2019年2月9日土曜日

ハエの繭・・・ヒラタキノコバエの1種

最近のネタがないので去年の画像フォルダから。

昨年の記事「ナガマドキノコバエの1種」で出てきたエノキの立ち枯れにいた別の幼虫。
キノコ表面に粘液を貼り渡してその膜の上を、うにっくうにっく。
2018年10月7日
ヒラタキノコバエ属 Keroplatus sp. の幼虫
ナガマドキノコバエを採った同じ立ち枯れで翌月の10月に終齢を採集した。
3日後、
粘液を使ったのであろう、オブラート製みたいな繭を作った。
繭を作るのは双翅目では珍しい。
ワタシ的には他にはヒラタアシバエくらい。

繭から5日後、早くも羽化。
ヒラタキノコバエ属の1種 Keroplatus sp. 
背面
ヒラタキノコバエ属の1種 Keroplatus sp. 
体長は10mm前後。背中にV字模様。


本属の特徴は平たく幅広い触角が特徴である。

日本にはミツボシヒラタキノコバエ Keroplatus nipponicus
メスグロヒラタキノコバエ Keroplatus testaceus のほか
未記載種が2種以上いるらしい。
以前採ったミツボシヒラタキノコバエと思しき個体と比べると
腹部の黄帯が狭いので未記載種のような気がする。
時期的なもので同種かもしれない。♂が出ていないので判らない。

さて、本種はツノキノコバエ科 Keroplatidae に属する。
ツノキノコバエ科といえば、ニュージーランドのヒカリキノコバエが
同じツノキノコバエ科である。
洞窟に住むヒカリキノコバエの幼虫も粘液で巣を作るが、
その巣は発光して他の昆虫をおびき寄せて食べるらしい。
***************************
巣じゃなくて尾端が光るとの事です。
くずはの家の高橋所長よりご教示戴きました。
詳しくはコメント欄参照。
***************************

日本のもひょっとして?と何年か前に見たときに巣を持ち帰って
真夜中に見てみたが、光ってはいなかった。
こっちはキノコを食べるから光る必要ないか、、、と
それで終わっていたけれど、

今回、紫外線を当てたらどうなのか?をやってみた。
繭のかけらを取り出して、、、

可視光の出ないブラックライトを当ててみる。。
むむ、、トテモ微妙。。
写真では設定をいじってるのでよく光ってるように見えるけど、
普通に白い紙のほうがよく反射しているくらいである。

ここ数年紫外線を反射する生き物が話題になったりするのでやってみたけど、
なかなかオモシロい発見はころがってませんな。
***********************************
2019年2月12日追記
コメントに「ハナアブの世界」の市毛様より情報を戴きました。
なんと66年も前に本属の幼虫の発光現象が報告されておりました。
「キノコバエ幼虫の発光」(←リンク先は国立国会図書館デジタルコレクション)
定年近い私が生まれる前の観察例とかビックリです。
検索すると他にも2017年に神奈川でも観察されていた。
県内初 発光生物を発見 くずはの家にキノコバエの仲間
(ニュースサイトなのでこちらは消えるかも。)
私が見たときは光ってるようには見えなかったけども、、、
種類が違うのかキノコが違うとか何か条件が必要なのか。
このグループは幼虫でも判りやすいので今後も注視していきたい。
***********************************
***********************************

2019年3月16日追記
コメント欄にくずはの家の高橋所長様より直々の情報を戴きました。
2017ミドリ107号「光るミミズって見たことある?」その3」に
ニュースより詳しく書いてありました。
詳しくはコメント欄参照のこと。
***********************************
ではまた

4 件のコメント:

  1. 茨城@市毛2019年2月12日 9:18

    発光生物学の大場氏の話では,メスグロキノコバエとニッポンヒラタキノコバエが光るそうです.下記のような論文も出ているとのことです.

    K. Kato (1953) On the LUminous Fungus Gnats in Japan. Sci Rept. Saitama Univ B, 1: 1952-1954.
    加藤光次郎(1953)キノコバエ幼虫の発光.日本動物学会第23回大会講演要旨.P85.

    返信削除
    返信
    1. 市毛様、情報ありがとうございます。
      国会図書館デジタルコレクションで拾うことができました。
      なんと66年も前に観察例があったとは。。。
      観察できなかったのは何か条件が足りなかったのか。
      今年以降も注視しようと思います。

      削除
  2. 高橋@くずはの家2019年3月15日 3:41

    2019年2月12日追記の中にある「県内初 発光生物を発見 くずはの家にキノコバエの仲間」を発見した、神奈川県秦野市の自然観察施設・くずはの家の高橋です。
    かながわトラストみどり財団の機関誌「ミドリ」の記事にもう少し詳しく発見の経緯を書きました。http://ktm.or.jp/contents/kaiin/kaiho/midori/29/107-6nt.html
    また、月刊「むし」2018年1月号にも同様の報告をしてあります。

    私の見つけた光るキノコバエの幼虫は、形は全く同じですが、もう少し白っぽく体節の黒斑ももう少し大きく見えました。
    いずれにしても非常に微弱な発光ですので、肉眼で見てすぐに発光が分かる訳ではありません。野外ではISO6400に設定したカメラで120秒の露出で発光が確認できるくらいの光です。
    ですから、ブログの幼虫も長時間露光をしていれば発光が確認できたのではないでしょうか?
    もう一つ、本文内にニュージーランドのヒカリキノコバエについて「…その巣は発光して…」とありますが、巣は発光しません。幼虫の尾端が発光するだけです。
    「いもむしうんち」のブログはいろいろと参考にしています。今後ともよろしくお願いします。

    返信削除
    返信
    1. 高橋@くずはの家 様、ご教授ありがとうございます。
      なるほど、真っ暗な中で目が慣れないと見えてこない、ということでしたか。
      谷筋の倒木でたまに見かけるので、今年挑戦してみようと思います。
      ありがとうございました。

      削除