2024年11月16日土曜日

ルイスチャイロナガカメムシ

今年の夏にチャイロナガカメムシを紹介したのだけど↓、

「チャイロナガカメムシ」(クリックで移動)

日曜日のお散歩で似たのを見つけた。

これ

ルイスチャイロナガカメムシ
Neolethaeus lewisi
触角第3節先半の白色帯が目立つ種である。

標本箱を見たら既に採集済みなのが発覚したが、油が浸みてひどい標本になってた、ので綺麗なうちに画像を残しておこうそうしよう。

チャイロナガカメムシはササの上とか地上部で見かけたけど、こちらは斜面のジャノヒゲをガサガサしたら落ちてきたので地表性の種類のようだ。

チャイロナガカメムシは全国区だけど、ルイスチャイロナガカメムシは関東以西の分布だそうで、チャイロよりも南方系なのかも。

腹面

チャイロナガカメムシの口吻は中脚基節を超えるか超えないかだけど、ルイスチャイロナガカメムシは後脚基節まで伸びている。

拡大

ルイスチャイロナガカメムシ
Neolethaeus lewisi
ルイスチャイロナガカメムシは前胸背に明瞭な縦隆起があることが特徴とあるが、隆起というより無点刻域という感じがする。

臭腺のあたり

ルイスチャイロナガカメムシ
Neolethaeus lewisi
矢印が臭腺で、廻りの艶消し部分が蒸発域。

腹面腹端

中央とサイドに小さな突起があるけど、チャイロナガカメムシにはなかった気がする。


ではまた

2024年11月9日土曜日

ヒゲブトムネトゲアシブトコバチ

虫の声も少なくなってきた11月。

これといったものも見つからないままお散歩コースを歩く。

帰り際に服にくっ付いたコバチをケースに収めて持ち帰った。

・・・

初見のアシブトコバチの一種だった。

初見と言うか初認識と言うか。。

以前見つけた文献「日本産アシブトコバチ科の再検討」(リンク先pdf)で絵合わせしたら、ヒゲブトムネトゲアシブトコバチという長ったらしい和名のアシブトコバチらしい。

こんなの

ヒゲブトムネトゲアシブトコバチ
Haltichella clavicornis

よく見るキアシブトコバチと違って黄色い模様のない種類。

全体黒色で、脚とか肩板が赤褐色。

腹面

ヒゲブトムネトゲアシブトコバチ
Haltichella clavicornis

側面

ヒゲブトムネトゲアシブトコバチ
Haltichella clavicornis

ちょい斜めから

ヒゲブトムネトゲアシブトコバチ
Haltichella clavicornis
和名の「ムネトゲ」は小盾板後方の一対の突起からきてるのかしら?

