2025年4月26日土曜日

ホシアシブトハバチの卵

日曜日のツイート。
胸がもふもふである。

久々に1眼レフ出してパチリ。
ホシアシブトハバチ
Agenocimbex maculatus
私の場合はスマホで撮っても1眼レフで撮っても見栄えに差がないという。。。。
スマホの性能が上がったということにしておこう。

触角が棍棒状なのでコンボウハバチ科Cimbicidae
ごくまれに産卵中のハバチを見かけるが、葉っぱに産み付けていることが多いが、本種は茎のあたりでウネウネしている。

立ち去るのを待って、産卵場所を確認。
あら、裏返してみたらケンモンミドリキリガ Daseochaeta viridis の幼虫がいた。比較的広食性のいもむしで、複数の科の広葉樹で見かける。
目的は矢印の産卵していた場所。
白っぽくなっている。

拡大
ホシアシブトハバチの卵
Agenocimbex maculatus Egg
薄皮の下に細長い卵が産み付けてあるのを確認。
本種は当年枝の新梢に卵を産み付けるようだ。

幼虫は水玉模様のとぐろいもむし↓
ではまた

2025年4月19日土曜日

黒いハナアブ、改めクロケコヒラタアブ

*******4/26追記とタイトル変更*******
コメントで匿名様よりクロケコヒラタアブでしょう、とご教示いただきました。調べなおしてみると双翅目雑誌「はなあぶ37」にPsilotaケコヒラタアブ属の記事があり、その検索によるとクロケコヒラタアブPsilota nigripilosaのオスの触角第3節の長さは幅の2倍以上になる、との記述があり、交尾器の図も同じに見えました。日本産Psilota属は3種知られており、他の2種のオス触角第3節は2倍以下で個体数も少ないそうです。
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4月6日に見かけた小さなハエ。

ハナアブだった。
とりあえず採集はした。
双翅目の雑誌「はなあぶ」のどこかに、
クロハナアブを制する者はハナアブ界を制する。
みたいなことが書いてあった。
Cheilosia属かな?とか適当に決め打ちして調べてみたけど、ぐるぐる回っているうちに一周回って属すら判らなくなってしまった。。。
模様がないのは苦手である。

英語の検索表をじっくり紐解くと判るかもしれないけど、時間が取れないので以下拡大画像を貼っておしまい。

背面
クロケコヒラタアブ
Psilota nigripilosa
複眼くっ付いてるのでオスですな。

側面
クロケコヒラタアブ
Psilota nigripilosa
意外と毛深い。
体長は約7.5㎜、前翅長は約6㎜。

前翅
クロケコヒラタアブ
Psilota nigripilosa

側面拡大
クロケコヒラタアブ
Psilota nigripilosa
触角第3節が割と長い。触角刺毛は羽毛状ではない。

正面顔
クロケコヒラタアブ
Psilota nigripilosa
複眼も毛だらけ。

小盾板
黒い刺毛と黄色い刺毛が生えてる。

交尾器側面
クロケコヒラタアブ
Psilota nigripilosa

交尾器斜め上から
本種のepandriumは細長く「 〕」鍵カッコ型とのこと。

交尾器腹面


ではまた

2025年4月12日土曜日

0.1mmのガラス細工

当初、ケブカハナカメムシとしていましたが、鶉亀虫氏のご指摘により、ケシハナカメムシが正解でした。以下訂正しておきます。
不思議な模様のガラス細工、
直径は0.12mm。

2月の中旬ごろ、風が強かった週のお散歩で爆ぜなかったフジの莢がいくつか落ちていたので、持ち帰ってタッパーに詰めておいた。
普通は爆ぜて捻じれて落ちているものだが、ダイズサヤムシガ辺りに食害を受けた莢は爆ぜずに落下しており、なにかいるかも?としばらく置いておいた。
ダイズサヤムシガは成虫越冬なので本体はいないだろうが、なにか別のお客さんがいるかもと思ってのこと。

