2024年7月20日土曜日

アミダテントウ幼虫のもけもけを拡大してみた。

こないだ七夕の日に手すりを歩いていたもけもけ。

アミダテントウAmida tricolor 幼虫

遠目にヒメカゲロウの幼虫かいな?とパシャリと撮って見たらなんか違う。

拡大

アミダテントウAmida tricolor 幼虫

顔に大きな大顎が無いし、なんか太短い触角がある。

あ、これ以前ネットで見たアミダテントウの幼虫では?


ではと、近くにいたアオバハゴロモの幼虫がついた小枝も回収。

大きめのフィルムケース型容器に入れておいたら数個体食べたようで動かなくなった。

モケモケのままなので中身が蛹化してるかどうか判断できず。

今朝、久し振りに見たところちょっと黒っぽい気がしたので突っついてみたら、アミダテントウが抜け出してきて無事に種類が確定。

アミダテントウAmida tricolor
学名の通り、三色のテントウムシである。

テントウムシ界の三毛猫ですな。


これだけだとつまらないので、モケモケを光学顕微鏡で拡大してみた。

アミダテントウAmida tricolor
幼虫の蝋物質

直線状の細い蝋物質に、クルンと丸まった太短い蝋物質が多数付着した構造のようだ。

スケールの一目盛が0.0025mmなので、毛の太さはだいたい0.002mmてところ。

毛の太さ、いや細さは2ミクロン。


このモケモケをカバーガラスに乗っけてライターで炙ってみたら、一瞬で溶けて100分の1くらいの透明な液滴になって、冷めると半透明な蝋になった。

ふむ、これでロウソクを作るとしたら天文学的な数のアミダテントウがいりますな。

 

おまけ

食べかすの拡大

これはベッコウハゴロモの幼虫だが、原型がそのまま残ってる。

同じようにアオバハゴロモの幼虫も原形が残っていた。

他のテントウムシみたいに「むしゃあぁ」と食べたりせずに中身を体外消化して吸い取っているようだ。

どっちかというとヒメカゲロウ寄りの生活スタイルである。


ではまた

2024年7月13日土曜日

マルツノゼミの一種

七夕の日曜日。

もう本当に久しぶりの晴れ間である。

フラフラ飛んでるエゾオナガバチっぽいのを見掛けて、欲をかいて先に写真を撮ろうとしてそのまま逃げられちゃったり。しょも。。

エノキのひこばえにちんちくりんのアワフキムシっぽいのを見掛けてパチリ。

マルツノゼミGargara genistae

アワフキじゃなくツノゼミだった。

日本のツノゼミは海外のと比べておとなしめのデザイン。

マルツノゼミの仲間らしい。

「九州でよく見られるウンカ・ヨコバイ・キジラミ図鑑(櫂歌書房)」をみるとマルツノゼミそのもののように見える。

「セミと仲間の図鑑(トンボ出版)」のマルツノゼミは翅に帯がある標本が載っていてオビマルツノゼミと素人目には区別がつかない。。

「新訂 原色昆虫大図鑑3(北隆館)」をみると、上記2種に加えてハコネマルツノゼミのほか図がないけどミヤママルツノゼミ、イボタマルツノゼミとか言うのがいるらしい。

これはひょっとして未記載種もいるのでは?

マルツノゼミで良さげだけど無理はしない。

ということで、?付きにしておく。

以下拡大画像。背面

マルツノゼミGargara genistae
翅端まで約4.5㎜。

腹面


翅はこんな。

マルツノゼミGargara genistae
横。

腹部はちょっと粉拭いてる感じで点刻がある。

正面顔デデン

マルツノゼミGargara genistae
触角は細くて基半は白色。

体表の毛は金色。


そういえば昔採った記憶が。

画像検索したら帯のある個体の写真が出てきた。

オビマルツノゼミGargara katoi
2013年5月26日のお散歩コース産である。

近所では10年に1回しか見かけないグループである。


ではまた

2024年7月6日土曜日

シマバエ科の蛹?