ヒゲブトムネトゲアシブトコバチ
Haltichella clavicornis
文献で他のHaltichellaと比べると触角鞭節は太い感じ。

複眼の周囲は稜線で囲まれてる。

ついでに正面顔


後脚

ヒゲブトムネトゲアシブトコバチ
Haltichella clavicornis
後脚腿節はふとましい。

ひととおり和名の特徴の画像はこんなものかな。

腿節後縁には細かい鋸歯が並ぶ。

コバチ上科なので?翅脈は退化してる。

前伸腹節が見えるように斜め後ろから。

ヒゲブトムネトゲアシブトコバチ
Haltichella clavicornis

細かな網目模様。

すき


ではまた

2024年11月2日土曜日

コンボウアメバチの一種

日曜日にお散歩ネットで採った虫。

ふよふよ飛んでいたときはニトベハラボソツリアブくらいの見た目と大きさ。

採ってみたら、触角長いのでアメバチ系のヒメバチだった。

こんなの

コンボウアメバチの一種
Agrypon sp.
体長は約12mmほどの小型種。

細長くて全体を入れて撮影するとよく判らないことになる。

神奈川県立生命の星・地球博物館 特別出版物 第2号 の

「日本産ヒメバチ上科(膜翅目)の属への検索表」で

属を検索したらコンボウアメバチ亜科のAgrypon属に行き着いた。

目録を見たら、Agrypon属をみたら日本産は30種記録されている。

種までの検索はないので同定はあきらめたけど、画像が確認できるものの中ではハラナガコンボウアメバチAgrypon longipropodeum の配色が近い感じ、

だけど、微妙に産卵管の長さと形は違うような気がするので別種っぽい。


コンボウアメバチ亜科Anomaloninae の特徴は、

************************************

前翅に2m-cu脈を持つこと、

腹部第1節は細く筒状で気門は中央より後方にあること、

アメバチ型体型(腹部が縦に扁平で背面から見て細い)であること、

付節の爪は櫛歯状ではなく単純であること、

前翅は鏡胞を欠くこと

前伸腹節は網目状の隆起線に覆われること、

************************************

などで、

Agrypon属の特徴は、

************************************

産卵管鞘は腹部第2節より短いこと、

中脚脛節端の棘は2本であること、

前翅の翅脈のうち赤線の区間と黄色線の区間で長さが異なること(下図参照)、

前胸背板下方は歯状突起を欠くこと、

複眼は剛毛に覆われないこと、

前脚基節に隆起線はあるが外側には達しないこと、

頭盾前縁は突起を欠くこと、

************************************

である。(上記文献より抜粋)

で以下拡大画像。

側面

コンボウアメバチの一種
Agrypon sp.

前伸腹節が筒状に伸びている(矢印)のが素人目に新鮮であった。


胸部側面

コンボウアメバチの一種
Agrypon sp.

胸部背面
コンボウアメバチの一種
Agrypon sp.
矢印が前伸腹節。網目状。
他の種類は亀甲状だったり様々。

胸部腹面
コンボウアメバチの一種
Agrypon sp.
左上は拡大した前脚基節の隆起線

正面顔


鞘から出した産卵管

先端が幅広い。


ではまた

2024年10月26日土曜日

フジの莢の初期巣と居候

今週のお散歩も何がいたと言うこともなく・・・

帰る間際に道路に落ちていたフジの莢。


なにかイモムシでも入っているかも?

と持ち帰ってみた。

平日の空いた時間にペリペリ、と端から分解。


中は囓られて空洞がある、が糸や糞がないのでイモムシではなさげ。

1/4ほど破壊したところで、アリがとびだしてきたので思わずプチっとしてしまった。

ヒラズオオアリ
Camponotus nipponicus
ヒラズオオアリの働きアリは大型働きアリと小型働きアリの明瞭な2型があり、大型働きアリと女王アリは頭部先端が裁断状になっており同定は容易な種類である。

小型働きアリの頭部はまあ普通の形状で、他種との区別点は

前伸腹節を横から見ると、角度がほぼ90度をなすこと(黄色矢印)

腿節は前脚腿節のみ極端に幅広いこと(青矢印)

の2点である。

大型働きアリもいたけど、歩くの早すぎて撮れなかった。

フジの莢をよく見ると、出入り口の穴が一個開いていた。

普通はこの穴に大型働きアリが顔で蓋をしている。

ヒラズオオアリの巣は通常、立ち枯れの堅い木に巣を作っている。

10年以上前に一度見たことがある。

2度目がフジの莢。

堅さで言えば枯れ木と同程度なので、ヒラズオオアリ的には一緒だったのかも。

でも、落ちてしまったら運の尽きである。

とりあえずこれ以上の破壊は止めたので、女王とかいるかは未確認。

こちらは破壊したフジの莢にいた居候↓

コナチャタテ科の一種
Liposcelidae Gen.sp.
コナチャタテ科は後脚腿節が太い。

家屋内で見かけるヒラタチャタテとは明らかに別種で斑模様がある。

無翅の種類が野外でどうやって移動や分散をして命を繋いでいるのかナゾである。

屋内のライトトラップの粘着板に、ヒラタチャタテとは別種の有翅のコナチャタテの一種が捕まっていることがあるので、野外の種類も環境が悪化すると有翅になって分散するのかも知れない。

黒バック

コナチャタテ科の一種
Liposcelidae Gen.sp.
ではまた


2024年10月19日土曜日

コツチバチの♂

ここんとこ日曜日の散歩で採集してない。

なんでもいいや、と目に止まったハチを持ち帰った。

ちょこまか走り回っていたので生態写真はなし。

背面

コツチバチ属の一種Tiphia sp.

とても地味な黒いハチ。体長約6.5mm。

腹面

コツチバチ属の一種Tiphia sp.

コツチバチ科の外見上の雌雄は

触角13節で可視腹節は7節であれば♂、

触角12節で可視腹節は6節であれば♀である。

ということで画像のハチは♂である。

日本産有剣ハチ類図鑑とか、南西諸島産有剣ハチ・アリ類検索図説とかの検索表をたどってみたけど、修行が足りないので種までの検索は断念。

なんとな~くだけど、ニカコツチバチTiphia sternataあたりかなぁ?

