2019年4月20日土曜日

ヤマトエダシャク蛹のトラバサミ構造

今年の2月初め、
アラカシの新芽にキリガ類の卵でもないかと
見ていたらいたシャクトリムシ。
採集時の体長は12・3mmといったところ。
これといった特徴がないが、
いつも見かけるシャクトリムシではないので持ち帰り。

アラカシの硬い葉を齧りながらジワジワ育ち、4月に終齢。
30mmちょっと。気門は白色で、気門輪は黒色。

幼虫頭部。
頭部は丸く、網目状の斑紋がある。
刺毛基部は黒い。

体色は淡黄緑色~淡褐色まで変異があるそうだ。
少なくとも年2化するとのこと。

4月8日に見ると葉間に粗く糸を張って蛹化していた。
つつくとウニウニする。

16日に羽化。
ヤマトエダシャク Peratostega deletaria
幼虫も地味なら成虫も地味。渋いとも言う。

オモシロいのは蛹。
蛹の殻を取り出してみた。
蛹殻背面
腹部第4節と5節の間がくびれている。

蛹殻腹面

蛹殻側面、腹部第4節と5節の間の拡大。
spは気門(spiracle)
第5節の前方が鋸歯状に硬化している。
第4節の後方も硬化しザラザラした感じ。
第5節の鋸歯の前に発達した刺毛がある。
上のがSD刺毛(たぶんSD1)で下のがL刺毛。
L1とL2かな。
たぶんこの刺毛がスイッチになっていて、
刺激を受けるとキュッと縮んで挟むようになっているのだろう。
アリンコなんかには有効な防御機構である。

食虫植物のハエトリソウみたいですな。
ハエトリソウみたいに食べるわけではないけどね。

おまけ
蛹の脇にあった終齢幼虫の頭部。
眼は6個。
幼虫の眼はしばしば単眼(ocellus)と呼ばれるが、
成虫の単眼とは相同ではないので、正しくは
「個眼(stemma,複数形でstemmata)」と呼ぶ。
祖先形質はトビケラと同じで7個だと考えられているそうで、
モグリコバネガ科では7個あるそうだ。
他の鱗翅目幼虫では基本6個であり、
図のように番号(第1~6個眼)が付けられている。
第5個眼は触角の脇に隠れるように離れてあるので見落としやすい。

おまけ2
蛹のトラバサミ構造は他の昆虫でも見られる。
屋内害虫のヒメカツオブシムシの蛹の動画を
以前撮ったので下に貼っておきます。

累代飼育してるヤツ

ではまた

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