどの緑化樹で被害がみられ、私のご近所の虫ブログなどではモミジバフウやタイワンフウで見つけておられた。

クヌギで見つかったことはなさそうだけど、寄主範囲が広そうな虫なので特に不思議ではなさそうな気がする。

でも、ヒメグンバイの被害葉にいたのは何か有用な成分があったりとか、誘引される要因があったりするのかも?

以下、成虫のプレパラート写真。
アカオビアザミウマ♂
Selenothrips rubrocinctus
翅は羽毛状。体長は約1.5㎜。

アカオビアザミウマ♀
Selenothrips rubrocinctus
♂と比べるとぽっちゃりさん。

♂の腹端
アカオビアザミウマ♂
Selenothrips rubrocinctus
第8腹節後縁中央にトゲが2対ほどあるようだ。
他のアザミウマにもあるのかはワタクシ的に今後の課題。

♀の腹端
アカオビアザミウマ♀
Selenothrips rubrocinctus

ギザギザ鋸刃の産卵管らしきものが見えることから、植物組織内に産卵することが予想できますな。
真偽のほどは知らんけど。



ではまた

2022年8月20日土曜日

ぺなんぺなんの虫

お盆休みの最終日、お散歩に出てネムノキの下で一休み。

ふと見ると、脇に置いたウエストバックに虫がいた。

オオクモヘリカメムシ
Homoeocerus striicornis
画像は後ろから。

体はぺらぺらしている割に触角がすごく主張している。

けれど、触角も平圧されているので見る角度によって細く見える。

ヘリカメムシ科に属する。

幼虫は似たのがいるけど、本種はネムノキに寄生するそうなので間違いないだろう。

成虫になるといろんな果実から吸汁するので農業害虫とされるそうだ。

上から

オオクモヘリカメムシ
Homoeocerus striicornis

腹部の正中線に沿って黒い点が2個みえるのが「臭腺」。

本種の場合は強い酸性臭がするそうだ。


カメムシの幼虫時代は翅がないので背中側に臭腺が開口してる。

成虫になると、後胸の側面に臭腺の開口部が現れる。

理にかなってるけど、不思議。


成虫は割とシュッとしてる。

過去写真から。

2004年10月17日

オオクモヘリカメムシ
Homoeocerus striicornis

よく似た種にミナミトゲヘリカメムシがいるが、ミナミには前胸の側角に黒いトゲがニョキっと生えているので区別できる。


ではまた 

2022年8月13日土曜日

ちいさなオオクロトビカスミカメ

日曜日にお散歩ネットに紛れ込んでいたカメムシ。

オオクロトビカスミカメ
Ectmetopterus micantulus
雰囲気は前々回紹介したオオクロセダカカスミカメに似ているが?体長は半分くらいしかなく、触角の長さが目立つ。

特徴は触角第3節が長く、体背面に明瞭な銀白色の鱗毛を持つ、楔状部の先端が白い、など。

肉眼では何か判らずにとりあえずフィルムケースに取り込んでおいたもの。

腹面

オオクロトビカスミカメ
Ectmetopterus micantulus
日本原色カメムシ図鑑の2巻では本種の属名は Ectometopterus になっているが、コレは誤植で Ectmetopterus が正しい。

日本原色カメムシ図鑑の1巻では正しい属名で書かれている。

♂だったので腹端の拡大。

オオクロトビカスミカメ
Ectmetopterus micantulus
左右非相称のヘンテコな交尾器だった。

腹端側面

オオクロトビカスミカメ
Ectmetopterus micantulus

なんとも説明できない形。


ではまた

2022年8月6日土曜日

刺したのはヒメハキリバチ

さしたる成果がない今日この頃。

お散歩ネットで元気のないハチを掬って外から手を添えた途端にチクリとやられた。

単独性ののハナバチはおとなしいと言うが、やはり刺すときは刺す。

手の平に5mmほどの膨らみができたがその程度。

2・3日でおさまった。

刺したのはコレ↓

ヒメハキリバチ
Megachile (Chelostomoda) spissula

腹面

ヒメハキリバチ
Megachile (Chelostomodaspissula

元気がないと思ったら脚が欠けていた。

ハキリバチの仲間は花粉を腹部腹面の刷毛に集める。

いわゆる花粉かごであるが、これをスコパという。

ミツバチの花粉かごは後脚脛節にあるが、こちらはコルビキュラというそうな。


日本産ハナバチ図鑑(文一総合出版、2014)から

ハキリバチ属 Megachile ♀の特徴を抜き書き

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脛節外面は刺状に彫刻されない

前翅の縁紋は幅よりはるかに長い

爪は内歯がなく単純

爪に間には爪間盤を欠く

腹端は細長く尖らない

腹部腹板には刷毛がある

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さらに

ヒメハキリバチ Megachile (Chelostomoda亜属) ♀の特徴

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体長10mm前後

前単眼から頭盾まではほとんど無毛

大顎は短く、基部の幅が長さの約2/3程度

大顎には明瞭な5歯がある

第2・3歯の間隔がやや広く切刃がある

腹部第1~5背板後縁に淡灰褐色の細い毛帯がある

腹部腹面の刷毛は全体灰白色

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同亜属には奄美大島にエサキヒメハキリバチ、小笠原諸島に未記載種がいるらしい。

南西諸島にもいるが、エサキなのかただヒメなのか別種なのか、ちゃんと調べられていない模様。


背面拡大

ヒメハキリバチ
Megachile (Chelostomodaspissula
おでこの毛はまばら。


ヒメハキリバチ
Megachile (Chelostomodaspissula
縁紋は幅よりはるかに長い、の図。

爪は単純で、爪間盤はない、の図。

大顎

ヒメハキリバチ
Megachile (Chelostomodaspissula
第3歯の内側にある方形のが「切刃」と思われる。

ヒメハキリバチ
Megachile (Chelostomodaspissula
大顎は短く、基部の幅が長さの約2/3程度、の図。

複眼には不思議な模様。

死ぬとなくなる。


ではまた