2023年1月14日土曜日

ちょっと綺麗なウスマルヒメバチの一種、でもちっさい

虫の少ない季節なので、谷筋の藪をペシペシしながら歩いていたら見つけたヒメバチ。

ウスマルヒメバチの1種 Tossinola sp.?
赤や黄色の模様があって綺麗だけど体長5mmとちいさい。。

側面拡大

ウスマルヒメバチの1種 Tossinola sp.?
矢印は後体節第1節の気門の位置。かなり前方。

いつもは「Information station of Parasitoid wasps」のサイトで検索するのだけど、最近、神奈川県立生命の星・地球博物館のホームページに

「日本産ヒメバチ上科(膜翅目)の属への検索表」が発表されたのでそちらを参考にして検索してみた。

敵がちいさいし、ヒメバチ自体あまり数を見ていないので怪しいところがあるのだけれど、Tossinola属辺りではなかろうかと思う。

必要な検索キーを抜き書きすると以下の通り。

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ウスマルヒメバチ亜科 Banchinaeの特徴

触角鞭節は13節以上ある

前翅の鏡胞は菱形ではない

後体節第1節の気門は中央より前方に存在する

中脚脛節棘は2本

頭盾と顔面は多少とも溝で分割される

大顎は2歯をもつ

側方から見て後脚基節と後体節挿入孔の間は離れない

亜生殖版は腹端を超えることはない

前胸背板肩部に刺状の突起はない

後体節第2~5背板に三角形の溝に囲まれたエリアはない

中胸楯板に横皺をもたない

後翅に翅脈 discoidellaをもつ

頬上部にやすり状の歯を欠く

産卵管は先端に向けて細くならない

後体節第1節の気門は中央付近にはない

前脚脛節の背面先端に突起はない

亜生殖板の先端中央に切れ込みがある

前翅の2m-cu の透明域は1ヶ所

眼下溝を欠く

産卵管の先端背面に切れ込みをもち、下弁先端の鋸歯状の歯は存在しないか目立たない


Atrophini族の特徴

後体節背板に「八」の字型の溝はなく単純

後翅のNervellusは中央より下で折れる

後体節は上下に平圧される


Tossinola属の特徴

後体節第1節の気門は中央より前方にある

後頭隆起線の背方部は部分的に欠く

後頭隆起線の腹方終点は大顎基部から多少とも離れる

体は赤色や黄色部を伴う

前翅の鏡胞を欠く

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前翅の鏡胞は消えかかっている脈があるので、欠くと見たらTossinola属になるのだけれど、あると見たら Lissonota属の方になる。

むむむ 難しいぃ

日本産のTossinola属はリストを見ると、既知種はハレギウスマルヒメバチTossinola ryukyuensis 1種のみで、画像を見ると明らかに別種なので悩みどころ。

ウスマルヒメバチ亜科は確実と思うけど、Atrophini族はたぶん合ってるんじゃないかなぁ程度の気持ち。。

各部の拡大画像を貼って今週はおしまい。

胸部背面

ウスマルヒメバチの1種 Tossinola sp.?
前胸肩部にトゲはない。


後頭隆起線

ウスマルヒメバチの1種 Tossinola sp.?
後頭隆起線の背方は消失し、終点は大顎基部から離れて見える。

腹部背面

腹端腹面
亜生殖板の先端中央に切れ込みがあるの図

産卵管

先端背面に切れ込みがあるの図

ウスマルヒメバチの1種 Tossinola sp.?
後翅の翅脈discoidellaがかろうじてある。

Nervellusdiscoidellaの位置で曲がってる。

前翅の矢印は鏡胞の位置。外側の翅脈を有ると見るか無しと見るかで、検索の進む場所がかわるのが困ったところ。

ウスマルヒメバチの1種 Tossinola sp.?
大顎は2歯

顔、斜めから。

矢印は頭盾のライン

頭盾はツートンカラーに見える。


ではまた

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