アラカシの新芽にキリガ類の卵でもないかと
見ていたらいたシャクトリムシ。
採集時の体長は12・3mmといったところ。
これといった特徴がないが、
いつも見かけるシャクトリムシではないので持ち帰り。
アラカシの硬い葉を齧りながらジワジワ育ち、4月に終齢。
30mmちょっと。気門は白色で、気門輪は黒色。
幼虫頭部。
頭部は丸く、網目状の斑紋がある。
刺毛基部は黒い。
体色は淡黄緑色~淡褐色まで変異があるそうだ。
少なくとも年2化するとのこと。
4月8日に見ると葉間に粗く糸を張って蛹化していた。
つつくとウニウニする。
16日に羽化。
ヤマトエダシャク Peratostega deletaria |
オモシロいのは蛹。
蛹の殻を取り出してみた。
蛹殻背面
腹部第4節と5節の間がくびれている。
蛹殻腹面
蛹殻側面、腹部第4節と5節の間の拡大。
spは気門(spiracle)
第5節の前方が鋸歯状に硬化している。
第4節の後方も硬化しザラザラした感じ。
第5節の鋸歯の前に発達した刺毛がある。
上のがSD刺毛(たぶんSD1)で下のがL刺毛。
L1とL2かな。
たぶんこの刺毛がスイッチになっていて、
刺激を受けるとキュッと縮んで挟むようになっているのだろう。
アリンコなんかには有効な防御機構である。
食虫植物のハエトリソウみたいですな。
ハエトリソウみたいに食べるわけではないけどね。
おまけ
蛹の脇にあった終齢幼虫の頭部。
眼は6個。
幼虫の眼はしばしば単眼(ocellus)と呼ばれるが、
成虫の単眼とは相同ではないので、正しくは
「個眼(stemma,複数形でstemmata)」と呼ぶ。
祖先形質はトビケラと同じで7個だと考えられているそうで、
モグリコバネガ科では7個あるそうだ。
他の鱗翅目幼虫では基本6個であり、
図のように番号(第1~6個眼)が付けられている。
第5個眼は触角の脇に隠れるように離れてあるので見落としやすい。
おまけ2
蛹のトラバサミ構造は他の昆虫でも見られる。
屋内害虫のヒメカツオブシムシの蛹の動画を
以前撮ったので下に貼っておきます。
累代飼育してるヤツ
ではまた
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