ラベル Tenthredinidae の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル Tenthredinidae の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2024年6月15日土曜日

クシヒゲハバチの櫛髭

日曜日のお散歩は雨の中。

なのであまり虫を見ることもなく帰宅。

ということで、出しなに庭にいた虫を貼っておく。


ちっちゃな黒いハバチ。

特徴うすい、、

調べて果たしてわかるかなぁと思ってたが、拡大して見ると触角が櫛状じゃないの。

検索すっ飛ばして図鑑の索引でクシヒゲハバチを引いてみたらソックリそのままであった。

以下拡大画像

背面

クシヒゲハバチ♂
Cladius pectinicornis
脚部の膝から先が黄白色である以外は全体黒色。地味。
体長は6mm弱。

腹面

クシヒゲハバチ♂
Cladius pectinicornis

クシヒゲハバチ♂
Cladius pectinicornis
本種はハバチ科のヒゲナガハバチ亜科Nematinaeに属する。
ヒゲナガハバチ亜科は触角が9節で、赤丸印の場所にある横脈(2r-rs)がないものが多い。
あと、2A+3A脈は1A脈に中央で合流してから分離し先端でまた合流する。
黄色矢印はrs脈、古い本だと第反上脈とか書いてある。
rs脈のある場所だけど、透明なので無いと見るべきか。

触角を横から

クシヒゲハバチ♂
Cladius pectinicornis
第1・2節は短く、第3~5または6節には上に向かう突起があり、第3節は基部下方にも突出する。

カッコいい。

けど、幼虫はバラ科を食べるので害虫扱いである。

年2・3回発生する。

バラの葉っぱを裏面から食べて表皮を残す食べ方をするそうな。

バラにハバチの幼虫がいて、上記の食痕を残していたら、たぶん本種であろう。

なお、櫛髭なのはオスだけでメスは糸状である。

おまけ

クシヒゲハバチ♂
Cladius pectinicornis

ではまた

2024年4月27日土曜日

クルメキモンハバチ

直近でこれと言ったのがないのでパソコンの画像から。

春によく見かけるハバチで同定だけしてた分。

2024年4月7日採集
クルメキモンハバチ♀
Pachyprotasis kurumensis

キモンハバチの仲間は種類が多くて以前は手出しができなかったのだが、「日本産ハバチ・キバチ類図鑑」を手に入れてからちょっと同定可能になった。

図鑑の検索から本種の特徴を抜き書き

***************************************

後脚基節は黄白色

前翅縁紋は黒色~黒褐色

複眼内縁はほぼ直線的

頭部の彫刻は弱く光沢がある

中胸盾板には明瞭で密な点刻はない

単眼後方区側溝は後半では深く明瞭で前半はやや不明瞭

後脚付節は全体または第5分節基半を除き黒色

頭頂部の黄紋は単眼後方区側溝に届く

後脚腿節の上面は黒色、♀の複眼内縁の黄帯は明瞭で途切れない

***************************************

たくさん採集して見慣れないと判りにくい検索ではある。

以下その他の画像。

腹面

クルメキモンハバチ♀
Pachyprotasis kurumensis

胸部側面

クルメキモンハバチ♀
Pachyprotasis kurumensis

胸部背面

クルメキモンハバチ♀
Pachyprotasis kurumensis

クルメキモンハバチ♀
Pachyprotasis kurumensis

食草はコオニタビラコ、カキドオシ、オドリコソウ。

本州、九州に分布するそうだ。

四国にもいそうだけど、誰も調べてないのかしらん?


