2024年4月27日土曜日

クルメキモンハバチ

直近でこれと言ったのがないのでパソコンの画像から。

春によく見かけるハバチで同定だけしてた分。

2024年4月7日採集
クルメキモンハバチ♀
Pachyprotasis kurumensis

キモンハバチの仲間は種類が多くて以前は手出しができなかったのだが、「日本産ハバチ・キバチ類図鑑」を手に入れてからちょっと同定可能になった。

図鑑の検索から本種の特徴を抜き書き

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後脚基節は黄白色

前翅縁紋は黒色~黒褐色

複眼内縁はほぼ直線的

頭部の彫刻は弱く光沢がある

中胸盾板には明瞭で密な点刻はない

単眼後方区側溝は後半では深く明瞭で前半はやや不明瞭

後脚付節は全体または第5分節基半を除き黒色

頭頂部の黄紋は単眼後方区側溝に届く

後脚腿節の上面は黒色、♀の複眼内縁の黄帯は明瞭で途切れない

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たくさん採集して見慣れないと判りにくい検索ではある。

以下その他の画像。

腹面

クルメキモンハバチ♀
Pachyprotasis kurumensis

胸部側面

クルメキモンハバチ♀
Pachyprotasis kurumensis

胸部背面

クルメキモンハバチ♀
Pachyprotasis kurumensis

クルメキモンハバチ♀
Pachyprotasis kurumensis

食草はコオニタビラコ、カキドオシ、オドリコソウ。

本州、九州に分布するそうだ。

四国にもいそうだけど、誰も調べてないのかしらん?


おまけ

産卵管を引っ張り出してパチリ

クルメキモンハバチ♀
Pachyprotasis kurumensis

キモンハバチ属の他の種類についてはいくつか過去記事で紹介しているのでリンク置いときます↓

「キモンハバチ」

「コシマキモンハバチ」

「聖母マリアなオニタビラコキモンハバチ」

↑翅脈名称とか書きこんでる記事

「ササベキモンハバチ」


ではまた

2024年4月20日土曜日

イタドリクロハバチ

今週はワタクシ的初見の虫を貼るだけ。

日曜日に伸び始めたイタドリの葉にいたハバチをパチリ。

帰って確認すると、なんとピンボケ画像だった。

イタドリ食のハバチと言えばカラフルな幼虫のハグロハバチが思いつくがそれとは別のスリムで小さいハバチ。

採集したので背面観

イタドリクロハバチ♀
Ametastegia polygoni

ハバチ科のハグロハバチ亜科Allantinaeに属する。

腹面

イタドリクロハバチ♀
Ametastegia polygoni

側面

イタドリクロハバチ♀
Ametastegia polygoni

翅脈はこんな

イタドリクロハバチ♀
Ametastegia polygoni

図鑑のホソババチ属Ametastegiaのところを見ていると、見た目がそっくりなのにスイバハバチAmetastegia suibai というのがいる。

1R1室と1Rs室のあいだにRs脈がある。

無いのがスイバハバチ。

スイバハバチには画像の青丸で囲んが部分の翅脈がないそうだ。

古いハバチ本だと

前翅の肘横脈は3本で閉じた肘室は3個、

という書かれ方がしてあるが、意味は同じ。

スイバハバチの肘横脈は2本。

イタドリクロハバチ♀
Ametastegia polygoni

年複数回発生し、春から秋まで見られるとのこと。

初めてみたと思ったけど、脳が認識してなかっただけかも?

おまけ

産卵管

イタドリクロハバチ♀
Ametastegia polygoni


ではまた

2024年4月13日土曜日

ウスベニスジヒメシャクの♀交尾器

先週記事にしたベニスジヒメシャクの一種が羽化したので種の同定を試みた。

こんなの

2024年4月10日羽化

ウスベニスジヒメシャク
Timandra dichela

メスだったけど、幸い手持ちの図鑑にメスの交尾器の図もあったので何とか同定できた。

メス交尾器側面図

ウスベニスジヒメシャク
Timandra dichela
female genitalia

laがラメラ・アンテバギナリス。

obは交尾口(ostium bursae)

ラメラ・アンテバギナリス(lamella antevaginalis):交尾口(ostium bursae)の周囲の硬化した構造物をステリグマ(sterigma)と呼び、特に前方の硬化部をラメラ・アンテバギナリス、後方の硬化部をラメラ・ポストバギナリス(lamella postvaginalis)と称する。

交尾口の前方(頭部側)から後方に向かって伸びているのでラメラ・アンテバギナリスである。

ウスベニスジヒメシャクのラメラ・アンテバギナリスは先端が丸い二裂した骨片となるのが特徴。同属他種は先端が裁断状であったり、そもそもこんなに長くないので区別可能であるそうな。

メス交尾器背面図

ウスベニスジヒメシャク
Timandra dichela
female genitalia

ラメラ・アンテバギナリスは外して横に配置。

先端は毛束で覆われているので二裂している片方だけ除去。

図鑑の解説通り、先端が丸い。

ということで、先週の記事の幼虫も無事に種が決定。


まわりくどい!!!

