今週は標本箱から。
ズグロコブカザリバは普通種ながら長らく未記載種だったのだが、2018年に韓国から新種記載の論文「Two new species of Gisilia Kasy, 1968 (Lepidoptera, Cosmopterigidae) from Korea with first report of piercing oviscapts in Gelechioidea」が出て目出度く学名が決定された。
で、この間「蛾類通信」をまとめ買いしたら、2020年6月発行のNo.294に「日本未記載のChrysopelidaeコブカザリバガ科の2種について」という記事があり、日本産の種も同種で2種とも日本に産し、和名も新称されていた。
ズグロコブカザリバ Gisilia melanobasis
ホソバネコブカザリバ Gisilia tamrae
の2種。当初は Ascalenia属の1種とされていたが、翅脈の違いから Gisilia属なのが判ったそう。コブカザリバガ科Chrysopeleiidaeは以前はカザリバガ科の1亜科だったのが、科に昇格した模様。
さて、報文には交尾器の画像もあったので、過去の採集品をあさってみた。
お散歩でも何回か見ているが、近所ので標本にしたのは1個体だけだった。
ズグロコブカザリバ Gisilia melanobasis ♀ |
他には三田市で採ったもの
ズグロコブカザリバ Gisilia melanobasis ♂ |
時間がとれなくて整形できていないけれど交尾器はこんな感じ。
ズグロコブカザリバのPhallus(矢印)はらせん状で長く先端が尖っている。蛾類通信のホソバネコブカザリバの交尾器画像では長くはなく、valbaバルバの両側に長く骨化した刺があることで区別できるそうだ。
外見ではホソバネコブカザリバの前翅は先細りで色調もズグロゴブより明るいとのこと。
蛾類通信にあった画像を見てみると前翅中央の黒点がホソバネではより前方にあるように見えた。
三田市で採集した個体は林床に束ねられた枯れ枝を叩くとたくさん飛び出してきたので、てっきり枯れ木の樹皮下にでも幼虫がいるのかな?とか思っていたけれど、ネムノキから幼虫が降りてきたと言う話があり、海外の同属他種ではアラビアアカシアから幼虫が見つかっているそうで、どうも生葉食いのようである。
おまけ
ズグロコブカザリバでも結構色調の幅はあるようで、
ズグロコブカザリバ Gisilia melanobasis ♂ |
あと、奄美大島からルリカケスの巣から羽化した未記載種がもう1種いるそうだ。
ズグロコブカザリバとホソバネコブカザリバの分布は2種ともに北海道、本州、四国、韓国なので、そのうちホソバネコブカザリバも採れるかも知れないので採れたら交尾期貼ります。
ではまた
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