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2024年3月9日土曜日

住み込み寄生とガチ寄生

先週の記事に出したクヌギエダイガタマフシの続き。

空き家に間借りしているアリンコより実害のありそうな虫。
虫コブを割ってみると、矢印の本体の繭とは別に周縁部に小さないもむしが見られた(黄色円内)。

チビいもむしの拡大
頭部の透過光観察
脚は無いが露出した頭部があり、大顎があるから双翅目ではない。
大顎以外の触角や下唇鬚は確認できないので鞘翅目ではない。
消去法で膜翅目の幼虫であろう。

で、ネットをあさると
「TAMABACHI JOHO-KAN」というサイトに、タマバチの中には「住み込み寄生」する種類がいるとある。
要は他のタマバチが作った虫コブに後から産卵して育つ種類がいるそうである。
こういう生活様式のタマバチはほとんど「イソウロウタマバチ族Synergini」に属する種類だそうで、画像のチビいもむしはたぶんこれ。

上記サイトによると、イソウロウタマバチは寄主のタマバチと置き換わってしまう種類が多いそうである。それと比べるとこのイソウロウタマバチは余っている端っこを食べているだけなので、つつましい種類だと思う。

成虫とおぼしきものは、ハンマーさんが昔撮影されている。↓
これによると、8月に産卵していることから慌てて成虫になる必要はなく、クヌギエダイガタマフシができた頃に出てくればいい訳で、のんびりしたものである。

ずるい生き方ではあるがクヌギエダイガタマバチと一蓮托生な訳で、危うい生き方でもある。

おまけ
ほとんどのクヌギエダイガタマバチの繭は羽化した後だったが一部蓋が開いてない繭があったので暴いてみた。
もう冬芽に産卵しなくてはならないのに今幼虫だったら間に合わない。
ということは、寄生蜂のヒメバチ科あたりじゃないかと思っている。

ではまた。

2024年3月2日土曜日

空き家で冬ごもり

ずいぶん前から視界には入っていたもの。

クヌギエダイガタマバチの虫コブである。

本種は秋から早春にかけて羽化するそうで、既に脱出口が見られるので空き家であろう。

このとき羽化するのは単性世代の♀で冬芽に産卵し、雄花にクヌギハナコツヤタマフシという虫コブを作って両性世代の成虫が羽化するそうな。

それはさておき空き家だし、何かの話のタネになるかと持ち帰って中を見た。

割ってみると羽化後のタマバチの繭がある。

次、

なんかいた。

背面

ヒラフシアリ 女王
Technomyrmex gibbosus
翅がついていた痕跡があるので女王アリである。

側面

ヒラフシアリ 女王
Technomyrmex gibbosus
体長は約3.5mm。

腹柄は細く、腹部が覆い被さっている。

本種は枯れ枝や枯れ竹に営巣する樹上性の種類だそう。

秋に結婚飛行をする種類なので、各々単独で冬越しして春になってから子育てに入るのかも知れない。

かなり以前にツバキシギゾウムシが出て行ったあとのヤブツバキの実にシリアゲアリ属の女王がいたことがある。ハリブトかテラニシ辺りだったと思うが、これも同じように春になってから繁殖に入るのかも知れない。


ではまた