2018年3月3日土曜日

渋くて小さいミギワバエ Rhynchopsilopa sp.

2月最後の日曜日、湿った谷筋の藪をペシパシしながら
お散歩ネットを振り回していたら小さなハエが入った。
肉眼では小さなアシナガバエにみえる。
が、色あいは緑でなく赤紫っぽい光沢。
「???」を頭の上にのせながら吸虫管で回収。
勢い付き過ぎて衝突死してしまった。。。

後日検鏡したらミギワバエの1種でした。
側面
ミギワバエの1種 Rhynchopsilopa sp.
ちょっと状態悪し
全体に光沢があるが頭部胸部は藍色光沢、
腹部は赤紫の金属光沢がある。
ナカナカにキレイ。

前翅拡大
付け根の小翅片が取れてしまったので書き込んでいる。
C脈の終点は弱くなるので判りにくいが、M脈まで伸びている感じ(青矢印)。

ミギワバエ科の特徴は、、、
前縁脈(C)に2か所の切れ込みがある(図の楔矢印のとこ)
亜前縁脈(Sc)が不完全
第2基室と中室は癒合する
CuA室や臀脈は不完全
触角刺毛は羽毛状(ただし刺毛上部)
後脚第1付節は短くならない
などなど。

Rhynchopsilopa属としたのは以下の本より。
環境アセスメント動物調査手法19にある
「日本産ミギワバエ科の属の絵解き検索」から抜粋
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前脚は捕獲脚に変形せず通常
顔面中央に毛を装わない
横線前の背中刺毛(dc)を欠く
触角刺毛は上面のみ羽毛状
前縁脈(C)は径脈(R4+5)を越え中脈(M)に達する
頬の後縁は角張ることはなく丸い
背側板の背側刺毛(npl; notopleural seta)は2本
後方のnplはより背方に生じることはなく同じ高さに生じる
単眼刺毛は前単眼の後方にある
触角第3節は極めて長い
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上記を踏まえた画像いろいろ
顔面中央は無毛、単眼刺毛は前単眼(白っぽい点粒)より後方に生えるの図。
藍色の金属光沢が少しわかる。

矢印は頬の後縁(丸い)、触角第3節は長く、触角刺毛は上面のみ羽毛状の図

ミギワバエの1種 Rhynchopsilopa sp.
背側板の背側刺毛(npl)の位置関係を示す

Rhynchopsilopa属はネット上では「一寸のハエにも五分の大和魂・改」という掲示板で以下のスレッドで出てきたくらいと思う。↓
「ミギワバエ質問 2009/05/24」

「日本昆虫目録第8巻 双翅目」を見てみたら属そのものが書いてなかった。
どうやら属の存在は知られているが種までの検討はなされていない、ということらしい。
マイナー分類群あるあるである。

ではまた

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