2022年4月30日土曜日

タンポポハマダラミバエ

直近で適当なのがなかったので、ちょっと前から。

2022年4月17日
アオキのステージで翅をうよんうよんとパフォーマンスしていたハエ。

まあ確保。

背面


タンポポハマダラミバエ Hemilea infuscata

胸部背面は単色であるとかいう解説も見かけるが、生時と乾燥標本の違いとかそんな話もある。
新鮮な状態ではぼんやりした縦縞があるようだ。

側面


腹面
右中脚が奇形だった。

前翅の拡大
タンポポハマダラミバエ Hemilea infuscata
似たような模様の種類がいくつかある。


「複眼はいいぞ」の仲間である。
赤い横縞が2本ある。

顔、正面
乾燥すると複眼は全体黒くなる。。。

おまけ
腹端を引き出してみた。
突き刺し型の産卵管である。
ここら辺のミバエは花のうちに産卵しているのを見かける。
で、ガクが閉じた後、子房部分を食べて成長する感じ。

ではまた

2022年4月23日土曜日

状況証拠はノキシノブハモグリバエ。

お散歩コースで3月20日にみかけたノキシノブ。

字書き虫が潜り込んでいる。。。
シダ類につくのは見た記憶がない。

たぶん見てるけど忘れてる。

同じ葉を翌週3月27日に見てみると。。。
食害が進んでスカスカになっていたので回収してみた。

拡大して見ると、

ぴょっとナニカ飛び出している。

ハモグリバエの囲蛹の前方気門のようだ。

おおお、成虫見れそうな雰囲気。

ごくまれにハモグリバエの潜った葉を持ち帰るのだが、

カビるか干涸らびるかでなかなか成虫まで持っていけたことがない。


時々加湿しながらフィルムケースに放置。

今週は忙しくて見ておらず、さっき見たら羽化して死んでいた。。。

呪いか?

何かこういうのに法則名があるのでは?

気を取り直して撮影。

側面

ノキシノブハモグリバエ Chromatomyia masumiae
だと思う。
とてもハモグリバエ科っぽい配色。
ちょっとネットを検索すると、以下の記載を発見。

「Notes on the Japanese Fern-miners (Diptera, Agromyzidae), with Description of a New Species.」Japanese journal of systematic entomology 16(1): 161-164.

2010年に新種記載された割りと新しく発見された種類のようだ。
英文で図は♂の交尾器だけ、というアマチュアには敷居の高い記載なので、詳しく検証する気力が起きなかった。
でもハモグリバエ科は寄主植物が判れば同定は八割方済んでいるも同然のようなグループなのでたぶん合っていると思う。

本種は和歌山の蛾を精力的に報告されている村瀬ますみ氏が発見者のようで、種名に献名されたよう。

記載文には和名がなかったようだが、「日本昆虫目録 第8巻第2部 双翅目 第2部 短角亜目額囊節(日本昆虫学会,2014)」を見ると、和名にノキシノブハモグリバエと記載されてあった。

腹面

ノキシノブハモグリバエ Chromatomyia masumiae

背面


胸部を斜めから。


ハモグリバエ科ってM脈から下は細いような気がする。


顔その2

テネラルのまま死んだので顔面が委縮してしまったような。


羽化後の囲蛹殻

幼虫期の口鉤(=大あご)が透けてみえる。

羽化後の囲蛹殻、側面


囲蛹殻の前方気門を正面から

オモシロい形。
幼虫の時は葉に潜ったままで生活しているのに、蛹化するとシュノーケルのように気門を葉から突き出すのは何故なのか?
成虫形態に大変身するから、それなりに酸素要求量が大きくなるのかな?


