2026年1月24日土曜日

ゼンマイ仕掛けの産卵管・・・ハラビロクロバチの一種

目で見て採れるネタがないので、ちょっとスイーピングしてちっちゃいのを吸虫管で吸って帰ってきた。

ハラビロクロバチ科
Synopea sp.
体長1.2㎜前後の寄生蜂。

変わったところと言えば腹部がコンマ型であること。

Synopeas属の一種にその特徴があるようだ。

Synopeas属ということはハラビロクロバチ科ということ。

この科には腹部が異様に長いのや、第1腹節背板がパイプ状に背中に伸びているものとかいろいろいるらしい。

黒バック

ハラビロクロバチ科
Synopea sp.
実体顕微鏡とコンデジの組み合わせでは今一つの画像にしかならない。

この仲間はタマバエの虫こぶに産卵するそうなので、虫こぶを貫通する長い産卵管が必要になったのか、腹部に長い産卵管が隠されているらしい、とインターネッツで聞きかじっていた。

ので、解剖してみた。

コンマ型の膨らんだ腹板を外してみると、、

ハラビロクロバチ科
Synopea sp.
体長より長い産卵管が隠されていた。

外した時は点線みたいにゼンマイ状に巻いた状態で腹部に収まっていた。

虫こぶとか安全そうに見えてもちゃんと利用する虫が出てくるあたりなかなかスゴイものがある。

解剖しちゃったので他の部位もおまけで。

前脚

中脚
後脚
前脚踁節の距は発達して第1付節の櫛状の毛で触角掃除とかに利用する。

ハチの仲間全般で見られる構造ですな。

付節はクロバチ上科なのですべて5節みとめられる。

触角

ハラビロクロバチ科
Synopea sp.
写っていない柄節を含めて10節ある。

中胸背板

実体顕微鏡じゃ判らない模様がありますな。

小盾板

ハラビロクロバチ科
Synopea sp.
お面みたい。


おまけのおまけ

お散歩コースでは見たことないけど、もう一つの変わったやつ。

Platygastridae
ハラビロクロバチ科
Inostemma sp.