数を見ているプロなら外見で判るかもだけど。。。

成虫であれば。

手持ちの図鑑には幼虫では区別できない、とか書いてあった。


ではまた。



2024年4月6日土曜日

頭にトゲがある蛹・・・ウスベニスジヒメシャク

先週とタイトルが似ているが別の虫の話。

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2024年4月13日タイトル変更

羽化して同定できたので。

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3月最後の日曜日、倒木の上をぴこぴこ移動中のしゃくとりむしを発見。

ベニスジヒメシャク属の一種
ウスベニスジヒメシャク
Timandra dichela Larva
シャクガ科で、

背中に菱形模様が三つ、

第3胸節から第1腹節にかけて膨らむ、

あたりの特徴で図鑑をあたると、

ベニスジヒメシャク属Timandraの仲間であることは判った。

ベニスジヒメシャク属の成虫はこんなやつ↓。

2017年9月24日撮影
コベニスジヒメシャク
Timandra comptaria
翅を拡げても3㎝ないくらいの小型の蛾。

ベニスジヒメシャク属は日本産6種。

いずれも似通っており、正確な同定は交尾器の観察を推奨、

でも草っ原に普通、

というめんどくさいグループである。

画像の成虫も交尾器を確認してある。(過去記事はこちら↓)

「コベニスジヒメシャクの交尾器」

同属内の幼虫はいずれもタデ科につき、色調に変異はあるが種を分ける特徴が見つかっていないため、同定するには飼育羽化させて交尾器を見る必要がある。

普通種なのに。

愚痴は置いといて。

幼虫側面

ベニスジヒメシャク属の一種
ウスベニスジヒメシャク
Timandra dichela Larva
矢印が第1腹節。

体長は2cm強。

道端でちぎったヒメツルソバを与えておいたが食べずに蛹化。

成熟幼虫だったようだ。

こんな時期に終齢幼虫ということは幼虫越冬なのだろうか。

年2回発生するそうなので、越冬態は適当な可能性が微レ存。

暖冬なので3回目が生き残ったのかも?


ベニスジヒメシャク属の一種、蛹背面

ベニスジヒメシャク属の一種
ウスベニスジヒメシャク
Timandra dichela Pupa
腹面
ベニスジヒメシャク属の一種
ウスベニスジヒメシャク
Timandra dichela Pupa
側面
ベニスジヒメシャク属の一種
ウスベニスジヒメシャク
Timandra dichela Pupa
全長約12㎜。

一見してモンシロチョウっぽい感じな蛹である。

容器に荒く糸を貼って、雑な感じで蛹化していた。

頭部に突起があり、糸が絡んでいる。

頭部腹面拡大

ベニスジヒメシャク属の一種
ウスベニスジヒメシャク
Timandra dichela Pupa
突起の拡大

鉤状の刺毛があり、荒い糸でも体を固定できるようにしている。

一般的な蛾の蛹にはない特徴である。

腹端腹面

腹端には他の蛹同様に鉤状刺毛があって、こちらでも体を固定している。

腹端の鉤状刺毛は幼虫時代の刺毛と相同で決まった数である。

頭部の刺毛は二次的なものであろう。

頭部に鉤状刺毛のある蛹はワタクシ的には初見だけど、他にもいるのかな?


蛹が無事に羽化したら種までの同定をする予定。

(羽化して同定できたけど、幼虫では区別できないから一緒か?)