うたた寝してたらもうこんな時間。。

ネタが無いのテキトーに。

ちょっと前、イノモトソウの葉先が丸まった巣になっていた。

たぶんイノモトソウノメイガの巣だと思うが古巣だった。

そこにくっ付いていたハエの囲蛹。


持ち帰って羽化したのがこんなの。

シマバエ科?Lauxaniidae

シマバエ科だとおもう。

気がついたら萎びていたので調べる気力が失せてしまった。

忙しいのが悪い。

側面はシマシマで背中はグレー。

シマバエ科?Lauxaniidae

羽化後の囲蛹殻


ショウジョウバエと同じタイプの殻


ではまた


2024年6月29日土曜日

「ハ」の字マークのフシモグリヒメハマキ

先週とタイトルの出だしが同じ。

日曜日の天気がずっと悪いのでネタがないから、飼育品からの蔵出し。

3月に記事にしたこれ。

「空き家で冬ごもり」

クヌギエダイガタマバチの虫こぶ、クヌギエダイガフシなんだけど、

タッパーに入れて時々霧吹きで加湿して会社においていた。

寄生蜂が複数種でてきてホエ~となってたんだけど、,


5月16日の休み明けの月曜日に見たら、蛾が底に転がって死んでいた。

タイミングが悪い。。

初見の虫なのに。。

こんなの。

フシモグリヒメハマキ
Andrioplecta pulverula

図鑑の展翅状態だと判らないけど、閉じた状態だと背中に「ハ」の字マーク。

日本産のヒメハマキでは他に無い模様なので同定は容易である。

本属の日本産は本種のみとのこと。

世界には11種いるそうだけど、本種は後翅中央に半ばまで白斑が走るので区別できるらしい。

フシモグリヒメハマキ
Andrioplecta pulverula

古い図鑑には載ってないが、学研の「日本産蛾類標準図鑑」に載っている。

名前が判って検索すると、クリタマバチの研究報告にそこそこ名前が出てくる。


羽化後の蛹殻。

硬い虫コブから蛹の殻がニョキっと飛び出している。

蛹殻を抜いて拡大。

脱出口をあらかじめ作ってから糸で蓋をしている模様。


虫こぶの断面。

空洞は糞だらけ。

矢印が蛹室(繭)である。

虫こぶの中身とタマバチの幼虫も食っちゃうそうだ。


蛹殻側面

フシモグリヒメハマキ
Andrioplecta pulverula
蛹殻腹面
フシモグリヒメハマキ
Andrioplecta pulverula

腹端が三叉鉾になってる。

ここまで強そうな腹端の蛹はあまり見た記憶がない。


頭部先端

なんか尖っている。

腹端のトゲとか腹部背面のトゲで体を支えて尖った頭で繭を押し破って脱出するのだろう。

朽木に潜るイシアブ類の蛹やベッコウガガンボの蛹もトゲだらけだけど、機能的には同じ目的なのだろう。

齧る口のない鱗翅目や双翅目は蛹で一工夫と言ったところ。

ヤママユなんかは繭の中で羽化して酵素入りの唾液?で繭を柔らかくしてからムリムリと出てくるけどね。

パワータイプの脱出法?

いろいろあって面白い。


おまけ

同じ日に同じように死んでいた小蛾。

マダラトガリホソガ
Anatrachyntis japonica
こちらは掃除屋的な立ち位置の蛾で、アシナガバチの巣とか小蛾の巣とかで見つかるようだ。

こちらも乾燥してしまっていたので展翅は断念。


ではまた

2024年6月22日土曜日

「ハ」の字マークのハスジチビヒラタエンマムシ

梅雨入り前の日曜日、天気悪し。

なんでや?