ではまた

2022年4月16日土曜日

見えない所でオシャレする・・・キュウシュウクチブトカメムシ

今週は見た虫貼るだけ。

丸まったアオキの葉っぱに隠れていたカメムシ。

2022年4月10日
キュウシュウクチブトカメムシ
Eocanthecona kyusyuensis
背面

キュウシュウクチブトカメムシ
Eocanthecona kyusyuensis

近縁のシモフリクチブトカメムシ E. japonicola とは前胸の側角がより鋭く尖り、後縁に小突起があること(矢印)で区別できる、とのこと。 

腹面

キュウシュウクチブトカメムシ
Eocanthecona kyusyuensis

拡大

キュウシュウクチブトカメムシ
Eocanthecona kyusyuensis

前脚腿節に棘があり、脛節にも小さい棘がある。

ヘッドロックを決められたら死ねるかもしれない。

脛節は葉片状に拡がっている。


翅を拡げて腹部背面を見てみる。

藍色の光沢があり、地味にオシャレ。

クロナガタマムシとかの地味系タマムシのおしゃれの仕方である。


さてクチブトカメムシの仲間は口吻が幅広いことが特徴だが、実際に吸う針の部分は細い模様。


半翅目の口吻は、大顎と小顎が極めて細長い中空の刺針となって鞘状の下唇に収まる形となっている。

実際に太いのは下唇である。


ではまた

2022年4月9日土曜日

ホソバキリガの交尾器

こないだのお散歩でみかけた蛾。

鱗粉がはげはげで模様がほとんど判らなくなっていた。
弱っていて触るとポトリ。
たぶん、普通種のキリガの何かだと思いながら連れ帰ってみた。

♀個体で解剖すると卵がほとんど残っていなかった。
役目を終えた個体のようで、罪の意識も軽くなる。

処理しょりしょり・・・

♀交尾器側面

ホソバキリガ Anorthoa angustipennis
female genitalia
左側が第8節腹板、右が背板。

同腹面
ホソバキリガ Anorthoa angustipennis
female genitalia

ついでに以前観察した♂交尾器
2013年3月9日採集
ホソバキリガ Anorthoa angustipennis
male genitalia
内袋の形状がなんとなく♀の交尾器と対応している感じがする。


2019年3月10日採集分
ファルスを除いてバルバを完全に開いた状態。
図鑑の図ではこちらの方がおなじみ。
ホソバキリガ Anorthoa angustipennis
male genitalia

ではまた

2022年4月2日土曜日

ラーテルみたいな配色のシマバエMinettia nigriventris

この間、忙しくてしばらく買ってなかった双翅目談話会の雑誌「はなあぶ」をまとめ買いしたら、以前採集したシブい配色のハエの名前が判った。

こんなの
2017年6月11日
シマバエ科 Minettia nigriventris

背中が銀灰色で他は漆黒というなんかカッコいいハエ。
和名はない。

「はなあぶ」No.49-1とNo.50の日本産シマバエ科の検索試案I・III(市毛勝義)を参考にした。

特徴を抜き書きすると、
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Lauxaninae亜科の特徴
前縁脈の黒色小剛毛列はR4+5脈に達しない
中脛節端に1本の距を持つ
(2本あればHomoneurinae亜科)


Minettia属の特徴
翅は多数の褐色斑点を持たない
肩後剛毛(ph)を持つ
前端の眼縁剛毛は後方に向く
顔面は中央隆起を欠く
翅内剛毛(ia)を持つ
上前側板に下向きの前縁下部剛毛を欠く

Minettia nigriventris の特徴
胸側部は黒~茶褐色で微粉は装わない
頭部と中胸背盾板と小盾板は灰白色の微粉が厚く装う
額の中程に黒色の横帯を備える
触角は褐色で第3節は幅の約2倍の長さ
触角刺毛は羽毛状、黒色で基部1/4は黄色
前翅は黄色味を帯びる
平均棍の先端は黒色
脚は黒色で中・後脚付節は淡色
腹部は黒色
******************************
こんなかんじ。

以下、標本画像
背面
シマバエ科 Minettia nigriventris

側面
シマバエ科 Minettia nigriventris
なんとなくラーテルを想起させる配色。

前翅
矢印は黒い小剛毛の終点


胸部拡大
黒い場所の黒い毛なので判りにくいね。
心眼で見てください。

ではまた