2020年7月25日土曜日

増節変態のスタート地点・・・フサヤスデの赤ちゃん

日曜日にとある用途で採ってきた5cm四方の朽木の樹皮。
ちょっと割ってみたら、、
卵のおまけがついていた。

拡大
ギザギザした毛に包まれている。
初めて見たフサヤスデの卵塊ではないか。
フサヤスデは卵を親の毛で保護するそうである。
卵は変形して今にも孵化しそうな感じ。

フサヤスデは以前紹介している。↓
「これも収斂進化?・・・フサヤスデとカツオブシムシ幼虫」
この時は脚が5対の少し成長した幼体だった。

フサヤスデの生まれたての幼体は脚が3対しかないそうなので見たいと思っていたのである。

で今日見たら孵化していた。
寸詰まりでカワイイ。
確かに脚が3対しかない。
成長するにつれ、体節が増えていく変態を増節変態というそうな。

脚が3対なのが判り難いので、、、
実体顕微鏡の接眼レンズにTG-5を押し付けて動画を撮影。

ちょっと酔いそうな動画なのでガラスシャーレに移して撮り直し↓

こちらの動画はお手製の微動装置を使って撮影。
以下の記事で作り方を紹介してます。とても簡単。
「コリメート動画撮影時のプアマンズ微動装置?」

生まれたてでも、おしりに毛束があって
ちゃんとフサヤスデしてる。

たぶんウスアカフサヤスデだと思う。


ではまた

2020年7月18日土曜日

クモの構造色?・・・ヤバネウラシマグモ


♪♪♪ハバチの図鑑が届いたので♪♪♪

過去の採集品で迷宮入りだったものを
調べようと思ったけど、、、

ちょっとやってみたんだけど、、、

時間が足りなかったよ。。。

なので、
ちょっと前のクモを貼っておわり。

6月最後の日曜日はまだ晴れ間があって
徘徊性のクモも走り回っていた。
その中で虹色に光るクモがいたので採集。
走り回って止まらないので生態写真は撮れなかった。

こんなの
ヤバネウラシマグモ
Phrurolithus pennatus
お日様の下だとピカピカしていたのだが、、、

横から
腹部にピカピカの片鱗が少し見える。

腹部背面

ところどころ剥げてますが、、

葉片状の平たい毛が生えている。
白いのと、ほぼ透明な毛の2種類。
透明な方が光の当たり方で虹色に反射しているようだ。

こういう元々の色ではなく、微細構造の反射で色がついているのを構造色というんだったと思う。
タマムシとかモルフォチョウとか昆虫では多いですな。

クモでは巣の糸が虹色に見える時があるけども、
体がそうなっているのは少ないと思う。

でも平べったい毛をもっているクモに
構造色をもつのをいくつか見ている。

以前、ツイッターでつぶやいたもの↓


とか

ではまた

2020年7月11日土曜日

ヒメホソヒラタアシバエ属の幼虫

日曜日に限らずずっと天気が悪い。
さすが梅雨。

ネタがないので飼育失敗した幼虫を貼って今週はオワリ。

2月下旬にコナラの倒木で見たキノコ
キノコはさっぱりなので名前は判らず。
白い糸状の糞がぴょろぴょろと下がっていた。

一部を採取して持ち帰る。
3月と4月に小型のジョウカイとかクロエリメンコガなどが羽化。

で、白い糸糞の主は途中で乾燥させてしまってせいでキノコから這い出してしまった。
こんなの。
3㎜ほどのずんぐりむっくりのウジ虫。
いろいろ検索して
ヒメホソヒラタアシバエ属 Agathomyia sp. の幼虫らしいことが判った。

試しに「Agathomyia  larva」でネットを検索すると似たのがヒットする。

図鑑に載っているのはキイロホソヒラタアシバエだけであるが、
日本には本属の未記載種が多数生息しているそうだ。

ヒラタアシバエ科の幼虫はPolyporivora属のを以前紹介している。↓
この幼虫を見ているからヒラタアシバエ科 Platypezidae から
検索してAgathomyia にたどり着いた。

今回のは残念ながら、キノコに戻して湿らせておいたが、
結局復活しなかった。

なので透過処理してプレパラートにして画像を残しておきます。
ヒメホソヒラタアシバエ属 幼虫
Agathomyia sp. larva
larva=幼虫、larvaeは複数形)
頭部側の拡大。
短角亜目の大腮してますな。

おしり側の拡大
一対の茶色いツノが後気門。
おしりの方がトゲ付きの突起が並んでいてカッコいい。

次に会えるのはいつの日か??

おまけ
このキノコから忘れた頃に羽化して死んでいたクロエリメンコガ
クロエリメンコガ Opogona nipponica
ではまた

2020年7月4日土曜日

アミメコンボウアメバチの1種 Anomalon sp.

日曜のたびに天気がいまいち、、、さすが梅雨。

ちょっと前に採ったヒメバチを貼っておわり
アミメコンボウアメバチの1種 Anomalon sp.
コンボウアメバチ亜科 Anomaloninae に属する。

例によって以下の2サイトを参照する。
「日本産ヒメバチ目録 Check list of Japanese Ichneumonidae」 と
「Information station of Parasitoid wasps」


上記サイトからコンボウアメバチ亜科とアミメコンボウアメバチ属の特徴を判るものだけ抜き書き。
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触角鞭節は13節以上
後体節は背面から見て幅が狭く平べったい
後体節第1背板の気門は側方から見て、節の中央より後方
後体節第1腹板は大抵気門の位置かより後方の位置まで伸長する
産卵管に背面の切れ込みを有する
前翅は鏡胞を欠く。
2m-cu脈は本来鏡胞のあるあたりの位置より明瞭に基部寄りで合流する
前伸腹節は網目状の隆起線に覆われる
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ざっくりまとめると、
ちょっと小振りのアメバチ体形で、
黒くて前伸腹節が網目状、なら
アミメコンボウアメバチ属、でよさげである。

以下、あちこちの拡大
胸部側面

胸部背面
前伸腹節どころか胸部全体が網目模様。

腹部第1節(後体節第1節)
①が中央より後方にある気門の位置
②は腹板の終端

中脚
中脚脛節の距は1本
検索のどこかにあった特徴。

産卵管
産卵管背面側の切れ込みは矢印のあたり。
写真じゃ判りにくい


眉間にしわ。悩みでもあるのだろうか。

アメバチ亜科の単眼は大きくて側単眼は複眼に近づく、とある。

検索表の中で以下の一文の意味がよくわからなかった。
「後体節第3背板の側背板は縦皺によって気門の下で分割される。」
該当部の画像
気門の位置は矢印だけど縦皺が見当たらなかった。

本属は鞘翅目の幼虫に産卵して、必ず蛹から羽化するとのこと。

アミメコンボウアメバチ属という和名はどこにもないが、
Anomalon属の和名が皆「~~アミメコンボウアメバチ」なので
ここではそう呼ぶことにした。

ではまた