2025年8月16日土曜日

モンキゴミムシダマシの蛹と幼虫のカケラ

前々回の記事↓の余録。

「怪獣の背中的幼虫・・・セモンホソオオキノコ」

食害されて粉々になったキノコの下から出てきたモンキゴミムシダマシの新成虫。

モンキゴミムシダマシ
Diaperis lewisi

セモンホソオオキノコの幼虫と違ってキノコに潜り込んだまま生活するようで本種の幼虫は見逃していたようだ。

蛹が少し残っていたので撮影。

モンキゴミムシダマシ蛹
Diaperis lewisi

腹端に終齢幼虫の脱皮殻(矢印)がついていたので参考のため選り分けてみた。

モンキゴミムシダマシ脱皮殻
Diaperis lewisi

幼虫の胴体には目立つ構造はなさそうで、尾突起も見つからなかった。

(脱落している可能性はある。)

頭部をバラシて拡大。

頭部背面側

大顎
頭部腹面側
右側の小顎はちょっと向きがおかしくなっている。

小顎と下唇の拡大

小顎髭は3節、下唇髭は2節。

大顎とか見ると臼状部が発達しているようには見えないので、切り裂いて飲み込んでいるような感じ?


ではまた


2025年8月9日土曜日

コモンツチバチの♀

貼るだけ回。

8月最初の日曜日、キンモウアナバチの営巣地を眺めていたら。。

模様のはっきりしたツチバチが疾走していた。

見ているとキンモウアナバチの羽化した穴に潜っていったり、出てきたり。

寄生するコガネムシの幼虫を探しているのだろう。

穴に潜ったところで、フィルムケースを被せておいて確保。

背面

コモンツチバチ
Scolia decorata
似たのにオオモンツチバチがいるが、複眼後縁に黄紋があることや、腹部後方の黄紋がつながることで区別できる。

翅脈

コモンツチバチ
Scolia decorata
正面顔
コモンツチバチ
Scolia decorata
舌は短いので、蜜腺の浅いヤブカラシとかの花で吸蜜している。

おまけ

腹面から見た産卵管

コモンツチバチ
Scolia decorata
引っ張り出すと結構長く、2㎜ほどある。


オスのコモンツチバチは一昨年紹介済み↓

「コモンツチバチの拡大画像」


ではまた

2025年8月2日土曜日

怪獣の背中的幼虫・・・セモンホソオオキノコ

7月最初の記事↓

「ちょっと面白い産卵管・・・セモンホソオオキノコ」

このキノコ、アイカワタケではとツイッターでご教示いただいた。

(私では判断できない)

