2023年12月2日土曜日

ヒヨドリバナのホソバチビヒメハマキ

10月に咲いていたヒヨドリバナ

綴られて出入口があったので持ち帰ってみた。

チラリ

紫褐色の体色に白色の刺毛基板。

なんか見たことある。

よーな気がする。

シャーレに入れて一カ月後。2023年11月22日。

蛹が飛び出して羽化した跡が。

羽化したのはこちら。

ホソバチビヒメハマキ
Lobesia aeolopa
でした。

本種は旧ブログでナワシログミの実についていたのを紹介済み。↓

insectmoth.hatenablog.com

本種は広食性でさまざまな葉や果実につくそうだ。

今回はヒヨドリバナについていたので再登場。 

翅を拡げたところ。

ホソバチビヒメハマキ
Lobesia aeolopa
幼虫と蛹の脱皮殻。


蛹の尾端腹面

交尾器開口部の位置を見るとオスですな。

この辺は過去記事に解説したので詳しく知りたい方は以下の記事へ↓

「カタカケハマキの幼虫と蛹殻」←クリックで移動


ということでオスの交尾器はこんな感じ

ホソバチビヒメハマキ
Lobesia aeolopa
Male genitalia
透過光でバルバの拡大

よく似た同属他種がいるけども、手持ちの図鑑やネットで拾った文献などを見る限り、たぶんあっていると思う。

未記載種だったら知らんけど。


ではまた

2023年11月25日土曜日

オオズヒメゴモクムシの内袋

ちょっと前の笹の上

2023年11月5日
ちっちゃいゴミムシがいたので持ち帰る。

似たような種類が多いので、現地で同定する能力もないので名前を知ろうとするなら持ち帰るしかない。

普段は同定できる気がしないので採ったりしないのだが。

普段見ているのより頭でっかちな感じがしたのでもしかして判るかもと思ったのもある。。

体長とか、虹色光沢が無いとか、頭が大きいとか、前胸の形と点刻の具合とか、図鑑を見ながらオオズヒメゴモクムシ(もちろん普通種)ではないかと結論づけた。

背面

オオズヒメゴモクムシ
Bradycellus grandiceps
腹面
オオズヒメゴモクムシ
Bradycellus grandiceps

腹部の付け根に毛斑があった。


せっかくなので交尾器を出して内袋も反転した。

オオズヒメゴモクムシ
Bradycellus grandiceps
こっちの方が内袋のトゲがちゃんと写ってるっぽい。

さて、

本種にはカスガヒメゴモクムシとかそっくりさんがいるらしい。

なので、

違ってたらごめんなさい。


ではまた

2023年11月18日土曜日

5年前の答え合わせ?

 5年前の記事で紹介したハマキホソガの一種↓。

「シュッとした小蛾」←クリックで移動

大型のホソガで

タブノキハマキホソガ Caloptilia syrphetias

ホソバタブハマキホソガ C. crinotibialis のどちらかだったんだけど、

正確な同定には交尾器の確認が必須、だとかのことで今後の課題としていた。

近所では成虫越冬のようで、寒くなるとよく見かけるのだが、見た目が地味なのでついつい放置してしまっていたけど、

この間お散歩ネットに入ったのを持ち帰ったので交尾器を確認してみた。

2種の交尾器は以下の文献を参照。

「A taxonomic revision of the Gracillaria group occurring in Japan (Lepidoptera: Gracillariidae)」

上記の文献ではタブノキハマキホソガはCaloptilia perseellaの学名で書かれているので注意。はシノニムで消され現在はCaloptilia syrphetias である。

さて、10/29に採集したのはこんなヤツ。

ホソバタブハマキホソガ♂
Caloptilia crinotibialis
5年前に採集したのと同種だと思うけど、,,

中脚がフサフサ。

後脚は腹部にそって畳まれており、前脚と中脚4本で止まっている。

ものすごく爪先立ち。

翅を拡げたところ。

ホソバタブハマキホソガ♂
Caloptilia crinotibialis
縁毛がふぁさぁあ。

触角も長い。

で、この個体の交尾器。

ホソバタブハマキホソガ
Caloptilia crinotibialis
Male genitalia
透過光での画像。
ホソバタブハマキホソガ
Caloptilia crinotibialis
Male genitalia
文献の図で見ると、バルバの形がタブノキハマキホソガでは長方形に近いが、本種では台形に近い。

あと矢印位置にタブノキハマキホソガではバルバとほぼ同長の毛束を備えることで区別できるようだ。

(詳しくは文献をググってみてね。無料で見られます。)

おまけ

展翅中に腹端をピンセットで引き出したところ。

タブノキハマキホソガでは矢印位置に毛束があるので、プレパラートにして光学顕微鏡で見るまでもなく、♂であれば実体顕微鏡下で区別できそうである。


なお、5年前の標本は交尾器を見ていないままなので不明のままである。

答え合わせになってないやん。


ではまた

2023年11月11日土曜日

チュウゴクアミガサハゴロモ来ました

六甲山系の西の端の孤立山塊である我がお散歩コース。

都市近辺だけど、外来種とか侵入種とかは世間より一歩遅れてやってくる。

2018年頃に日本に侵入した話題のハゴロモがとうとうやってきた。


こないだの日曜日(11/5)