雨は上がっているけど、下草濡れてて虫的にどもならん。

そのくせヒトスジシマカだけは纏わりつくとはこれ如何に。

山の中でついったX見ながら蚊除けにお散歩ネットを振り回していた。

十数匹入ったかな、と中を覗いたら蚊に混じって丸こいのがはいっていた。エンマムシのようだが、以前ヒメチビヒラタエンマムシを採集した同じ場所なので、それだろうと思いつつ一応確保。

ヒメチビヒラタエンマムシの過去記事はこちら↓

「樹皮下のヒメチビヒラタエンマムシ」


さてさて帰って見たら、別種であった。

2024年6月16日

ハスジチビヒラタエンマムシ
Pachylomalus musculus
体長2.5㎜ほど。
ちっちゃくてツルんとしたエンマムシ。
前胸基部に「ハ」の字のマークがあるのが特徴。

ツルツル小型のうちでは他種にはない特徴らしく、拡大して見られる環境さえあれば同定は容易かも。

腹面
ハスジチビヒラタエンマムシ
Pachylomalus musculus

「甲虫ニュース120号」にある本種の解説を読むと、

♂は尾節いっこ前の背板に稜がある、とある。

あったので♂。
3個体採ってすべて♂だったので、雨上がりに飛び回る習性でもあるのかも知れない。


おまけ

後脚基節の内部が見えていたので拡大。

なんか横皺がある。

ひょっとして発音器官だったり?

ペラペラの脛節が共鳴したり?

交尾の際に♀をなだめるために鳴いたり?

などと妄想してみた。

カミキリムシくらい大きかったら聞こえるかも。

カミキリが鳴く部位は前胸と小盾板だけどね。


さて、

今週は近畿も梅雨入りして、ちゃんと天気が悪いらしい。

なんでや。


ではまた

2024年6月15日土曜日

クシヒゲハバチの櫛髭

日曜日のお散歩は雨の中。

なのであまり虫を見ることもなく帰宅。

ということで、出しなに庭にいた虫を貼っておく。


ちっちゃな黒いハバチ。

特徴うすい、、

調べて果たしてわかるかなぁと思ってたが、拡大して見ると触角が櫛状じゃないの。

検索すっ飛ばして図鑑の索引でクシヒゲハバチを引いてみたらソックリそのままであった。

以下拡大画像

背面

クシヒゲハバチ♂
Cladius pectinicornis
脚部の膝から先が黄白色である以外は全体黒色。地味。
体長は6mm弱。

腹面

クシヒゲハバチ♂
Cladius pectinicornis

クシヒゲハバチ♂
Cladius pectinicornis
本種はハバチ科のヒゲナガハバチ亜科Nematinaeに属する。
ヒゲナガハバチ亜科は触角が9節で、赤丸印の場所にある横脈(2r-rs)がないものが多い。
あと、2A+3A脈は1A脈に中央で合流してから分離し先端でまた合流する。
黄色矢印はrs脈、古い本だと第反上脈とか書いてある。
rs脈のある場所だけど、透明なので無いと見るべきか。

触角を横から

クシヒゲハバチ♂
Cladius pectinicornis
第1・2節は短く、第3~5または6節には上に向かう突起があり、第3節は基部下方にも突出する。

カッコいい。

けど、幼虫はバラ科を食べるので害虫扱いである。

年2・3回発生する。

バラの葉っぱを裏面から食べて表皮を残す食べ方をするそうな。

バラにハバチの幼虫がいて、上記の食痕を残していたら、たぶん本種であろう。

なお、櫛髭なのはオスだけでメスは糸状である。

おまけ

クシヒゲハバチ♂
Cladius pectinicornis

ではまた

2024年6月8日土曜日

神戸の札幌

5月最後の日曜日、葉っぱの上にむくろ。


ちらり。

う~ん、オオウスベニトガリメイガ Endotricha icelusalis 辺りかな。

時々見かけるキレイな死骸はなんなんでしょ?

体液だけ吸うタイプの捕食者にやられてポイされた可能性が一番高いか。

ハエトリグモとか。

天寿を全うしたにしては擦れてないし、第一天寿を全うすることなんて自然界では少なかろう。


この日は別の葉っぱにも小蛾が死んでいた。

真っ黒けのハマキガだったので写真はとらず。

擦れてなかったので持ち帰ってみた。

乾燥した死骸なので針刺すだけ標本にした。

サッポロヒメハマキ
Ukamenia sapporensis

拡大して見たら、意外とキレイな蛾じゃないの。

外縁近くは紅色を帯びて、鉛色の金属光沢のある星が散らしてある。

意外と普通種とか図鑑に書いてあり、サッポロとか名前にあるが本州にも分布している。

いろんな広葉樹につくそうな。


ではまた