2022年7月30日土曜日

オオクロセダカカスミカメ

これといった虫がなかなか見つからない。

今週はちょっと前に見た虫貼るだけ。

なんか草の上にいた小さなカメムシ。

2022年7月3日
オオクロセダカカスミカメ
Proboscidocoris varicornis
持ち帰ったので背面
オオクロセダカカスミカメ
Proboscidocoris varicornis
よく似たのにヒメセダカカスミカメ(別属)がいるそうだが、本種は中・後脛節が広く黄褐色で基部のみ黒色なので区別できるそうだ。

ヒメセダカカスミカメの中脛節は半分ほどが黄褐色で、後脛節は先端付近のみが黄褐色とのこと。

腹面

オオクロセダカカスミカメ ♀
Proboscidocoris varicornis
矢印が臭腺。

腹端腹面は縦溝になっているので♀ですね。


ではまた

2022年7月23日土曜日

おまえ、新記録種だったのか。・・・シリグロマルハバチ

会社にある日本昆虫分類学会の会誌を見ていたら、既視感のあるハバチが。

春に採ってイハバチに似てるけど違うなぁ、と放置していたマルハバチ亜科の1種に該当することが判った。

文献は今年発行されたこれ↓

「A New Record of Halidamia affinis (Hymenoptera:Tenthredinidae) from Japan」Japanese journal of systematic entomology 28(1):18-22.

採った虫↓

2022年5月22日、神戸市

シリグロマルハバチ Halidamia affinis

吸虫管で吸って他の虫と一緒にしていたから、触角切れたり翅がぼろくなってしまった。。
体長5㎜程の小型種でそこらでよく見る感じのハバチである。
が、採って帰るとよく判らない、、、で終わる種類である。
なので普段はスルーしがち。

上記文献を斜め読みした限りでは、食草はヤエムグラでヨーロッパや北アメリカなどに広域分布する種類のよう。
この文献でシリグロマルハバチと和名新称されている。

なので、ハバチ類の最新の図鑑である「日本産ハバチ・キバチ類図鑑(2020)」には未掲載の種類である。

腹面
シリグロマルハバチ Halidamia affinis

頭胸部側面
シリグロマルハバチ Halidamia affinis

シリグロマルハバチ Halidamia affinis


産卵管とか出して見ていないので確定ではないが体の模様は一致しているのでほぼ間違いないと思う。
文献では関東を中心に新潟、長野で記録されているようだ。
でもヤエムグラが食草なのでどこにでもいそうな種類だと思う。


ではまた

2022年7月16日土曜日

ピッコロなニセチビシデムシ

梅雨明け宣言後の休日は今一つな天気が続いて、とうとう戻り梅雨とか言われだしちゃった。

というわけで?ちょっと前の採集品を上っ面だけ調べてみた。

冬場にマルヒメツヤドロムシを見つけた砂防堰堤(再掲)。

たまに何かいるかな?と貼り付いた落ち葉を捲って見つけた虫。

2022年5月22日
ニセチビシデムシ Ptomaphagus piccoloi
体長約2㎜の超小型のチビシデムシ。

保育社の原色図鑑のころはチビシデムシ科Catopidae と独立した科だったけど、現在はタマキノコムシ科のチビシデムシ亜科に格下げになった模様。

ニセチビシデムシ Ptomaphagus piccoloi

本種はニセチビシデムシ族Ptomaphagini に含まれるが、その特徴は
上翅に横条があること(斜めだけど)、
中胸腹板に縦隆があること、
前胸背板にも横条があること、
中基節窩は中胸突起で二分されること、
などである。

日本産本族には、
前脚脛節端のみに短棘がある・・・・・ニセチビシデムシ属Ptomaphagus
前脚脛節端から外縁にかけて短棘を櫛状に列生する・・・・・オニニセチビシデムシ属Ptomaphaginus
の2属がおり、今回のはニセチビシデムシ属Ptomaphagusである。

