粉のような木くずが溜まっている。
幹を見ると2㎜ほどの穴があちこちに開いている。
こういう木くずは「フラス frass」と呼ばれる。
ここらでは昨年あたりから見掛けるようになった。
一般に「ナラ枯れ」と呼ばれる現象で、何年も前から各地で問題となっている。
判っているけど一応犯人を特定するために
虫よけスプレーを穴にチュッと吹き込んでしばし待つ。
出てきた犯人はこんな虫。
カシノナガキクイムシ Platypus quercivorus ♂ |
同腹面
カシノナガキクイムシ Platypus quercivorus ♂ |
今の分類ではゾウムシ科 Curculionidae の ナガキクイムシ亜科 Platypodinae に属する。
本種は養菌性キクイムシと呼ばれる。
通常のキクイムシは衰弱木や枯死木を加害するのに対し、養菌性の種は健全木に穴を開け菌を運び込んで繁殖させて食害する。
菌で栄養価を高めているせいかどうか腹部が小さい。
本種が運ぶ菌は「ブナ科樹木萎凋病菌 Raffaelea quercivora」 で、この菌が繁殖すると
導管が詰まるそうで、葉が枯れてしまう。
夏の緑の山に茶色くなった葉をつけたままの枯れ木が目立つことになる。
ところで、本種の♀の前胸にはこんな穴があいている。
穴の数や位置は個体変異があるが、これで菌の繁殖した木くずを運んでいるのだろう。
コショウ瓶みたいですな。
問題ではあるが、被害に遭うのは老齢木なので、多少遷移が早く進むだけではないかと個人的には思う。
ではまた
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