2025年10月11日土曜日

アオヘリアトキリゴミムシ

見た虫貼るだけ回

9月最後の日曜日に葉上にいたゴミムシ。

アオヘリアトキリゴミムシ
Parena latecincta
ちょっと頭でっかちなアトキリゴミムシの一種。

同属にクロヘリアトキリゴミムシがいるが、図鑑を見る限りでは頭がちょい小さ目な感じ。

背面

アオヘリアトキリゴミムシ
Parena latecincta
照明を当てると青緑っぽい光沢が出る。

頭部背面

先っちょがカギ爪状の平たい大顎。

いもむし毛虫が主食みたいなので、包丁みたいな大顎でスパッと切り裂く感じなのだろうか。

ついでの頭部腹面


同属のヒラタアトキリゴミムシの幼虫はタケノホソクロバの幼虫集団を食べているのを見たことがある。卵も幼虫集団の近くに産み付けていたので、わざわざ餌の近くを選んで産卵しているようだ。

この辺は過去記事で紹介している。↓

「脳筋肉食昆虫(偏見)の母性・・・ヒラタアトキリゴミムシ」

アオヘリアトキリゴミムシも同属なので、同じような生態なのではないかと思う。

ネット上では同属の幼虫がヒロヘリアオイラガの幼虫集団を食べているのを拝見したことがあるので、鱗翅目の幼虫集団ならなんでもよさそうである。


ではまた

2025年10月4日土曜日

ツマグロスケバ

9月最後の日曜日に見た虫。

ツマグロスケバ
Orthopagus lunulifer
コウゾ属の葉っぱに今季初見のツマグロスケバの成虫がいた。

近所ではコウゾのほかにアカメガシワやニセアカシアの青い枝なんかで幼虫を見かけることが多い。

テングスケバ科に属する。

手持ちの図鑑の検索表からテングスケバ科の特徴を抜き書き

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単眼は複眼の下方、頬の凹所にある(頭頂にあるのはセミ、ヨコバイなど)