ではまた

2024年3月30日土曜日

おしりにトゲがある囲蛹・・・ヒゲブトクチキバエ

ちょっと前に谷筋に倒れたコナラの樹皮を捲ってみた。

2024年3月10日
茶色の米粒。

ハエの囲蛹が見つかった。

中身がある感じなので持ち帰り。

背面


側面


腹面


腹端の拡大

なんてことはない囲蛹だけど、腹端に一対の上反するトゲがある。

後気門はトゲの付け根にあるようだ。

初めて見るタイプ。

日本産土壌動物第二版をつらつらみると、

クチキバエ科の幼虫にこんなトゲがあるようだ。

幼虫の皮膚が硬化して内部で蛹化するタイプを囲蛹という。

なので幼虫の特徴が囲蛹に残っている。

クチキバエ科はちゃんと見たことがないので、濡らした濾紙においてシャーレで保管。

2週間後に無事羽化。

2024年3月25日
触角刺毛がぶっといハエが出てきた。

触角刺毛が太い種類にはシマバエ科やキモグリバエ科にもいた記憶があるが、囲蛹の特徴からクチキバエ科なのは確かなのだから、クチキバエ科から該当種を探してみたら、ヒゲブトクチキバエというのがいるらしい。

これでいいと思う。

成虫背面

ヒゲブトクチキバエ
Hendelia beckeri
前脚は基節と脛節が特に白っぽく、付節が黒色で目立つ。

前翅には先端四分の一とr-m横脈、m-m横脈の周辺が暗色となっている。

側面と

ヒゲブトクチキバエ
Hendelia beckeri


腹面側
ヒゲブトクチキバエ
Hendelia beckeri


頭胸部背面
ヒゲブトクチキバエ
Hendelia beckeri

頭胸部側面

ヒゲブトクチキバエ
Hendelia beckeri

ヒゲブトクチキバエ
Hendelia beckeri

本種は国外にもいる様で、割りと分布の広い種類のようだ。

ではまた

2024年3月23日土曜日

チャバネアオカメムシの交尾器

今週は短め。

日曜日のツイート。


普通種の交尾器も見ておこうと持ち帰り。

チャバネアオカメムシ Plautia stali
♂交尾器
近縁にサキシマチャバネアオカメムシP.sakishimensisがいるそうで、チャバネアオカメムシの把握器の突起は三つあるが、サキシマ~では二つしかないので区別できるそうな。


ではまた 

2024年3月16日土曜日

キアシハラグロハネカクシ?

ちょっと春めいてきたかなぁ?
と思ったけど、、
虫的にはまだだった日曜日。

目の高さにあるネズミモチの葉っぱが重なっているのを捲ったらいた虫らしきもの。
老眼鏡越しでみると5mmほどの小さなゴミみたいなのをルーペで見たら、おしりを反らしてしゃちほこばってるハネカクシだった。

ハネカクシはな~
ワシには判らんからな~
と思ったけどネタにするべく拉致。

背面
キアシハラグロハネカクシ?
Astenus latifrons
なんか既視感があるのでブログの記事を確認。

旧ブログで似たのを記事にしていた↓

insectmoth.hatenablog.com

で、図鑑で近いところを探すと隣の属に似たのがいた。
アバタコバネハネカクシ属Nazeris じゃなくて、シリグロハネカクシ属Astenus の一種のようだ。
手持ちの図鑑で一致するのはAstenus latifrons だけれど、同属他種がいるから「?」をつけておく。

あとこれ、和名に変遷があるようで
同じ学名に、
保育社図鑑の和名は「キアシシリグロハネカクシ」、
北隆館図鑑の和名は「キアシクロクビボソハネカクシ」、
九大のサイトで公開されている日本産ハネカクシ科総目録では
「キアシハラグロハネカクシ(和名改称)」の和名が当ててある。

ここではいちおう最新のキアシハラグロハネカクシとしておく。
?付きだけど。

その他の画像。

腹面
キアシハラグロハネカクシ?
Astenus latifrons

頭部胸部背面拡大
キアシハラグロハネカクシ?
Astenus latifrons

よく見ると点刻が網目状。
カッコいい?

アバタコバネハネカクシみたいに撫で肩じゃないので、後翅はあるかと思ったけど、柄付き針で弄った感じだと鞘翅は左右癒着しているようだし、のぞき込んだ感じでは後翅も見えなかったので、本種も飛べない種類のようである。

腹面先端節の切れ込み
キアシハラグロハネカクシ?
Astenus latifrons

幸いなことに♂だったので交尾器も

側面

交尾器背面

記載文でも拾えたら交尾器が役に立つのだけどね。
私では見つけられなかった。。

おまけ
大顎開くとこんな感じ。
キアシハラグロハネカクシ?
Astenus latifrons
カッコいい。
上唇に一対の長い毛が生えているのは
ハエトリソウみたいなセンサーの役目かな。
大顎拡げておいて、毛に触れるとパチンと噛みつくとか。

アリにもそんなのがいたね。
アギトアリとか。


ではまた。