ニセチビシデムシ属は以前は3・4種類いたようだが、現在は2種に整理されたようだ。
ハギニセチビシデムシP.kuntzeni は体長3㎜以上あるので除外すると、今回のはニセチビシデムシになるようだ。
ほんとは交尾器出して見ないとダメだけど、時間が取れなくて暫定の結論である。
ニセチビシデムシの体長は2.5㎜内外とあるので、さらに小さいのが不安材料。。。

もともとのニセチビシデムシに当てられた学名はPtomaphagus sibiricus だけど、日本では♀1個体で記録されたもので、ロシアなどに分布する種類みたいで、日本産を再検討したら別種だった、みたいな話のようだ。

記載には和名の提唱がなかったため、一部界隈では種小名からとって、ピッコロニセチビシデムシと呼んでいるみたいである。
piccoloi は記載した先生がドラゴンボールのファンで、かつイタリア語で小さいという意味があるので付けられたとかなんとからしい。

おまけ 触角
11節あるが、第8節が寸詰まり。


ではまた

2022年7月9日土曜日

顔でかクリイロヒゲハナノミ

今週は見た虫貼るだけ。

日曜日の八幡さんにて。

2022年7月3日

クリイロヒゲハナノミ
Macrotomoxia castanea

なにやらすごく落ち込んでいる風の甲虫。

ハナノミっぽいが20㎜近い大きさのはあまり見たことがない。

クリイロヒゲハナノミ♀
Macrotomoxia castanea
知ってるハナノミと比べてものすごく顔が大きい。

おでこの毛はたぶん禿げたのだと思う。

背面

上翅の前半は点刻というよりも波状の印刻になってる。

展脚後

クリイロヒゲハナノミ♀
Macrotomoxia castanea


♂の小顎髭には顕著な付属物を備えるそうなので、特に変わったところのない小顎髭のこの個体は♀なのであろう。


ではまた

2022年7月2日土曜日

ウスマダラオオヒロズコガの交尾器

この間紹介したルリオオキノコの幼虫がいたクジラタケの副産物。

そのまま置いていたら小さな蛾が羽化した。

2022年6月24日
ウスマダラオオヒロズコガ ♂
Morophaga fasciculata
展翅中
ウスマダラオオヒロズコガ 
Morophaga fasciculata
交尾器側面
ウスマダラオオヒロズコガ 
Morophaga fasciculata
本属には近似種が2・3いるため同定には交尾器を見ること、などと図鑑に書いてある。

本種の場合は、矢印に示すようにバルバの側面に長い剛毛が列生することが特徴とのこと。

マダラオオヒロズコガM.formosanaではバルバ腹側に櫛歯があり基部側に独立した棘状突起を一つ持つとのこと。

ちょっと後に♀も羽化した。

2022年6月27日
ウスマダラオオヒロズコガ ♀
Morophaga fasciculata
展翅
ウスマダラオオヒロズコガ ♀
Morophaga fasciculata
♀は卵を持ってるのでぽっちゃりしてる。

触角は糸状、♂は各節に毛束を備える。

交尾器腹面

ウスマダラオオヒロズコガ ♀
Morophaga fasciculata
幼虫はクジラタケの内部にトンネルを掘って隠れている。

蛹室は表面近くにあり、羽化の際に蛹がうにょうにょしながら頭を出して羽化するようだ。

蛹殻と終齢幼虫の残骸

ウスマダラオオヒロズコガ ♀
Morophaga fasciculata
幼虫頭部破片の拡大
ウスマダラオオヒロズコガ ♀
Morophaga fasciculata
大顎の歯に特徴があるかも。

6月15日にクジラタケを少し解したときに幼虫を見ている。

中齢くらいだと思う。

バタバタしていたので途中経過が見れてない。

他に蛾は羽化してないのでたぶん本種の幼虫。

腹脚

前後につぶれた単列環状の鉤爪。


ではまた