昨年拾った一本のフジの莢からヒラズオオアリやらナミホコリダニ、ムシクイコナダニなど、ブログネタをひねり出せたので、再度の棚ぼたを期待したものである。

4月に入ってちらっと見ると、
ケシハナカメムシ
Cardiastethus pygmaeus Egg
カビてしまった莢の上に真っ赤な卵を見つけた。
大きさは長さ約0.5㎜と小型。
卵の右側は切り取ったように平面になっている。
平面の部分は円形でまるで蓋のようになっている。
矢印の白いのはすでに孵化した卵殻。

冒頭の画像はその蓋の部分である。

このタイプの蓋付き卵はカメムシと相場が決まっているので、莢を割って捜索。

いた。
ケシハナカメムシ
Cardiastethus pygmaeus
卵と同じ色の赤い幼虫。

横から
ケシハナカメムシ
Cardiastethus pygmaeus
よく見たら、卵の蓋をつけたまま歩いていた。

成虫もいたので確保。
ケシハナカメムシ
Cardiastethus pygmaeus
腹面
ケシハナカメムシ
Cardiastethus pygmaeus

ケブカハナカメムシ倒木や立ち枯れの樹皮を捲ると大概いるヤツである。この仲間はカメムシ図鑑では日本産1種となっている。そんな訳ないだろう、と思うが現時点では1種なのでそうしておく。ケシハナカメムシは枯草や朽ち木の樹皮下などに普通にみられる。
2㎜弱の益虫でも害虫でもない虫なんて誰も調べないでしょうし。。
あ、ハナカメムシのくくりで言えば、農作物のアブラムシやアザミウマを捕食するヤツもいるので、天敵として調査されている種類はいる。

さて、卵をじっくり見るのは初めてである。
蓋にこんな模様があるとは知らなんだ。

卵の器の方。
ケシハナカメムシ
Cardiastethus pygmaeus
ぺらっぺら。

蓋の接続部分の拡大。
細い骨組みに薄い膜が張っている。
孵化するときは卵殻破砕器という楔(クサビ)状の器官を使って蓋をこじ開けて出てくる。見たことないけど。

本体の表面には蓋にはない乳頭状の突起がびっしり生えていた。

カビ除けとか防水とかの機能でもあるのかしらん?


ではまた

2025年4月5日土曜日

ヨコジマオオヒラタアブ

3月最後の日曜日のお散歩コースはようやく春の花が咲きだしたものの、虫的にはいまいち。

昼前には曇ってそのうち雨も降りだした。。

なんてこと。

晴れてる間にビロードツリアブ撮れたからマァヨシとしよう。

この日見たちょっと大きめのハナアブ

ヨコジマオオヒラタアブ
Dideoides latus
今日はヒンヤリしているのでおとなしい。

持ち帰ったので拡大。背面

ヨコジマオオヒラタアブ
Dideoides latus
腹面
ヨコジマオオヒラタアブ
Dideoides latus
たいていのヒラタアブは腹部腹面は模様がないのに本種は模様付き。