後脚基節は合着し不動

前翅の爪状部脈は2本でY字状

触角の鞭毛は無節(有節なのはアリヅカウンカ科Tettigometridae

後付節第2節は小さくなく先端は裁断状もしくは彎入し1列の小棘をもつ

状部脈に顆粒を欠く(顆粒を装うのはシマウンカ科Meenoplidae

後翅の臀部に網目状の脈を持たない(網目状なのはビワハゴロモ科Fulgoridae

下唇の末端節は幅より明らかに長い(末端節が幅とほぼ同長なのはハネナガウンカ科Derbidae

状部脈は爪状部の先端に達せず内縁に終わる(爪状部脈が爪状部端に達するのはコガシラウンカ科Achilidae

後脛節端に可動の距がない(可動距があるのはウンカ科Delphacidae

頭部は前方に伸長する

顔に2~3条の隆起線をもつ(顔に1条の中央隆起線をもつのはヒシウンカ科Cixiidae

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持ち帰ったので各部を拡大。全体画像撮り忘れた。

背面

ツマグロスケバ
Orthopagus lunulifer
頭部が長い。

頭部腹面

頭部側面
矢印は下唇末端節(口吻の鞘)、長いですな。

ツマグロスケバ
Orthopagus lunulifer
青丸が2対の隆起線。

青矢印が複眼下部にある単眼。

赤矢印が触角の鞭毛。

触角自体はポリプがたくさん開いたサンゴみたいな形。

ウンカ系はなんかこんな変な形の触角持ちが多い。

前翅・後翅

ツマグロスケバ
Orthopagus lunulifer
最初白バックで撮ったら白い横脈が飛んでしまったので青バック。

丸印が後翅臀部でビワハゴロモでは網状の脈があるそうな。

前翅基半

緑で囲ったのが爪状部で、丸印がY字状の爪状部脈。

矢印が爪状部の終点で先端に達してない。

爪状部脈に顆粒は見当たらない。

後脚先端

略号は以下

c:基節 coxa

tr:転節 trochanter

f:腿節 femur

ti:脛節 tibia

ta:付節 tarsus

青矢印が脛節先端で棘だらけだけど可動の距はない。

赤矢印が第2付節で極端に小さくなく棘列がある。


胸部腹面

ツマグロスケバ
Orthopagus lunulifer
ウンカやヨコバイってよく跳ねるけど、バッタみたいに腿節が太くない。

で、腹面から見たら転節が重要っぽい。

矢印は基節と転節の関節部。

これが

こうなって
こう。

おまけ

採ったのは♂だったので腹端部を観察。

腹端背面

腹端腹面
腹端側面
下半分が交尾器で上側が腹端節。

腹端節を持ち上げる

肛門は腹端節の先っちょにある。

腹端節を外して斜め上からパチリ。

ツマグロスケバ
Orthopagus lunulifer
把握器の間に上向きに二つ折りの挿入器、なのかな。

挿入器先端は交差してるので判りにくいけど、2本ある感じ。

チン〇〇が2本てそんなことある?

把握器の外側中央にもカギ爪があるけど、交尾に役立てているのだろうか?

時間が取れなくて調べきれなかった。


ではまた

2025年9月27日土曜日

洗面所のダニ

いよいよお散歩生き物ネタがなくなってきた。

9月の初めころ、自宅の洗面所の鉢植えの周りに粒々のゴミが落ちていた。

生き物だとするとダニかしらん?

なんやろ?とセロテープにくっつけてフィルムケースに確保しておいたのを思い出して拡大してみた。

ヒメヘソイレコダニ
Acrotritia ardua
体長0.6㎜ほどのダニでした。

ササラダニの仲間で土壌動物である。

洗面所どころか家屋に関係ないダニだった。

血とか吸わずに腐葉土を食べる平和主義者である。

バタバタしてたので最低限以下の同定経過。

軽く解剖。

ササラダニの仲間は前体部(左)と後体部(右)に分かれる。

後体部の腹面には生殖門域と肛門域がある。

ヘソイレコダニ科では生殖門域と肛門域が分かれずに細長い性肛門域となる。で、中央におへそのような構造(結合三角域)がある。

ここら辺までは実体顕微鏡で何とか判る。

あとは光学顕微鏡の世界。

胴感杯と突起の位置が重要らしいけど、写真に残せなかったので割愛。
矢印の桁間毛は長く目立つことと、脚の爪は第1脚が2本、2・3・4脚は3本で両側の爪は細い、ことなどでヒメヘソイレコダニとした。
同属他種の脚の爪は各1本である。

脚部とか細かく撮りたかったけど時間が取れなかった。

ではまた

2025年9月20日土曜日

ナガコバチの一種

 最近のお散歩ネタが枯渇しているので

ハードディスクから貼ってないのをペタリ。

ナガコバチ科の一種
Eupelmidae G.sp.
中脚で跳ねる一族。

2025年4月13日

雨中のお散歩で見かけたヤママユガ科の卵。

種類を確かめるために五つほど持ち帰った。

帰ってから拡大してみたら、寄生蜂が羽化したあとのがほとんどで、無事なのが一個だけだった。

なんてこと。

一縷の望みをかけて保管していたけど、出てきたのが上のナガコバチ。

なので卵の種類は判らず。

上から見て円形に近いからヤママユだと思うけど。

ナガコバチ科の背面

キレイなのでヨシ

正面顔

ナガコバチ科の一種
Eupelmidae G.sp.

私では種類までは判りません。


ではまた

2025年9月13日土曜日

ナシグンバイ

日曜日のお散歩ではこれといったものはおらず。

スマホに止まったコバエを拉致してきた。

体長2㎜。

検索表たどってみたけど小さすぎてよく判らず。

シマバエ科あたりかな?

前翅

科ぐらいまでは判るようになりたいが、道は険しい。


こっちは通勤帰りにマスクについていた判りやすい虫。

ナシグンバイ
Stephanitis nashi
体長3㎜。

中間色バック

腹面
腹端を見るとメスですな。

軍配虫は変な形。

カッコいい角度はこうかな?

ナシグンバイ
Stephanitis nashi
それとも正面か。
ナシグンバイ
Stephanitis nashi
見た虫貼るだけ回でした。


ではまた

2025年9月6日土曜日

オオコンボウヤセバチ

8月最後の日曜日。

ツルがワシャっと絡んだ倒木の暗がりを飛ぶ何か。

写真はないが、シュッとした何か。

ホソムシヒキかな?

