2026年10月24日土曜日

飴色のモドキ

めっきり虫の少なくなったお散歩コース。

飴色の細こいのがふわふわ飛んでいたのでお散歩ネットにイン。

以前にいくつか紹介したアメバチのどれかかな?と思ったけど、採るたびに違う種類だったりするので持ち帰ってみた。

アメバチモドキの一種♂
Netelia sp.

飴色で腹部は左右に扁平という典型的なアメバチ体形だけどアメバチじゃなかった。

アメバチモドキはハバチヒメバチ亜科に属する。

例によって、神奈川県立生命の星・地球博物館が発行した

「日本産ヒメバチ上科(膜翅目)の属への検索表」から抜き書き

ハバチヒメバチ亜科Tryphoninaeの特徴

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前翅は翅脈 2m-cu をもつ
頭盾前縁に小さな中央突起を持たない
触角中央付近は拡大せず、鞭節は13節以上
オスの把握器は後方に著しく伸長しない
後体節第1節の気門は、節の中央付近かより前方にある
中脚脛節棘は2本
頭盾と顔面は多少とも明瞭な溝で分割される
大顎の先端は2歯か1歯
後脚基節と後体節挿入孔の間は接近する
腹部背板に溝はない
中胸盾板は平滑
頬上部にやすり状の歯を欠く
前翅の翅脈 2m-cu は 2 つの透明域をもつ
フ節の爪は櫛歯状
頭盾は前縁に沿って平行に並ぶ長い剛毛列をもつ
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続いて
Netelia属の特徴
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後脚の脛節棘は2本
前伸腹節は隆起線を欠く
複眼内縁は切れ込みをもつ
後単眼は複眼から単眼直径よりも短い距離離れるかほぼ接する
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といった感じで、Netelia属に落ち着いたけど、日本産Netelia属は70種もいるので種までの同定はあきらめた。

以下、諸々画像

翅

ちょい拡大
矢印は翅脈の透明域。

透明域で判りにくいけど、小さな鏡胞がある。

鏡胞はヒメバチ科の一部にみられる翅脈で囲まれた小さな翅室のこと。

胸部側面

前伸腹節はつるんぺたんとしている。

後体節第1節(見かけの第1腹節、真の第1腹節は前伸腹節として胸部に組み込まれている)

アメバチモドキの一種♂
Netelia sp.
気門は中央より前方にある(矢印位置)のがアメバチ系と異なるところ。アメバチの類は気門が中央より後方にある。

顔

アメバチモドキの一種♂
Netelia sp.
複眼内縁が凹んだり、頭楯下縁に剛毛列があったり。

判りにくいけど大顎は2歯。

頭部背面

単眼でかい。

中胸背板はつるんぺたん。

おまけ

爪

はっきりと櫛状


ではまた

2026年10月17日土曜日

クロクビレハリアリ女王

久しぶりに晴れたお散歩コース。

いつの間にかセミの声もしなくなり。

虫も年々少なくなっている気がする。

今週もネタなしかいな?