大東市の粘着板にくっついていたもの。

これもハラビロクロバチ科。

この前方に伸びた腹部背板の筒の中に産卵管が収まってUターンしているとのこと。


ではまた

2026年1月17日土曜日

キベリチビコケガの交尾器は左右非対称

お散歩では1月になってもクロオビフユナミシャクやらクロスジフユエダシャクが残っており、フユシャク亜科のフユシャクが出る期間がないのでは?などと危惧する日々。

ということでネタがないので冷蔵庫を漁る。

6月のツイート。

↑件の蛾がフィルムケースに入ったまま出てきたので、交尾器出してみた。

腹部を外して10%KOH水溶液に漬けて煮ること10分。

水洗して観察。

背面

キベリチビコケガ
Diduga flavicostata
Male genitalia
腹面

バルバが左右で形が異なっていた。

中央のファルス(エデアグス)を抜いて拡大

car:カリナ・ペニスcarina penis,エデアグス上に生じる突起

cor:コルヌツスcornutus,内袋vesica上に生じる突起

画像は、内袋vesicaを反転しようとしてコルヌツスが引っ掛かって失敗したの図。

ファルスを抜いた後の背面

同腹面
キベリチビコケガ
Diduga flavicostata
Male genitalia
右斜め
左斜め


ではまた 

2026年1月10日土曜日

コキノコムシ科の蛹

ネタがないので、昨年の中途半端な観察から。

昨年の記事

「怪獣の背中的幼虫・・・セモンホソオオキノコ」

ではほかにモンキゴミムシダマシも発生していた。

もう一種発生していたの↓

ヒレルコキノコムシ
Mycetophagus hillerianus

たぶんヒレルコキノコムシだと思う。

キノコとか腐葉土で大変よく見かける虫である。

なにか素早く走り回る幼虫がいたけど、撮影できずに終わってしまった。

蛹はたぶんこれ。

ヒレルコキノコムシ
Mycetophagus hillerianus

側面


腹面

ヒレルコキノコムシ
Mycetophagus hillerianus

ではまた

2026年1月3日土曜日

2026年 今年も宜しくお願いします

ほぼほぼ寝正月。

昨日2日は家族といつもの八幡さんで初詣。

八幡さんからの景色。

いつもなら1個体くらいはフユシャクがいるのだけれど、昨年に引き続き初虫はいなかった。

このあと神戸南部では珍しく初雪が降った。

本格的なお散歩は明日の日曜日なのでそちらに期待。

ハヤシウマ
Diestrammena itodo
今年は午(ウマ)年なので、
12年前の使いまわしで、ハヤシ「ウマ」

お散歩コースの虫枯れが著しく、弊ブログの週1更新も怪しくなってきた。

気力の衰えもあるのだけれど、惰性でガンバロウ、、

という感じで今年もヨロシク。


ではまた

2025年12月27日土曜日

キバラケンモンのコレマタは縦並び

お散歩でのネタが全然なので、冷蔵庫に入れっぱなしだったキバラケンモンの交尾器を観察してみた。

6月に持ち帰った繭から羽化したもので、その記事はこちら↓

「キバラケンモンの野外での繭」

腹部を取り出して、10%KOH水溶液中で加熱して筋肉を溶かして洗浄、

整形したのが下図

キバラケンモン
Trichosea champa
Male genitalia
背景は1㎜方眼。

下の矢印は交尾器に被さっていた第8腹板をひっくり返した状態。

第8腹節後方に嚢状部があり毛束を備える。

この毛束は「coremata;コレマタ」と呼ばれる器官で、交尾のためメスに近づく際に反転して芳香を出すそうだ。要は「逃げなくていいよー同種のオスだよー敵じゃないよー」とアピールするためらしい。

黒バック

キバラケンモン
Trichosea champa
Male genitalia

本種のコレマタは第7腹節後方にもあり、縦に2本みられた。

本種は縦並びだけど、種類によって違いがありヒトリガ科などでは左右に一対枝分かれしたコレマタを備える。

コレマタの毛束先端の拡大
キバラケンモン
Trichosea champa
coremata
中空のようで縦皺があり先端がやや膨らむ。

直径は0.03㎜ほどで、先端は0.04㎜くらい。

嚢状の基部の拡大

毛の基部はドーナツ状で、嚢状部から毛束に芳香物質を押し出しているようだ。

おまけ

phallus;挿入器のvesica;内袋を反転したらこんな形。

キバラケンモン
Trichosea champa
phallus
細い管の先が射精管の開口部

別方向

盲嚢部がある。

クルリと反対側。

矢印のトゲトゲはcornuti;コルヌティ(複数形、1本の場合は単数形のコルヌツス;cornutusを使う)

交尾の際に錨のように固定する役目を持つ。


ではまた

あ、これが今年最後の投稿になるかと思います。

皆様良いお年を

2025年12月20日土曜日

ヒメセマダライエバエだと思う

12月も半ばだというのに紅葉の残るお散歩起点の八幡さん。

菊の花にいたハエ。
ヒメセマダライエバエ
Graphomya rufitibia
ヒメセマダライエバエだと思う。
20数年前に発行された「日本のイエバエ科」を脊髄反射で購入したものの未だに読み込めていないので、たぶんとしか言えない。
貼り逃げともいう。

以下拡大画像。
背面
ヒメセマダライエバエ
Graphomya rufitibia
側面
前翅
翅脈は典型的?なイエバエ科

腹端部

ついでに前の週に採集したメスと思われる個体。
ヒメセマダライエバエ?
Graphomya rufitibia
female
側面
双翅目の常として、オスより複眼間が広い。

日本産の同属はセマダライエバエと本種の2種のみ。

ではまた

2025年12月13日土曜日

ねじねじのコイル巻き

日曜日のお散歩で、

元気の薄い葉っぱを見かけた。

シロダモかな。ヤブニッケイかもしれない。

裏返してみると、、

トゲキジラミ
Togepsylla matsumurana
成虫でも体長1.5㎜ほどのちいちゃな虫がいた。

腹部側面に3対6本の蝋物質を分泌していた。

黄色い粒々の卵もパラパラ産み付けてる。

被害葉のわりに個体数が少ないな、と思ったら

蝋物質をまとったクサカゲロウの幼虫が近くにいた。

けど、写真撮る前にポトリと落ちて見失う。

どうも大量殺戮が起こった後のようだ。

トゲキジラミは翅脈にトゲのような毛が生えているので、拡大してみるとオモシロい虫である。

旧ブログで紹介済みである。↓

「去年の葉っぱでいいんかい?・・・・トゲキジラミ」

当時の文献ではヒゲブトキジラミ属Hemipteripsyllaとされて、ネッタイキジラミ科とされていたが、現在ではキジラミ科のトゲキジラミ亜科Togepsyllinaeにされてトゲキジラミ属Togepsylla となるようだ。

これは2009年の話しなので、久し振りに実体顕微鏡で見ようと、吸虫管で2個体ほど吸って帰った。

が、翌日見ると本体は入っていなかった。

??? ワープした?

中には蝋物質の束が数本残っていただけだった。

空蝉の術使いだったとは。。。

しょうがないので残された蝋物質を拡大。

この間紹介したチュウゴクアミガサハゴロモの蝋物質より細い感じがする。目盛りは0.5㎜間隔。

さらに光学顕微鏡で拡大。

トゲキジラミ
Togepsylla matsumurana
ひと目盛りは0.005㎜。

ねじねじのコイル巻き構造だった。

セミヤドリガの蝋物質ともまた違う構造で、グループごとに特徴があって面白いテーマかも知れないね。


ではまた