チュウゴクアミガサハゴロモ♂
Ricania shantungensis

山の中ではなく、人家近くのイヌビワ上にいた。

在来のアミガサハゴロモは緑白色の粉を纏っているのに対し、

こちらは赤さび色の粉を纏っているのですごく印象が異なる。


無事回収できたので拡大画像を撮っておくことに。

チュウゴクアミガサハゴロモ♂
Ricania shantungensis
複眼にはシマシマとかはないですな。

矢印のところに単眼があった。

チュウゴクアミガサハゴロモ♂
Ricania shantungensis
色つきの翅は翅脈が判りづらい。

♂の腹端側面

チュウゴクアミガサハゴロモ♂
Ricania shantungensis
薄茶色のが挿入器のよう。

腹端腹面


腹端を斜め上から。

チュウゴクアミガサハゴロモ♂
Ricania shantungensis
尾節の背板はパカパカと動く構造だった。


おまけ

本種は大阪の大東の粘着板に捕獲されているのを10月に初めて見たのだが、見返してみたら♀だったので腹部を外して観察してみた。

腹端背面


♂と比べると尾節背板が大きかった。

粘着板にくっ付いていたのを剥がしたので壊れちゃったので接続部分を両矢印で示す。

♀腹端側面
チュウゴクアミガサハゴロモ♀
Ricania shantungensis
白色の袋はたぶん貯精嚢。

♀腹端腹面


ではまた

2023年11月4日土曜日

ヒロバウスアオエダシャクの交尾器

この間のお散歩で見かけた蛾。

ヒロバウスアオエダシャク
Paradarisa chloauges
ちょっとお疲れ気味。

蛾は好きだけど、名前を調べるのがおっくうになるグループ。

普通種だろうし、似たのがいそうだし。

今後の参考のため交尾器画像を撮っておくの巻。

バルバを開いて正面から。

ヒロバウスアオエダシャク
Paradarisa chloauges
Male genitalia

横から

ヒロバウスアオエダシャク
Paradarisa chloauges
Male genitalia

反転した挿入器(ファルスphallus)。

ヒロバウスアオエダシャク
Paradarisa chloauges
phallus

反転した内袋はベシカ(vesica)といい、ベシカ上に生じる刺状の突起をコルヌティ(cornuti,単数形はコルヌツスcornutus)である。

本種では2ヶ所にあり、大きなのが1本と細かいトゲの塊がもう1ヶ所にある。


ではまた

2023年10月28日土曜日

まめでちび

今週も見た虫貼るだけ。

日曜日のお散歩で見かけたヤブマメの食痕にいたチビタマムシ。

ヤブマメはミニチュアのクズといった感じの葉っぱ。

花は紫で、種はウズラ模様。

いつも見かけるクズチビタマムシより細身な感じがしたので持ち帰った。

背面

マメチビタマムシ?
Trachys reitteri
白黒褐色の3色の毛。

よく言えば金銀黒の3色。

腹面

マメチビタマムシ?
Trachys reitteri

近縁にヌスビトハギチビタマムシがいて前胸腹板突起の形状とか複眼内縁が突出するかどうかで区別するらしい。

が、今まで気にして採ったことがないのでよく判らない。

とりあえずマメチビタマムシは図鑑によるとヤブマメ、クズ、タンキリマメ、ダイズなどに「最も普通」と書かれていた。

ヌスビトハギチビタマムシはマメチビタマムシより一段上?の「普通」と書いてあったが、アレチヌスビトハギとかの外来種に付いたりするのだろうか。


ではまた

2023年10月21日土曜日

ムラサキシラホシカメムシ

この間のお散歩で見かけた虫。

ムラサキシラホシカメムシ
Eysarcoris annamita
スマホで撮ったが、ぱっと見にはよくても拡大してみたら点刻がタイル張りになったいた。

持ち帰ったので撮り直し。
ムラサキシラホシカメムシ
Eysarcoris annamita
判りにくいけど単眼が1対ありますね。
紫がかった銅色光沢がある美人さんである。
シラホシカメムシ属では背中の白点が1番大きい。

ムラサキシラホシカメムシ
Eysarcoris annamita
カメムシの翅脈はよく判らない。

腹面を斜めから
ムラサキシラホシカメムシ
Eysarcoris annamita

腹部腹面は側方を除き黒色。

近縁のマルシラホシカメムシE.gibbosus の腹部腹面は中央部を除き黄褐色であることで区別できる、とのこと。


矢印のつや消し部分を「蒸発域」と言い、他の部位と違って水を弾かない。

蒸発域は中胸と後胸に存在する。

ここに臭腺から出た液体が拡がってクサ~い臭いを拡散する。


腹端

観音扉があるので♀ですな?

パカリ


幼虫は某アニメの「顔なし」みたいな見た目である。
旧ブログで16年前に紹介してる。↓

insectmoth.hatenablog.com


ではまた