今年の1月の記事、
1個体の前蛹が春になっても夏を過ぎても変化がなく、死んでる様子もなかったのが、11月に入ってふと見ると蛹化していた。
色づいているので蛹化したのは10月下旬だろうか。幼虫を採集したのが昨年12月なので、ほぼ1年ぶりの変化である。
11月4日に羽化。
以前の記事で候補に挙げたうち、この色合いはキイロハバチかルイスカマルハバチの2種である。
羽化した個体の触角は頭幅の約1.3倍程度なので、触角が頭幅の2倍以上あるルイスアカマルハバチNesotomostethus clemati は除外。残ったのは、キイロハバチ Monophadnus nigriceps であるが、配色が微妙に異なる。で、
「日本産ハバチ・キバチ類図鑑 (北海道大学出版会、2020)」を見ると、図はなかったが、和名のない Monophadnus nigritarsis という種がいて、検索表でこの種に落ち着いた。
この種については「A New Species of the Genus Monophadnus HARTIG (Hymenoptera, Tenthredinidae) from Japan」で詳しく報告されており、国立国会図書館デジタルコレクションで読むことが出来る。(上記タイトルにリンク貼ってるので、クリックすると該当ページに行けます。)
羽化した個体の背面
キイロハバチ属の1種 ♀ Monophadnus nigritarsis |
キイロハバチ属の1種 ♀ Monophadnus nigritarsis |
キイロハバチ属の1種 ♀ Monophadnus nigritarsis |
翅
キイロハバチ属の1種 ♀ Monophadnus nigritarsis |
顔
キイロハバチ属の1種 ♀ Monophadnus nigritarsis |
胸部拡大
キイロハバチ属の1種 ♀ Monophadnus nigritarsis |
後脚の爪
キイロハバチ属の1種 ♀ Monophadnus nigritarsis |
図鑑の検索キーは
後脚の脛節と第1跗節の基半は橙黄色、爪は小さな内歯を持つ・・・・・・・・・・・
キイロハバチ M.nigriceps
後脚の脛節先端と跗節は黒色、爪は大きな内歯を持つ・・・・・・・・・・・
おまけ
産卵管
比較用に以前採ったキイロハバチの画像を貼っておきます。
背面
キイロハバチ♀ Monophadnus nigriceps |
胸部後半の黒斑は弱い。
側面
キイロハバチ♀ Monophadnus nigriceps |
腹面の黒斑は比較すると強く出る。
ちなみにルイスアカマルハバチ Nesotomostethus clemati では腹面は全体橙黄色である。
顔
キイロハバチ♀ Monophadnus nigriceps |
区別点の後脚の爪
キイロハバチ♀ Monophadnus nigriceps |
比べると内歯は小さい(切れ込みは浅い)。
ちなみにキイロハバチは春から秋まで見られるので多化性と考えられているが、M.nigritarsisは今回1例の飼育記録によると年1回秋に発生する種類だと思われる。
ではまた
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