天気も良く、キチョウ・テングチョウ・ルリタテハなどの成虫越冬組の蝶が飛んでいた。
てくてく歩いていると、、
キムネクマバチ Xylocopa appendiculata circumvolans |
越冬明けでふらふら飛んでいるところを叩き潰されたのであろうか?
ナムナム・・・
とか言いつつ、なんとなく持ち帰る。
さて翌日、拡大して見るとなんかついてる。
翅の付け根に多く、(((もぞもぞ)))動いてる。
これ以前ツツハナバチで見た便乗ダニの仲間だな?とピンとくる。
旧ブログで記事にしている。↓
「ツツハナバチの便乗ダニ」
クマバチにも近縁種のコナダニ類が便乗しているらしい。
こういった花蜂の仲間にはダニが隠れる部屋のような窪みがある。
それを「Acarinarium(アカリナリウム)」とよび、日本語では「ダニポケット」とか、「ダニ室」などと称される。
クマバチには翅の後ろの胸部側面と腹部第1節にあるらしい。
腹部を見てみる。
何か溝のような感じ。
そこを拡大。
キムネクマバチの Metasomal acarinarium |
詰まっているのは周囲のものよりひと回り小さく見える。
腹部のダニ室は「Metasomal acarinarium 」と呼び、胸部のダニ室は
「Mesosomal acarinarium」と呼称する。
論文を検索すると、クマバチには
クマバチコナダニ Sennertia alfkeni
コガタノクマバチコナダニ Sennertia japonica
ヒメクマバチカザリコナダニ Horstia helenae
上記3種の便乗ダニが確認されており、ヒメクマバチカザリコナダニは非常に少なく、クマバチ上で見られるのはほとんど上の2種で占められるそうである。
と、調べていたのだが、クマバチコナダニ属 Sennertia 2種のことが大きさ以外どうにも要領を得ない。
調べていくと、この2種は同種内の形態的2型であることが判り、コガタノクマバチコナダニはシノニムで消えたようだ。
割りと近年判明したことで元論文は読めないが、以下のサイトの
の中で↓の記事にそのようなことが書かれていた。
ということでクマバチコナダニなのであるが、クマバチにくっ付いている状態は「ヒポプス(hypopus)」と呼ばれる第2若虫の状態で、口が退化し爪と吸盤が発達した特殊な世代である。上の方で「寄生」と書かず「便乗」と書いているのはそういうことである。
クマバチが営巣を始めて花粉を集めだすとそれに移って食べ、幼虫が育って糞をするとまたそれを食べて増えるらしい。
ほとんど共生というより居候である。
まあ、コナダニ類なんだからカビ類も食べると思うから、多少は巣内のカビ止めの役割くらいにはなっているのかも。
以下顕微鏡写真
クマバチコナダニ Sennertia alfkeni 大型個体 |
頭の方の口器は退化して小さく目立たない。
第4脚には爪が無く長い剛毛が生えているが、何のためかは私は判らない。
ヒゼンダニとか寄生性のダニ類にも見られる形態だけど何のためだろか?
爪の拡大
大きい爪と付け根に小さい爪もあって挟む構造になっているよう。
爪の方向を変えてみると、
大きい爪は螺旋を描いて巻きつくようにしがみついているようだ。
落ちたら最後なのだから爪の構造も進化してるようだ。
背面のキチン板の拡大
指紋みたいな模様。室内塵にいるチリダニ類にもこんな模様がある。
おしり
肛吸盤(anal sucker) |
絶対に離れないよ! という意思が感じられる。
acarinarium に潜む小型個体の方。
クマバチコナダニ Sennertia alfkeni 小型個体 |
一時期コガタノクマバチコナダニ Sennertia japonica とされてシノニムで消えたやつ。
1目盛りが0.01mmだから体長は約0.22mm。
爪はより小型。ダニ室に隠れているのでしがみつく必要が大型個体より少ないせいか。
大型個体の体長は
だいたい0.32mm。
体長と爪以外、体形はほぼ同じである。
ではまた
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