♂だったので腹端。

ハナアブの交尾器は収納されずに露出しており、「J」の字型に曲げて仕舞っている。なんでか知らんけど。

正面顔

ヨコジマオオヒラタアブ
Dideoides latus
複眼の個眼がモヤっとしか写らないなぁ?とよく見たら個眼間に微毛がびっしり生えていた。

顔斜め

ヨコジマオオヒラタアブ
Dideoides latus
顔と胸部の側面
ヨコジマオオヒラタアブ
Dideoides latus

ではまた


2025年3月29日土曜日

ウスベニスジナミシャクの♀交尾器

春らしくなった日曜日のお散歩で見た、唯一の蛾。

ウスベニスジナミシャク
Esakiopteryx volitans
目の前にヒラヒラ落ちてきた。

ちょっとくたびれた感じの超普通種。

散歩で見た蛾がこれだけとは、当地の虫の減り方が著しい限り。

寂しいので持ち帰った。

旧ブログで紹介済みの種である。

が、交尾器の画像を貼ってないので観察してみた。

解剖してみたら卵が3個ほど残っていたが、ほぼ産卵済みの個体だった。

ちょっとだけ罪の意識がやわらぐ。

交尾器腹面

ウスベニスジナミシャク
Esakiopteryx volitans
female genitalia
cb がコルプス・ブルサエ(corpus bursae):交尾嚢、精子を一時貯蔵する。白く濁っているので交尾済みである。

db がドゥクツス・ブルサエ(ductus bursae):交尾口と交尾嚢の間の管状部。

コルプス・ブルサエとドゥクツス・ブルサエを合わせてブルサ・コプラトリクス(bursa copulatrix)と称する。

交尾器側面

ウスベニスジナミシャク
Esakiopteryx volitans
female genitalia
斜め下から拡大

矢印はドゥクツス・セミナリス(ductus seminalis):受精管、交尾嚢から輸卵管に精子を送る管。受精管や輸卵管などは軟弱で壊れやすく分類形質として扱われないので、除去された図がほとんどである。

交尾嚢の拡大

本種は交尾嚢に硬化したトゲが多数ある。

硬化部はシグナ(signa):単数形はシグヌム(signum)と呼び、形状や数、範囲が異なるため、種の分類に役立つ。なお機能は不明。

用語は、日本の鱗翅類(2011、東海大学出版会)より抜粋。

普通は交尾嚢と呼ばずに受精嚢と呼ぶのが普通のようだが、蛾の場合は受精管と輸卵管の間に嚢状部を持つ者がいてそれを受精嚢と称するようで、交尾嚢の呼び方は他の昆虫類では一般的でないような感じがする。

日本語のややこしいところである。

横文字使った方が間違いがない気がするが、分類群によって形状が異なるので横文字もそれぞれに用語が当てられているため、「一からか、一から覚えんとあかんのか?」とどっかで聞いたようなセリフをいうはめになる。。

おまけ

旧ブログで紹介したのはウスベニスジナミシャクの卵と幼虫↓

insectmoth.hatenablog.com


ではまた

2025年3月22日土曜日

黄砂かと思いきや

生き物ネタとは言い難いですが、

植物掠っているのでマァいいか。

10日ほど前の3月中旬。

通勤電車から見る六甲山とか生駒山が黄色くかすんでいた。

春の風物、黄砂かな?とか思ったけど、念のために帰りに外に止めている車のボンネットにセロテープをペタペタ押し付けて持ち帰った。

のを、思い出して観察。

目盛りは0.5㎜。

見えている粒はスギ花粉ぽい。

キシレン垂らして粘着剤溶かして光学顕微鏡観察。

目盛りは0.01㎜。

キシレンのせいか花粉が萎びて赤血球みたい。


今度はアルコールと面相筆で集めて水で封入。

吸水したのかキレイな球形。

ポッチが1個あるのが、スギ花粉の特徴だったか。

ちょうどな向きがあまりなく、ポッチが見えるのがあまりない。

花粉の直径は0.03㎜前後。

黄砂の大きさは0.004㎜ほどらしい。

悪名高いPM2.5は0.0025㎜(2.5μm)以下。

今ある光学顕微鏡では詳しくは見えないけど、それらしい粒はほとんど見えないので、今回山がかすんで見えたのはスギ花粉が主たる原因だと思う。

その後、水中のスギ花粉は膨張した後破裂した。

目盛りは0.005㎜。

パックマンみたいのが、表皮の殻。

この膨張した中身が乾燥して粉々に散ってアレルゲンになるわけですな。

雨降った後、乾いて風が吹いたら最悪ではなかろうか。


ではまた

2025年3月15日土曜日

ノゲシケブカミバエ

今週は手抜きで簡単に。。。
過去画像から今頃の写真。
ノゲシの花にいたハエ。
2014年3月22日
ノゲシケブカミバエ
Ensina sonchi
体長約3㎜。
拡大
ノゲシケブカミバエ♂
Ensina sonchi