おしりの方に白い何かがついてる。。

交尾中のホソムシヒキ?

止まらないのでお散歩ネットで回収したらハチだった。

ワタクシ的に初見のハチ。

以下標本画像

全体

オオコンボウヤセバチ
Gasteruption japonicum
今ひとつなので黒バック
オオコンボウヤセバチ
Gasteruption japonicum
テキトーな撮り方しかしてないからどっちも今ひとつじゃった。

飛んでるときに見えた後方の白いのは産卵管の模様であった。

体長約15mmで産卵管も約15mm。

色々変わった形態なので以下拡大画像。

正面顔

これはまあ普通。

寄生蜂にしては舌が長く、ネットの生態写真では吸蜜に来ている画像がちらほらみられる。

本種はおもにメンハナバチ類やムカシハナバチ類の巣に寄生するそうで、幼虫を捕食して花粉団子も食べるらしい。ツヤハナバチメンハナバチよりずいぶん大きいけど、直列した複数の部屋を利用するみたい。

頭部側面
後頭隆起線がひだ状に隆起する。

前胸側板が発達し、細い首状になる。

頭部ちょい斜めから

オオコンボウヤセバチ
Gasteruption japonicum
頭部背面

産卵管の先端が同じ白色で同属のクボミコンボウヤセバチでは矢印の位置が深く窪み、窪みの両側が突出することで区別できるそうだ。

クボミコンボウヤセバチGasteruption oshimense(オシマコンボウヤセバチから和名改称)は今のところ、伊豆大島と神奈川県で記録されているだけのよう。

ハチの雑誌、「つねきばち31号(2017)」に

「クボミコンボウヤセバチ(和名改称)Gasteruption oshimense Watanabe,1934(ハチ目:コンボウヤセバチ科)のタイプ産地の確定と本州からの初記録」

という報文を参考にした。

探せばあちこちで見つかるんちゃう?とか書かれていたので探せばいいと思う。

胸部背面

オオコンボウヤセバチ
Gasteruption japonicum
点刻がよい。

胸部側面

オオコンボウヤセバチ
Gasteruption japonicum

胸部後方を腹節を持ち上げてパチリ。

腹部は前伸腹節の上部に付着し、後脚基節から離れる。

というのがヤセバチ上科Ebanioidea の特徴。

腹部背面と側面

翅はこんな。

オオコンボウヤセバチ
Gasteruption japonicum
なんというか翅脈も独特

産卵管鞘の先端

暗がりを飛んでいてもここだけ目立っていた。

産卵管の拡大。

後脚
オオコンボウヤセバチ
Gasteruption japonicum
棍棒型の踁節が和名の由来であろう。

なんとなくナマメカシイような?

本土産のコンボウヤセバチにはもう一種、ヒメコンボウヤセバチGasteruption boreale がいるが、産卵管が腹部よりはるかに短いので区別できる。

南の島には別種がいるそうな。



ではまた

2025年8月31日日曜日

モンクチビルテントウ

見た虫貼るだけ

日曜日に見たササの葉の点粒

矢印のとこ。

拡大

モンクチビルテントウ
Platynaspis maculosa
体長3㎜。なんか毛深い。

テントウムシハンドブックの学名は、

Platynaspidius maculosus になっていたが、属名が女性型なので種小名も変更になったらしい。

腹面

モンクチビルテントウ
Platynaspis maculosa
口のあたり。


テントウムシがいたササの葉裏。

アブラムシのコロニーができはじめていた。

ササコナフキツノアブラムシとかその辺の種類だと思う。

1齢幼虫に2型あり、一部はツノが長い兵隊アブラムシになるやつ。

生殖に関与せず、コロニー防衛のためだけの存在。

真社会性の昆虫。

アミメアリが甘露を舐めに来ていた。

一昨年同じ場所でゴイシシジミを見かけたことがある。

チョウチョなのに幼虫が肉食性でアブラムシを捕食する。

ツイッタに貼ったと思う。

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追記

翌週の日曜日、同じササを観察したら本種の幼虫がアブラムシをムシャっていた。

モンクチビルテントウ幼虫
Platynaspis maculosa Larbae
小判型の扁平な幼虫である。

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ではまた