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2025年5月17日土曜日

ウンモンオオシロヒメシャクの卵

日曜日に見かけた蛾。

ウンモンオオシロヒメシャク
Somatina indicataria
難同定種の巣窟であるヒメシャク亜科にあって比較的判りやすい種類。

この個体は中室の眼状紋の発達が弱い。

なんか弱弱しいのでフィルムケースに取り込んで持ち帰り。

翌日ケースを見ると産卵していた。

ウンモンオオシロヒメシャクの卵
Somatina indicataria
長径約0.5㎜。数は少なく10個ほど。

ちょっと変な形をしている。

模様はなんかモンシロチョウっぽい感じ。

生みたてはきれいなレモン色。

図鑑を見るとスイカズラを食すとある。

スイカズラは庭に植えてあるので、孵化したら飼ってみようかと思っていたが、4・5日で萎びてしまった。

未交尾個体だったのかも?


ではまた

2025年3月29日土曜日

ウスベニスジナミシャクの♀交尾器

春らしくなった日曜日のお散歩で見た、唯一の蛾。

ウスベニスジナミシャク
Esakiopteryx volitans
目の前にヒラヒラ落ちてきた。

ちょっとくたびれた感じの超普通種。

散歩で見た蛾がこれだけとは、当地の虫の減り方が著しい限り。

寂しいので持ち帰った。

旧ブログで紹介済みの種である。

が、交尾器の画像を貼ってないので観察してみた。

解剖してみたら卵が3個ほど残っていたが、ほぼ産卵済みの個体だった。

ちょっとだけ罪の意識がやわらぐ。

交尾器腹面

ウスベニスジナミシャク
Esakiopteryx volitans
female genitalia
cb がコルプス・ブルサエ(corpus bursae):交尾嚢、精子を一時貯蔵する。白く濁っているので交尾済みである。

db がドゥクツス・ブルサエ(ductus bursae):交尾口と交尾嚢の間の管状部。

コルプス・ブルサエとドゥクツス・ブルサエを合わせてブルサ・コプラトリクス(bursa copulatrix)と称する。

交尾器側面

ウスベニスジナミシャク
Esakiopteryx volitans
female genitalia
斜め下から拡大

矢印はドゥクツス・セミナリス(ductus seminalis):受精管、交尾嚢から輸卵管に精子を送る管。受精管や輸卵管などは軟弱で壊れやすく分類形質として扱われないので、除去された図がほとんどである。

交尾嚢の拡大

本種は交尾嚢に硬化したトゲが多数ある。

硬化部はシグナ(signa):単数形はシグヌム(signum)と呼び、形状や数、範囲が異なるため、種の分類に役立つ。なお機能は不明。

用語は、日本の鱗翅類(2011、東海大学出版会)より抜粋。

普通は交尾嚢と呼ばずに受精嚢と呼ぶのが普通のようだが、蛾の場合は受精管と輸卵管の間に嚢状部を持つ者がいてそれを受精嚢と称するようで、交尾嚢の呼び方は他の昆虫類では一般的でないような感じがする。

日本語のややこしいところである。

横文字使った方が間違いがない気がするが、分類群によって形状が異なるので横文字もそれぞれに用語が当てられているため、「一からか、一から覚えんとあかんのか?」とどっかで聞いたようなセリフをいうはめになる。。

おまけ

旧ブログで紹介したのはウスベニスジナミシャクの卵と幼虫↓

insectmoth.hatenablog.com


ではまた

2024年4月13日土曜日

ウスベニスジヒメシャクの♀交尾器

先週記事にしたベニスジヒメシャクの一種が羽化したので種の同定を試みた。

こんなの

2024年4月10日羽化

ウスベニスジヒメシャク
Timandra dichela

メスだったけど、幸い手持ちの図鑑にメスの交尾器の図もあったので何とか同定できた。

メス交尾器側面図

ウスベニスジヒメシャク
Timandra dichela
female genitalia

laがラメラ・アンテバギナリス。

obは交尾口(ostium bursae)

ラメラ・アンテバギナリス(lamella antevaginalis):交尾口(ostium bursae)の周囲の硬化した構造物をステリグマ(sterigma)と呼び、特に前方の硬化部をラメラ・アンテバギナリス、後方の硬化部をラメラ・ポストバギナリス(lamella postvaginalis)と称する。

交尾口の前方(頭部側)から後方に向かって伸びているのでラメラ・アンテバギナリスである。

ウスベニスジヒメシャクのラメラ・アンテバギナリスは先端が丸い二裂した骨片となるのが特徴。同属他種は先端が裁断状であったり、そもそもこんなに長くないので区別可能であるそうな。

メス交尾器背面図

ウスベニスジヒメシャク
Timandra dichela
female genitalia

ラメラ・アンテバギナリスは外して横に配置。

先端は毛束で覆われているので二裂している片方だけ除去。

図鑑の解説通り、先端が丸い。

ということで、先週の記事の幼虫も無事に種が決定。


まわりくどい!!!

