2019年6月8日土曜日

和名がついてた・・・マルマダラヒロクチバエ

日曜日のお散歩、、、曇り時々雨。。。
谷筋を歩いていたら昨年の台風で倒れたエノキにいたハエ。
腹部の黄色が目立つ。
あとで判ったことだが節間膜から体内の色が透けて見えるからだった。

こっち向いた
口が大きい。湿った樹皮をぺとぺと舐めていた。
同じ樹皮で冬から春にかけてルリテントウダマシの幼虫が白い膜状のキノコを食べていたので菌類を舐めてるのかもしれない。
倒木なので樹液は出ないし。

さて、以前ネットで見たヒロクチバエ科の1種と思われる。

ヒロクチバエ科 Platystomatidae の特徴を図鑑の検索表から抜き書き。
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翅下瘤も鬚剛毛も発達しない
口吻は太く短く、頭長より短い
単眼を持つ
複眼は眼柄から生じない
触角刺毛はよく発達する
後脚付節の第1付小節は球形に肥大せず、第2付小節より長い
翅のSc脈は先端近くが直角に屈曲せず、全長を通じてR1脈とは独立して前縁に達する
体肢共に常形で著しく細長くない
触角梗節の先端側縁は第3触角節に向かって張り出さない
翅の前縁脈はいかなる切目も持たない
胸部後気門の下縁に細い剛毛を欠く
額嚢溝はM字型にならない;後腿節は通常著しく肥大しない
全脛節は背面に亜末端剛毛を欠く
翅のR1脈背面に小刺毛を生じる
cua室の先端は鋭角に尖らない;
R1脈の背面には肩横脈から先端まで小刺毛を生じる;
後単眼剛毛を欠くか著しく弱く発達する;
下前側板刺毛を欠く;
R4+5脈の背面にしばしば小刺毛を生じる
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採集して特徴を見るとヒロクチバエ科で間違いなさそうだ。

さてこのハエは何者?と言う時に頼りになるのがネットの掲示板、
「一寸のハエにも五分の大和魂・改 - 双翅目談話会」の過去ログ。

ヒロクチバエ科質問のスレッド 

これに同種と思われるハエが出ていた。
Pterogenia 属の1種らしい。

この属の特徴は掲示板によると、
「顔が幅広く触角間の隆起を欠くことや,翅のbm室がbcu室より明らかに長くなること,頬が複眼長の0.5倍程度などが区別点のようです」
だそうだ。

その掲示板の種は、同じと思われる種の写真が、「寄せ蛾記(115):1-9 (草間・玉木)2004年5~6月に採集された新潟県と長野県の双翅類」に載っているとのこと。
その報文中では、ヒロクチバエ科のGen.sp.2 とされていて、日本未記録か未記載種 とされているそうだ。
掲示板の書き込みは2007年なので少しずつ解明している感じ?

この属名を「日本昆虫目録第8巻:双翅目(日本昆虫学会,2014)」
で引くと、和名新称されていた。

マルマダラヒロクチバエ Pterogenia sp.  とのこと

でも学名は決定していなかった。
むぅ。
ま、和名があると身近な感じがするので良しとする。

採集したので拡大。
マルマダラヒロクチバエ Pterogenia sp.

マルマダラヒロクチバエ Pterogenia sp.
前翅長は6.5mmくらい。

顔!
小顎鬚は葉片状で先端がちょびっと尖っている。
乾燥すると複眼の模様は見えなくなる。
残念。。

旧ブログの方には別属のヒロクチバエを紹介してます。
「ヒロクチバエ科の1種あらため、キマダラヒロクチバエの1種」
こちらは和名なしの Neohemigaster 属の1種。
↑は目録にも載っていない。
2016年6月26日追記
コメントで市毛先生よりキマダラヒロクチバエで和名新称したことを
教えていただきました。
報文はこちら↓
「市毛勝義, 2016. 日本産ヒロクチバエ科への追加種について. はなあぶ (42):5-7.」

ではまた

2 件のコメント:

  1. 茨城@市毛2019年6月10日 11:28

    和名なしの Neohemigaster 属の1種は,下記のような表記にしました.

    Neohemigaster sp. 1, Kusama et Tamaki, 2004 (near N. rectivena)
    キマダラヒロクチバエ

    参考文献)市毛勝義, 2016. 日本産ヒロクチバエ科への追加種について. はなあぶ (42):5-7.

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    1. 市毛様、ご教示ありがとうございます。
      会社に置いてあるはなあぶを今確認しました。
      一通り目は通しているはずなのですが、、、
      記憶力が虫以下になりつつある最近です。

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