口が開いたままのトックリバチ類の古巣。
入口が泥で封じていないので営巣放棄されたものと判る。
こんなイイ家を他の生き物が見逃すわけがない。
捲ってみると、、、
ニホンフサヤスデ Eudigraphis takakuwai |
スマホ画像では何なので以前撮ったデジカメ画像
ニホンフサヤスデ Eudigraphis takakuwai |
フサヤスデ科 Polyxenidae のニホンフサヤスデ属 Eudigraphis なのだが、本属は日本産は1種だが3亜種に分けられていたり、イヤイヤ独立種でない?とか議論はあるようだが、「日本産土壌動物第2版」では1種の扱いなのでそれに倣っておく。
亜種名で言うとウスアカフサヤスデだろうか。
ところでフサヤスデのおしり、画像の矢印部分に毛の束があるのだが非常に抜けやすい。
この毛の束は「尾毛叢(びもうそう) tail brush」といい、その毛は「有枝剛毛 trichome」と呼ぶ。
文献には卵塊の表面に塗りつけて包み外敵から守る、とある。
この毛は非常に絡まりやすく、かつ抜けやすいので自身を外敵から守るのにも使うと思われる。
有枝剛毛の拡大
ニホンフサヤスデの有枝剛毛 trichome |
図鑑にも書いてあったが、フサヤスデのこの形態、カツオブシムシ類の幼虫によく似ている。特にマダラカツオブシムシ属 Trogoderma は機能がよく似た毛束をおしりに持つ。
代表的なのはヒメマルカツオブシムシだけど、あいにく手持ちの幼虫が無かったので同属の、、、
ヒメマダラカツオブシムシ Trogoderma inclusum 幼虫 |
ヒメマダラカツオブシムシ Trogoderma inclusum の槍状毛 |
槍状の先端の付け根には返しがあってギザギザの毛に絡まりやすい。
細かな形態の違いはあるが、機能的には同じである。
ヤスデと昆虫と言う離れた分類群ではあるが奇妙な一致である。
コレも「収斂進化(しゅうれんしんか)」と言っていいのかな?
ヒメマルカツオブシムシの幼虫にアリンコをけしかけたら一体どうなるかやってみたいのだが、いつも忘れてしまう。
おまけ 以前撮ったフサヤスデの赤ちゃん動画
途中見失ってます。
ニホンフサヤスデ成体の脚は13対あるが、動画のは5対しかない。
生まれたての赤ちゃんは3対しかないそうである。
生まれたての赤ちゃんは定義上昆虫である(ウソ)
脱皮のたびに1対ずつ脚が増えていくそうなので動画のは第3幼期と呼ばれる時期みたい。こういう少しずつ増える変態方法を「増節変態」と呼ぶ。
生まれたての3対赤ちゃん見てみたい。
追記
その後生まれたての3対赤ちゃん見つけたので記事にしました。↓
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