ではまた

2025年3月8日土曜日

キマダラアツバの蛹

テンション低下が著しい今日この頃、、
散歩に行っても腐葉土篩ったりスイーピングもしないで帰ってくる体たらくである。
年取るとヤル気根気元気がなくなってイカン。

ということでブログネタはパソコンのハードディスクからひねり出す。

今週は20年以上前の画像から。
たぶん樹皮捲りで見つけた蛹だと思う。
2004年3月14日撮影
キマダラアツバ蛹
Lophomilia polybapta
10㎜前後の小さな蛹。
糞や木くずを綴り合せた繭の中にいた。

蛹の腹端部
数字は腹節の数。
第7腹節から第10腹節はだいたい癒合している。
矢印は気門で9節と10節にはないから、最終気門のある腹節が第8腹節の目安となる。

腹面に肛門と生殖口の溝が見える。
第10節に肛門があり、第9節に生殖口がある。
蛾の蛹では生殖口の位置が雌雄で異なり、生殖口の位置が第8節にずれこむように開口しているのがメスである。
オスでは第9節の位置に開口しているので、蛹でも雌雄の鑑別は可能である。

繭に残っていた終齢幼虫の顔。

成虫は1か月後の4月13日に羽化した。
キマダラアツバ♀
Lophomilia polybapta
桃色がかった紫褐色のキレイな蛾である。
ホメ過ぎ?
図鑑には「オスの触角は葉片状」とあった。
画像の触角は糸状なので蛹から予想した通りメスである。

ではまた

2025年3月1日土曜日

ユスリカの巣だと思ってたら、、、

ご近所のフユシャクが激減する中、早春のシロテンエダシャクを見かける3月。。

ブログネタがないので昨年見た虫から。

砂防堰堤の滲みだし水が流れるところ、

以前、ウルマーシマトビケラやらニセチビシデムシカスリハリガネムシとかマルヒメツヤドロムシを紹介した場所にあった細長い巣らしきもの。
矢印当たりの流水から少し離れた場所にみられた。

拡大

最長5・6cm程度で非常に脆い。

ユスリカの幼虫がよくこんな巣を作っているので、ネタがない時用に属くらい判れば記事にしようと持ち帰った。

幼虫側面

なんか、、、、

ユスリカっぽくないぞ

背面

ホソクダトビケラ属の一種
Tinodes sp.
背面はカバーグラスで抑えた状態。

胸脚があるので双翅目ですらない。

トビケラ目であった。

鈎爪のある尾脚も一対。

巣が大きい割りに幼虫は5㎜ほどと小さい。

「日本産水生昆虫―科・属・種への検索 (第2版)」をにらみつけてうーんうーんとうなりながらホソクダトビケラ属であろうと結論付けた。

幼虫を10%KOH水溶液に漬けて筋肉溶かして透過処理。

眼が判らなくなった。

あちこちの拡大図

尾脚

ホソクダトビケラ属の一種
Tinodes sp.
鈎爪は単純で基部に歯はない

前胸と前脚

ホソクダトビケラ属の一種
Tinodes sp.
前胸側板の前側板(矢印のあたり)はこんな形。

頭部腹面

下唇腹面の一対の亜基節(矢印)はこんな形。

日本産ホソクダトビケラ属は図鑑の時点で5種知られているが、未記載種が多いとのこと。

素人同定はここまで。


おまけ、雨が降らずに流水が枯れると、下の写真のように水溜まりの縁に集まっていた。

でも、かたくなに水中に入ろうとはしないみたい。

干乾びた巣もあるので、作り替えていってるのかも。




ではまた