2021年10月23日土曜日

ニセウスグロイガの♂交尾器

お散歩コースではろくなネタがないので、

この間、自宅の玄関にいた小蛾が割りと思いがけない子だったので貼っておきます。

2021年10月14日、神戸市
ニセウスグロイガ Niditinea piercella
翅を広げるとこんな感じ。
ニセウスグロイガ Niditinea piercella

普段よく見かけるのはウスグロイガの方である。

2018年8月大阪府
ウスグロイガ Niditinea tugurialis
翅の模様は全く同じと言って良い。


同属にクロスジイガ Niditinea striolella がいるが未見。

翅の基部に黒い筋があるので他種と見分けがつくらしい。。。


さて、ウスグロイガとニセの区別は交尾器で区別するしかないようだ。

今回のはオスだったので、透化処理。

で、側面図。

ニセウスグロイガ Niditinea piercella
交尾器
*****************************************************

図中用語の解説

tegumen:テグメン、第9腹節背板

vinculum:ビンクルム、第9腹節腹板

uncus:ウンクス、第10腹節背板

gnathos:グナトス、第10腹節腹板

socius(複数形はsocii):ソキウス

saccus:サックス、ビンクルムの陥入突起

valva:バルバ(把握器)

phallus:ファルス(挿入器)

*****************************************************

画像のウンクスはピンセットで摘まんだときに折ってしまったようで先端が欠けている。

ウスグロイガでは全体に同じような色だが、

ニセウスグロイガではウンクスとソキウスの硬化が強く黒く見えること。

この特徴はわざわざプレパラートにしなくても腹端から実体顕微鏡で見ると、ニセウスグロイガではウンクスが黒く見えるので簡易に同定可能である。

というのを今回初めて知った。

後方から見るとV字型のグナトスも硬化が強い。

ニセウスグロイガ Niditinea piercella
交尾器

参考にウスグロイガの交尾器も。
ウスグロイガ Niditinea tugurialis
♂交尾器
ウンクスの硬化は弱く、他と同じ色彩。

ウスグロイガのバルバには内側に突起があるのも区別点。

ファルスの形状にも違いがある。

背面から押さえつけた画像。

ウスグロイガ Niditinea tugurialis
♂交尾器
黄色円内がその突起。

あと、サックスの先端がへら状に拡がるのも特徴。

ニセでは棒状である。

ちなみにクロスジイガではニセのようにウンクスとグナトスが硬化して黒っぽい。

違いはバルバの上縁(コスタ:costa)が中央で盛り上がること。

ニセでは画像のように直線的である。


実はソキウスの形状が手持ちの文献とは微妙に違うような気もするのだが、現状ではニセにしか行かないのでニセウスグロイガとしておく。

カバーガラスの押しつけ具合とかで違って見えるのだろう、ということにしておく。

おまけ

ウスグロイガの♀交尾器

ウスグロイガ Niditinea tugurialis
♀交尾器
ostium bursae:オスチウム・ブルサエ(交尾口)は、漏斗型に硬化して目立つ。

他種では硬化が弱く目立たない。


いちおう図鑑に記載されている3種の分布は以下。

ウスグロイガ N.tugurialis 本州、九州、アジア全域

ニセウスグロイガ N.piercella 九州、ヨーロッパ各地

クロスジイガ N.striolella 北海道、本州、九州、中国、ロシア南東部、トルコ、ヨーロッパ

なんだか四国の分布がないが、地味で同定されていないだけであろう。

「南四国の蛾」 というホームページをみるとウスグロイガが記録されているので、どこかの文献に分布記録があるのかも知れない。

ただ、今までの記録はニセウスグロイガが混じっている可能性があるので精査が必要であろう、と本に書いてあった。

まあ、町中の門灯に止まっているくらいだからどこにでもいそうである。


3種はいずれも毛、羽毛など乾燥した動物質を食す。鳥の巣で見つかることが多い。屋内でもよく見かける。畳の裏でトンネル状の巣を見ることもある。隙間の虫の死骸とかフケ混じりの室内塵でも食べているのだろう。(どの種かは判らないが、、、)

ウスグロイガは肥料の油かすで発生しているのをまるごともらったことがある。


ではまた 

0 件のコメント:

コメントを投稿