と、思ったらいた3㎜ほどの小さなシルエット。

アリガタバチではなさそうだけど、アリにしても脚が短い感じ。

止まらずに歩き続けるため何の仲間か見当がつかないものの、未見の虫臭がしたので持ち帰り。

アリでした。

クロクビレハリアリ女王
Cerapachys daikoku
ネットの日本産アリ類画像データベースで四苦八苦しながら検索したら、クロクビレハリアリに落ち着いた。

「採集例は少なく、ごくまれな種類」とあったのでちょっとウレシイ。

でもネット上を検索すると、すごくきれいな生態写真が複数みつかる。

さすが、虫の中ではガチ勢がいる分類群である。

側面

クロクビレハリアリ女王
Cerapachys daikoku
頭部背面

頭部後方背面に単眼が3個見えるので働きアリではない。

胸部背面

青矢印のところに翅のあった痕跡があるし、腹端に針(産卵管)もあるので女王ですな。

肩板もあるし。

女王が単独で外を歩いていたということは、群飛後の営巣地候補探しの旅の途中だったのかも。

赤矢印は本種の特徴で、クビレハリアリ属からクロクビレハリアリを分ける区別点。

本種では腹柄節背面肩部が角張る。同属他種では丸いそう。

検索表で四苦八苦したのが、他のハリアリ類からクビレハリアリ亜科を分ける区別点。

腹部末端の背板に微小な鋸歯がある、というもの。

40倍程度の実体顕微鏡ではどうしても見えず。

光学顕微鏡で無理やり落射照明の100倍で何とか見えた↓。

たぶん矢印のトゲのことだと思う。


ではまた

2026年10月10日土曜日

オオキイロホソバヒゲナガキバガ

日曜日のお散歩は義務。

という訳ではないが長年の習慣なので雨でも行く。

今週もネタ無しかぁどーしよー

とか歩いていたら、ビニ傘に雨宿りに来たミクロがいた。

ヤル気のなさが如実にわかる写り。

キバガ上科っぽいが茶色一色、、、

普段なら確実にスルーしてしまう見た目。

種名が判る気がしないし。

雨で何もいないしフィルムケースを被せたら素直に捕まってくれたので持ち帰った。

持ち帰ったのだから標本にしようとピヤッと翅を広げてみると、、

後翅の基部からなにやら主張の激しい毛束がある。

展翅した状態。

オオキイロホソバヒゲナガキバガ
Lecithocera chersitis
手持ちの図鑑を見ていくと、、

腹部背面に刺状の特殊鱗を持たない(ホソバヒゲナガキバガ亜科の特徴)

触角は長く、前翅とほぼ同長

♂後翅基部のヘアペンシルは顕著

などの記述が一致するので本種と同定してみた。

開張は図鑑では15.6~16.3㎜とあるが、本個体では15㎜とわずかに小さい。

よく似たキイロホソバヒゲナガキバガ(別名コカクバネヒゲナガキバガ)では開張12.5~13.8㎜で触角は前翅長の0.9倍程度でやや短いとのこと。

未記載種の多そうなグループだし、確認すべき交尾器の図が見つけられなかったので確定ではないけど、たぶんこの仲間なのは確実。

おまけ

横から見た毛束

オオキイロホソバヒゲナガキバガ
Lecithocera chersitis
♂のヘアペンシル
♂のヘアペンシルは交尾の際になだめ物質?を分泌するらしい。

♀を見つけた♂は飛びながら

「敵じゃないよ~

 こわくないよ~

 仲間だよ~

 だよ~ だよ~」

て感じで近づいていって交尾するらしい。

♀の性フェロモンが有名だが、これもフェロモンの一種。

同種の他個体に作用するのが、フェロモン。

個体内部で作用するのが、ホルモン。

他種に作用するのが、カイロモン。と教わった気がする。


ではまた

2026年10月3日土曜日

アリヤドリバチ

近々のネタが皆無なので、6月の採集品から。

スイーピングで採った小虫を実体顕微鏡で覗いた時に

あ、これはアレでは?と写真だけ撮ってたヤツ。

アリヤドリバチ
 Hybrizon buccatus

体長4㎜の極小ヒメバチ。

以前はアリヤドリバチ科で独立してたり、コマユバチ科の一亜科だったりしていたけれど、現在はヒメバチ科のアリヤドリバチ亜科に落ち着いているようだ。

拡大

忙しい時期だったので各部拡大を撮ってない。

翅

アリヤドリバチ
 Hybrizon buccatus
ネットに転がってる画像などを見比べて、アリヤドリバチとした。

体長4㎜と小型。

縁紋は太い。

全体の体形。

RS+M脈は2r&RS脈より短い。

2024年に記載された、Hybrizon lunaris(和名なし)という近縁種がいるが、ネットの画像を見ると、RS+M脈がほぼ消失しているように見えるので、アリヤドリバチの方でいいと思う。


