春らしくなった日曜日のお散歩で見た、唯一の蛾。
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ウスベニスジナミシャク Esakiopteryx volitans |
目の前にヒラヒラ落ちてきた。
ちょっとくたびれた感じの超普通種。
散歩で見た蛾がこれだけとは、当地の虫の減り方が著しい限り。
寂しいので持ち帰った。
旧ブログで紹介済みの種である。
が、交尾器の画像を貼ってないので観察してみた。
解剖してみたら卵が3個ほど残っていたが、ほぼ産卵済みの個体だった。
ちょっとだけ罪の意識がやわらぐ。
交尾器腹面
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ウスベニスジナミシャク Esakiopteryx volitans female genitalia |
cb がコルプス・ブルサエ(corpus bursae):交尾嚢、精子を一時貯蔵する。白く濁っているので交尾済みである。
db がドゥクツス・ブルサエ(ductus bursae):交尾口と交尾嚢の間の管状部。
コルプス・ブルサエとドゥクツス・ブルサエを合わせてブルサ・コプラトリクス(bursa copulatrix)と称する。
交尾器側面
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ウスベニスジナミシャク Esakiopteryx volitans female genitalia
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斜め下から拡大
矢印はドゥクツス・セミナリス(ductus seminalis):受精管、交尾嚢から輸卵管に精子を送る管。受精管や輸卵管などは軟弱で壊れやすく分類形質として扱われないので、除去された図がほとんどである。
交尾嚢の拡大
本種は交尾嚢に硬化したトゲが多数ある。
硬化部はシグナ(signa):単数形はシグヌム(signum)と呼び、形状や数、範囲が異なるため、種の分類に役立つ。なお機能は不明。
用語は、日本の鱗翅類(2011、東海大学出版会)より抜粋。
普通は交尾嚢と呼ばずに受精嚢と呼ぶのが普通のようだが、蛾の場合は受精管と輸卵管の間に嚢状部を持つ者がいてそれを受精嚢と称するようで、交尾嚢の呼び方は他の昆虫類では一般的でないような感じがする。
日本語のややこしいところである。
横文字使った方が間違いがない気がするが、分類群によって形状が異なるので横文字もそれぞれに用語が当てられているため、「一からか、一から覚えんとあかんのか?」とどっかで聞いたようなセリフをいうはめになる。。
おまけ
旧ブログで紹介したのはウスベニスジナミシャクの卵と幼虫↓
insectmoth.hatenablog.com
ではまた