今年は雨が多かったので、砂防堰堤の上から水が流れている。
なんかいるかも?と眺めていると変なものがあった。水がシャバシャバ流れているところにポツポツとポケット状の何か。トビケラの巣じゃないか?と持ち帰る。
予想通り、トビケラの幼虫がいた。
ポケット状のはトビケラの捕獲網であった。
その幼虫。
ウルマーシマトビケラ Hydropsyche orientalis |
長らく積ん読本だった「日本産水生昆虫第二版」を引っ張り出してつらつら眺めて、ウルマーシマトビケラらしいと結論付けた。
以下、抜き書き
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毛翅目 Trichoptera シマトビケラ科 Hydropsychidaeの特徴
中胸と後胸は1対枚の背板で広く被われる。
2021年10月17日追記*************************
図鑑の検索表では1枚はムネカクトビケラ科、1対はシマトビケラ科に分かれるように書いてあったが、水昆屋さんの海月@_sea_moon_さんにツイッターでご教示いただいたのだが、シマトビケラ科の背板も1枚とのことである。
タイトルに?をつけていたけれど、ウルマーで合っていると思います。と言っていただいたので?は取りました。
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腹部には枝分かれした気管鰓がある
咽頭板は小さいか欠如し、両側の頬板は少なくとも一部は接する。
2021年10月23日追記*************************
上の記述は旧版の検索表で、第二版の検索表は以下の通り判りやすくなっていました。
幼虫の体型は左右対称
中胸と後胸の背板は1枚の硬板で広く覆われる
腹部腹面に枝分かれした気管鰓がある
尾脚の先端に長毛の束がある
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ウルマーシマトビケラ Hydropsyche orientalis 幼虫の特徴
後方咽頭板は小さいか欠如。
前胸腹板後方に1対の明瞭なキチン板がある。
前胸の小転節突起は二叉する。
終齢幼虫の頭幅は1.2mm前後。腹部の剛毛の立毛は先端が太くならず同じ太さ。
頭楯板の前方部は平坦
頭部背面には格子状の斑紋はない
頭部の地色は褐色。側面の淡色部は後頭部まで伸びないか、あるいは幅が狭くなる。
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背面
どう見てもシマトビケラ科なのに背板が1対になっていない。。頭幅も0.9㎜しかないので終齢幼虫ではないのかもしれない。
苛性カリ水溶液で炊いて透過処理してみる。
頭部背面
胸部
円内が前胸の小転節突起。
矢印が前胸腹板後方にある1対の明瞭なキチン板だと思う。
尾肢
絶対に流されないぞ、という強い意志を感じさせる爪。おまけ
捕獲網
ウルマーシマトビケラ Hydropsyche orientalis の捕獲網 |
流れる水の中、規則正しい網を貼るとかすごい不思議。
水中ですぐ固まる糸を吐けるというのがすでに不思議。
賢い人も同じみたいで不思議どまりの私と違って、トビケラシルクとして再生医療に使えるんじゃね?と研究されているようだ。
そういえば、フジツボが水中の岩に固着するときに出す接着物質で濡れていても瞬時にくっつく絆創膏?を開発したとか、ネットのまた聞き(また読み)で見た気がする。
ではまた
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