ではまた

2026年9月26日土曜日

ひめぐんばい

お散歩コースのクヌギの葉っぱ。

とても白い。

よく見かけるヒメグンバイの食痕である。

9月も後半なのでもういないかも?と思いながら葉っぱを捲ると

ヒメグンバイ
Uhlerites debilis
個体数は少ないもののまだ残っていた。

幼虫もいる。

もう一枚。

ヒメグンバイ
Uhlerites debilis
普通にいすぎて、腹面とか撮ってないことに気付いて少し持ち帰り。

腹面

ヒメグンバイ
Uhlerites debilis

前方の背面拡大

ヒメグンバイ
Uhlerites debilis
グンバイムシ科は英名で Lace bug と呼ばれる。

その仲間だけあって、繊細なガラス細工のようである。


おまけ

斜めから。

ヒメグンバイ
Uhlerites debilis

ではまた

2026年9月20日日曜日

外部寄生されたタイワンオドリハマキモドキ

 この間(9/6)、2化目のタイワンオドリハマキモドキを見かけたとき、食樹のイヌビワを覗いたらまだ幼虫が残っていた。

普通は緑色だけど、生気のない黄白色。

写真を撮って拡大して見たら、寄生されているようだ。

本種は外敵対策として葉っぱに穴を開け(矢印)、攻撃されると反対側に逃げるようにしている。

脱皮前の動けない時なんかに産卵されたのかも?

ちょっと探すと寄生されたのが2個体いたので、持ち帰る。

4・5日たってみると蛹化していた。

3㎜ほどの小さな繭。

こちらは寄生者が1個体だった方。

こちらの繭は独り占めした分、4㎜とちょっと大きめ。

寄主の幼虫はしわくちゃになっていた(矢印)。

観察は残念ながらここまで。

ガラスシャーレに入れておいたら空になった繭を残して隙間から逃げてしまった。

隙間と言っても0.5㎜もないのに逃げる?

外部寄生と言えばワタクシ的にはヒメコバチ科なんだけど、知ってるヒメコバチは繭を作らずに裸蛹になるので、コマユバチ科かヒメバチ科の可能性が高そう。

繭のカタチ的にはヒメバチのような気がする。

羽化後の繭。

右側の繭は拡げて中を見た。

白いウンチが残されていた。


ではまた

2026年9月12日土曜日

翅のカケラ・・・クロホシウスバカゲロウ

日曜日のお散歩でクモの巣に引っ掛かっていたもの。

脈翅目の翅っぽい。

模様があるみたいなので持ち帰る。

ホシウスバカゲロウ属の後翅みたい。
最大幅は6㎜

黒バック

2021年にでたホシウスバカゲロウ属の論文みたらクロホシウスバカゲロウ寄りの翅に見える。

ただ、無印ホシウスバカゲロウとの差が軽微なので決定しがたい。

似た様なの昔採ってなかったっけ?と標本箱漁ったら一個体だけ採ってた。エライ。

2010年9月5日採集

クロホシウスバカゲロウ
Paraglenurus melanostictus
急いで撮ったからピント回ってなかった。。
体長26㎜、前翅長29mm、後翅の最大幅5.6㎜。

これ、採った当初はホシウスバカゲロウ P. japonicus だと思っていたけど、文献読み直したらクロホシウスバカゲロウのようだ。

論文名は

「Unexpected species diversity of Japanese Paraglenurus (Neuroptera: Myrmeleontidae) based on DNA barcoding and adult and larval morphology」

Japanese Journal of systematic Entomology 27巻1号に載っている。

日本昆虫分類学会のサイトで順次公開されているけど、あいにくこの号はまだ公開されていない。

リサーチゲイトに以前は公開されていたけど、いまは著者にリクエスト送らないと見れなくなってる。

触角

各節の淡色のバンドが目立つのが本種。

ホシのバンドはごく細い。

後脚付節

第5付節の基部1/4から先は黒色のブラシ状の毛に覆われる。

ホシの第5付節は基部からブラシ状なので区別できるようだ。

おまけ

顔

腹端
♂みたいなので、解剖したら確定できそう。

クロホシウスバカゲロウは上記の論文で新種記載されているので、10年前に採っていることになるらしい。

論文の採集記録を見ていくと、お散歩コースの八幡さんで採った記録がある。おやまぁ。

この論文で新種記載されたものにチャバネホシウスバカゲロウというものあるが、これは過去記事で紹介している。↓

「チャバネホシウスバカゲロウ成虫」(←クリックでジャンプ)


ではまた