というフワッとした印象。

その他の画像。

側面

コツチバチ属の一種Tiphia sp.

コツチバチ属の一種Tiphia sp.
検索キーに縁室(赤丸)が亜縁室(黄丸)より突出するか否かというのがあった。

コツチバチ属の一種Tiphia sp.
触角窩の直径と触角-複眼間の距離の比とかいう検索キーもあった。

腹端側面

コツチバチ属の一種Tiphia sp.

第5腹板の両側近くに小さな歯状突起の有無とかいう検索キーもあった。

たぶん黄色円内がその歯状突起。

こんなのを検索キーにされてもなぁ、という素人的感想。。

コツチバチ科全体で種間差異が小さいので理解はできる。

けど、ついて行けない感じ。

あとは点刻の大小とか数とか。

図鑑にはいくつかの図が載っていたけど、すべての検索キーに部分図とかないとちょっと無理。

絵解き検索プリーズ。

雌雄の区別点に腹端の刺が上方に弧を描くのが♂で直線状なのが♀とあった。

直線状なのは産卵管(針)として、曲がってるのはなんだろ?

挿入器?

じゃなくて、最終腹板が針状に変化したものだとか。

そういやツチバチ科の♂にも針状の三叉鉾ありましたな。

最初、実体顕微鏡で見たときは針があるから♀かな、とか思ってしまった。


今回はコツチバチの雌雄の区別点だけど、

旧ブログでツチバチ科とコツチバチ科の区別点の記事がある。↓

insectmoth.hatenablog.com

ではまた

2024年10月12日土曜日

猫草セットの燕麦にいたコナナガシンクイ

お散歩コースの虫が不調なので、パソコンのハードディスクからテキトーに。。

今年の2月、永らく放置していた猫草の栽培セットを掃除の際に発掘。

妙に粉っぽいので開けてみたらコレ。

穴だらけ。

タバコシバンムシでも湧いたか?と思ったら、また別の虫だった。

コナナガシンクイ
Rhyzopertha dominica
貯穀害虫として有名な方である。

猫草の種子はエン麦である。

開封して一年以上は放置していたのでいつの間にか侵入していたみたい。

米、小麦、トウモロコシなどの穀物種子のほか、穀物粉、豆類、キャッサバなども加害する。

木材にも食入し、そこで越冬する。

成虫の平均寿命は120日、1♀の産卵数は200~400卵。

卵から成虫までの発育期間は30℃で31日。

18~38℃の間で発育が可能。

ということでやや高温を好む虫のようだ。

顔の拡大

コナナガシンクイ
Rhyzopertha dominica

横顔

コナナガシンクイ
Rhyzopertha dominica

ぱっと見キクイムシ科(じゃなくて今はゾウムシ科キクイムシ亜科か、)にも似ているが、キクイムシ系は触角先端が球状なので区別は簡単。

幼虫

コナナガシンクイ
Rhyzopertha dominica

脚があるので、脚のないゾウムシやキクイムシとは区別できる。

胸部が太く腹部が相対的に細いので、「勾玉」型の形状である。

よく似たシバンムシ類の幼虫は胸部と腹部が同じ太さで「C」型なのでなんとなく区別できると思う。

あとシバンムシ類の幼虫頭部は着色しているが、こちらは淡色である。

幼虫頭部の透過光像

コナナガシンクイ
Rhyzopertha dominica

硬そうな大顎。

大工道具のノミみたい。


ではまた

2024年10月5日土曜日

ハゲハゲ小蛾

谷筋の湿ったシダの上、

2024年9月29日
差し渡し5mmちょいの小さな蛾がいた。

鱗粉がはげてベージュ色になっている。

クロスジチビコケガかウスクロスジチビコケガっぽいが?

持ち帰って冷蔵庫に入れたままにしていたのを実体顕微鏡で確認。

腹端部

クロスジチビコケガ
Stictane rectilinea
図鑑によると、ウスクロスジチビコケガはバルバの後縁(矢印の位置)に2本の刺状突起があるそうで、クロスジチビコケガにはないとある。

なのでクロスジチビコケガだと思う。

今週は暇がなくてやっつけ記事になってしまった。


ではまた