おまけ

産卵管を引っ張り出してパチリ

クルメキモンハバチ♀
Pachyprotasis kurumensis

キモンハバチ属の他の種類についてはいくつか過去記事で紹介しているのでリンク置いときます↓

「キモンハバチ」

「コシマキモンハバチ」

「聖母マリアなオニタビラコキモンハバチ」

↑翅脈名称とか書きこんでる記事

「ササベキモンハバチ」


ではまた

2024年4月20日土曜日

イタドリクロハバチ

今週はワタクシ的初見の虫を貼るだけ。

日曜日に伸び始めたイタドリの葉にいたハバチをパチリ。

帰って確認すると、なんとピンボケ画像だった。

イタドリ食のハバチと言えばカラフルな幼虫のハグロハバチが思いつくがそれとは別のスリムで小さいハバチ。

採集したので背面観

イタドリクロハバチ♀
Ametastegia polygoni

ハバチ科のハグロハバチ亜科Allantinaeに属する。

腹面

イタドリクロハバチ♀
Ametastegia polygoni

側面

イタドリクロハバチ♀
Ametastegia polygoni

翅脈はこんな

イタドリクロハバチ♀
Ametastegia polygoni

図鑑のホソババチ属Ametastegiaのところを見ていると、見た目がそっくりなのにスイバハバチAmetastegia suibai というのがいる。

1R1室と1Rs室のあいだにRs脈がある。

無いのがスイバハバチ。

スイバハバチには画像の青丸で囲んが部分の翅脈がないそうだ。

古いハバチ本だと

前翅の肘横脈は3本で閉じた肘室は3個、

という書かれ方がしてあるが、意味は同じ。

スイバハバチの肘横脈は2本。

イタドリクロハバチ♀
Ametastegia polygoni

年複数回発生し、春から秋まで見られるとのこと。

初めてみたと思ったけど、脳が認識してなかっただけかも?

おまけ

産卵管

イタドリクロハバチ♀
Ametastegia polygoni


ではまた

2023年6月3日土曜日

ハチのまねをするハチ2・・・トガリハチガタハバチ

日曜日のお散歩で見かけたハチ。

ホソアシナガバチ的なハチが何かをもむもむ食べていた。

トガリハチガタハバチ ♀
Tenthredo smithii
よく見たらハバチであった。

犠牲者は、翅の残骸から見てプライアシリアゲのよう。

ハバチの仲間は、蛾みたいに卵巣が成熟した状態で羽化するタイプではないので割と肉食性が強く、他の昆虫を捕食している場面を見ることが多い。成虫になってから卵巣を成熟させるのだろう。

タイトルに2を入れたのは、旧ブログでハチガタハバチを紹介済みだから。↓

insectmoth.hatenablog.com

ハチなのにハチガタとはこれ如何に?

2種の区別点は触角全体が褐色なのがハチガタハバチで、触角基部と先端数節が淡黄色になるのがトガリハチガタハバチ。

ハチガタハバチは2・3年に1回見掛けるが、トガリハチガタハバチは初めて見るので確保した。

以下死体画像。

背面

トガリハチガタハバチ ♀
Tenthredo smithii
死体になるとアシナガバチには見えない。

腹面

トガリハチガタハバチ ♀
Tenthredo smithii
頭胸部側面
トガリハチガタハバチ ♀
Tenthredo smithii
矢印の中胸小盾板と、他に中胸前側板側面がピラミッド状に隆起するのが本種の特徴である。

ハチガタハバチは尖らずに丸く隆起する。


トガリハチガタハバチ ♀
Tenthredo smithii
頭盾前縁は凹型にくぼむ。

上唇は丸い。

大顎も「肉食です!」って感じ。


おまけ。鞘から引き出した産卵管

本種の寄主植物は、ヤマホトトギス、ササユリ、ウバユリ、シオデ、サルトリイバラとのこと。

ハチガタハバチはサルトリイバラのほか、シオデ類につくそうだ。

食草が重複してるけど、幼虫で区別可能なのだろうか?