数を見ているプロなら外見で判るかもだけど。。。

成虫であれば。

手持ちの図鑑には幼虫では区別できない、とか書いてあった。


ではまた。



2024年4月6日土曜日

頭にトゲがある蛹・・・ウスベニスジヒメシャク

先週とタイトルが似ているが別の虫の話。

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2024年4月13日タイトル変更

羽化して同定できたので。

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3月最後の日曜日、倒木の上をぴこぴこ移動中のしゃくとりむしを発見。

ベニスジヒメシャク属の一種
ウスベニスジヒメシャク
Timandra dichela Larva
シャクガ科で、

背中に菱形模様が三つ、

第3胸節から第1腹節にかけて膨らむ、

あたりの特徴で図鑑をあたると、

ベニスジヒメシャク属Timandraの仲間であることは判った。

ベニスジヒメシャク属の成虫はこんなやつ↓。

2017年9月24日撮影
コベニスジヒメシャク
Timandra comptaria
翅を拡げても3㎝ないくらいの小型の蛾。

ベニスジヒメシャク属は日本産6種。

いずれも似通っており、正確な同定は交尾器の観察を推奨、

でも草っ原に普通、

というめんどくさいグループである。

画像の成虫も交尾器を確認してある。(過去記事はこちら↓)

「コベニスジヒメシャクの交尾器」

同属内の幼虫はいずれもタデ科につき、色調に変異はあるが種を分ける特徴が見つかっていないため、同定するには飼育羽化させて交尾器を見る必要がある。

普通種なのに。

愚痴は置いといて。

幼虫側面

ベニスジヒメシャク属の一種
ウスベニスジヒメシャク
Timandra dichela Larva
矢印が第1腹節。

体長は2cm強。

道端でちぎったヒメツルソバを与えておいたが食べずに蛹化。

成熟幼虫だったようだ。

こんな時期に終齢幼虫ということは幼虫越冬なのだろうか。

年2回発生するそうなので、越冬態は適当な可能性が微レ存。

暖冬なので3回目が生き残ったのかも?


ベニスジヒメシャク属の一種、蛹背面

ベニスジヒメシャク属の一種
ウスベニスジヒメシャク
Timandra dichela Pupa
腹面
ベニスジヒメシャク属の一種
ウスベニスジヒメシャク
Timandra dichela Pupa
側面
ベニスジヒメシャク属の一種
ウスベニスジヒメシャク
Timandra dichela Pupa
全長約12㎜。

一見してモンシロチョウっぽい感じな蛹である。

容器に荒く糸を貼って、雑な感じで蛹化していた。

頭部に突起があり、糸が絡んでいる。

頭部腹面拡大

ベニスジヒメシャク属の一種
ウスベニスジヒメシャク
Timandra dichela Pupa
突起の拡大

鉤状の刺毛があり、荒い糸でも体を固定できるようにしている。

一般的な蛾の蛹にはない特徴である。

腹端腹面

腹端には他の蛹同様に鉤状刺毛があって、こちらでも体を固定している。

腹端の鉤状刺毛は幼虫時代の刺毛と相同で決まった数である。

頭部の刺毛は二次的なものであろう。

頭部に鉤状刺毛のある蛹はワタクシ的には初見だけど、他にもいるのかな?


蛹が無事に羽化したら種までの同定をする予定。

(羽化して同定できたけど、幼虫では区別できないから一緒か?)

ではまた

2023年11月4日土曜日

ヒロバウスアオエダシャクの交尾器

この間のお散歩で見かけた蛾。

ヒロバウスアオエダシャク
Paradarisa chloauges
ちょっとお疲れ気味。

蛾は好きだけど、名前を調べるのがおっくうになるグループ。

普通種だろうし、似たのがいそうだし。

今後の参考のため交尾器画像を撮っておくの巻。

バルバを開いて正面から。

ヒロバウスアオエダシャク
Paradarisa chloauges
Male genitalia

横から

ヒロバウスアオエダシャク
Paradarisa chloauges
Male genitalia

反転した挿入器(ファルスphallus)。

ヒロバウスアオエダシャク
Paradarisa chloauges
phallus

反転した内袋はベシカ(vesica)といい、ベシカ上に生じる刺状の突起をコルヌティ(cornuti,単数形はコルヌツスcornutus)である。

本種では2ヶ所にあり、大きなのが1本と細かいトゲの塊がもう1ヶ所にある。


ではまた

2023年4月15日土曜日

花びら模様のある卵

今週はごく軽く。

3月12日のお散歩でみかけた卵。


何だろう?エダシャクっぽい。

白色の点々が見えるような?

少し削って20個ほど持ち帰る。

拡大して見ると、


6枚の花びらを並べたような模様がある面白い卵だった。

10日後に孵化。

暗緑褐色で側面に太い白線、頭部は黄色。

庭のクヌギやヤマザクラの新芽を与えると食いついた。

どちらも好き嫌い無く食べて、普通種感が漂う幼虫である。

2日後

頭はそのままで胴体が伸びる。

27日に2齢確認

白線が消え、頭部が角張る。

30日には3齢確認

頭にネコ耳が、、、
見たことあるような幼虫になってきた。

4月2日に4齢確認

4月5日に5齢確認

トビモンオオエダシャク Biston robustus
これは、、、

一部界隈で大人気のトビオくんこと

トビモンオオエダシャクでした。

トビモンオオエダシャク Biston robustus
ゴマダラチョウとか、オオムラサキでよくあるアングル。

ちなみに孵化後の卵殻を見ると花びら模様は残っていた。

トビモンオオエダシャク Biston robustus
卵殻

さて、旧ブログの方で同属のチャオビトビモンエダシャクBiston stratariaを紹介しているが、卵にはこんな模様はないし、1齢幼虫では背中にも白線が入るので、この2種だけを並べたら区別できるようである。

 旧ブログの記事↓

insectmoth.hatenablog.com

 

ではまた