ではまた

2023年4月8日土曜日

聖母マリアなオニタビラコキモンハバチ

日曜日に見つけたハバチ
オニタビラコキモンハバチ♀
Pachyprotasis youngiae

他のキモンハバチ類に比べて黒っぽい種類。
当日カエデの花を掬うとたくさんのクルメキモンハバチがいたが、こちらは地面近くを飛んでいて、お散歩ネットで掬ってフィルムケースに入れるまでヒメバチだと思っていた。
後で調べたらキモンハバチの一種と判った。

日本産ハバチ・キバチ類図鑑より分類形質を抜き書き。
************************************
ハバチ科の特徴
中胸楯板を横断する横溝はない
前脚脛節の距は2本
前翅Sc脈はR脈と融合し、先端の横脈状部分のみ分離する。
触角は棍棒状ではなく糸状で9節からなる(例外あり)


ハバチ亜科の特徴
触角は9節
前翅に2rs-m横脈を持つ
前翅R脈がM脈の交点の前で後方に曲がる。
2A+3A脈は途中で1A脈と融合する

キモンハバチ属の特徴
前翅A室は中央でくくられて二分される
後脚腿節は脛節と同長かより長い。
(昔の検索だと「後脚腿節先端は腹端に届く」などと書いてある。)
複眼内縁はほぼ平行
触角は細長く、触角第3節と4節はほぼ等長

オニタビラコキモンハバチの特徴
後脚基節は黒色で卵形の白紋を持つ
後脚の腿節、脛節、付節は黒色
中胸楯板中葉は黒色
頭盾は黄白色
************************************

オニタビラコキモンハバチは三倍体の産雌性単為生殖種で
オスが存在しないとのこと。

成虫は年1化で春に出現する。
食草はタビラコ、オニタビラコの若い種子とのこと。

腹面
オニタビラコキモンハバチ♀
Pachyprotasis youngiae


側面
オニタビラコキモンハバチ♀
Pachyprotasis youngiae
後脚基節に白紋。
転節付近は黄白色。

オニタビラコキモンハバチ♀
Pachyprotasis youngiae

主要なところに記号を書き込んでみた。
オニタビラコキモンハバチ♀
Pachyprotasis youngiae
以前「反上脈」と言っていたのはM脈の一部だったのか。
赤字は翅室の名称。

後脚
全体に黒い

触角
第1節は触角柄節
第2節は梗節
第3節以降は鞭節

複眼の前面は細く白い
頭盾と上唇は白色

おまけ
産卵管
適当に引っ張り出したら先っちょちぎってしまった。。。
ペケの所。。。


ではまた


2022年7月23日土曜日

おまえ、新記録種だったのか。・・・シリグロマルハバチ

会社にある日本昆虫分類学会の会誌を見ていたら、既視感のあるハバチが。

春に採ってイハバチに似てるけど違うなぁ、と放置していたマルハバチ亜科の1種に該当することが判った。

文献は今年発行されたこれ↓

「A New Record of Halidamia affinis (Hymenoptera:Tenthredinidae) from Japan」Japanese journal of systematic entomology 28(1):18-22.

採った虫↓

2022年5月22日、神戸市

シリグロマルハバチ Halidamia affinis

吸虫管で吸って他の虫と一緒にしていたから、触角切れたり翅がぼろくなってしまった。。
体長5㎜程の小型種でそこらでよく見る感じのハバチである。
が、採って帰るとよく判らない、、、で終わる種類である。
なので普段はスルーしがち。

上記文献を斜め読みした限りでは、食草はヤエムグラでヨーロッパや北アメリカなどに広域分布する種類のよう。
この文献でシリグロマルハバチと和名新称されている。

なので、ハバチ類の最新の図鑑である「日本産ハバチ・キバチ類図鑑(2020)」には未掲載の種類である。

腹面
シリグロマルハバチ Halidamia affinis

頭胸部側面
シリグロマルハバチ Halidamia affinis

シリグロマルハバチ Halidamia affinis


産卵管とか出して見ていないので確定ではないが体の模様は一致しているのでほぼ間違いないと思う。
文献では関東を中心に新潟、長野で記録されているようだ。
でもヤエムグラが食草なのでどこにでもいそうな種類だと思う。


ではまた