翌週、ネタになるかもと上の方の5㎝程の小さいキノコを持ち帰ってタッパーに詰めておいた。

今回はそのキノコに涌いた幼虫。

2週間ほどで終齢幼虫らしきものが。

セモンホソオオキノコ幼虫
Dacne picta
胞子まみれ。

洗浄して拡大。

頭部背面

個眼は5対まで確認できる。6対かも知れない。


腹部背面には複雑な突起列があり、後方ほど発達する。

セモンホソオオキノコ幼虫
Dacne picta

尾突起を腹部後方から。


おまけの蛹

腹面

セモンホソオオキノコ蛹
Dacne picta
側面
セモンホソオオキノコ蛹
Dacne picta
矢印のところ、触角。

短くて先端が球桿状。

この形状と体長でセモンホソオオキノコの幼虫と蛹に決めた。

背面

背面にはトゲが並ぶけど、幼虫と比べると簡素。

ちょっと斜めから

セモンホソオオキノコ蛹
Dacne picta


ではまた


2025年7月26日土曜日

はにかむ

7月13日のお散歩コース

風に揺れるササの葉裏に何かある。

なにかが孵化した後の卵殻だった。

近くのホオズキを見ると、、、

ホオズキカメムシ
Acanthocoris sordidus
ワックスをまとったホオズキカメムシの幼虫がびっしり。

そういえば5月頃はホオズキカメムシの成虫たくさんいた。

卵殻は本種のものだった。

ナス科植物とセットで見かける普通種である。

卵殻だけ持ち帰って拡大。

ホオズキカメムシ
Acanthocoris sordidus
ペラペラの殻に見えたけど、なにやらハニカム構造がある。

あまり強度には寄与する感じはしないので、ブロック状に殻を形成したときの境界かな?とか思ってみたり。

カメムシに限らずいろんな卵で見られるし。

例えばトビモンオオエダシャクの卵とか。↓

「花びら模様のある卵」


あと、右端の白いのは卵殻破砕器。

カメムシの卵は孵化する際に割れるところが決まっており、幼虫はそこに卵殻破砕器を押し付けて蓋をあけて出てくるそうで。

ストロー状の口しかないカメムシでは必需品の構造である。

成虫の画像探したらほとんど撮ってないことが判明。

今一つな画像である。

2017年10月撮影。

年一化で成虫越冬な感じである。

標本画像

ホオズキカメムシ
Acanthocoris sordidus
腹面

全身もけもけした短毛に覆われる。

標本画像は2019年5月採集の神戸市北区産

カメムシ図鑑3巻にはミナミホオズキカメムシAcanthocoris scaberというのがいて、前胸側角の張り出しとかで別種扱いだけど、交尾器を含めて産地により少しづつ変化しており、同種かも知れない、とか書いてあった。

なので、将来的には記載年の早いミナミホオズキカメムシのscaberにまとめられるかも知れない。

ではまた

2025年7月19日土曜日

虫入り琥珀のもと?

お散歩コースのヨシノザクラ

何年か前からヤニのような樹液が出ているのを見かける。

サクラの樹液と言えばコスカシバの幼虫が食害したときにでるのは知っているけど、太い老木のコブで見かけるのでそれではない。

ナラ枯れ被害が目立つようになってから見かける気がするし、犯人のカシノナガキクイムシは割と手当たり次第に穴を開けるとどこかでみた記憶があるので、サクラの樹液もカシナガの被害から対抗するために出しているのかな?とか思っていたのだが、、、

ネタがないので近づいてみたら、、

お、虫らしきものが埋まってる。

ということで、

いくつかもいできた。

丸印のところに虫。

表面は硬いが、樹皮側とかはネバネバしている。

硬いところもカッターナイフで切れる程度。

琥珀になるまであと数千万年は待たなあかんか。

それはさておき虫の確認。

ニスみたいなもんだろうと思ってキシレンに漬ける。

全く変化がなかった。。。

針葉樹と広葉樹で違うのかな。

で、熱湯に漬けてみると、ぶよぶよになって溶けてきた。

お湯で溶けるようでは琥珀にはならなそうね。。

4・5回繰り替えてして取り出したのが下。

ヨシブエナガキクイムシ
Dinoplatypus calamus
カシノナガキクイムシじゃなかった。

左右がオスで真ん中はたぶんメス。

ナガキクイムシではオスが最初に穿孔してメスを呼び寄せるそうで、メスの体が破損しているのは後からヤニにくっついておしりが食べられたのでは想像してみたり。。。

ヨシブエナガキクイムシはオスの翅端の栓抜きみたいな構造で特徴的な種類である。大きさはカシナガより一回り小さい。

ナラ枯れの被害ではカシノナガキクイムシが有名だけど、ヨシブエナガキクイムシもかなりの割合で食害に加担しているらしい。

色々調べていたら、天敵のルイスホソカタムシに大小2型があって、カシナガとヨシブエにそれぞれ対応しているとかなんとかオモシロイ話がネットに転がっていた。検索したらすぐ出てくると思う。

ナラ枯れで増えたナガキクイが所かまわず穴を開けて、樹液で対抗するサクラに負けたのがこの状態みたい。

おまけ

胸部の拡大

左のメスは艶消し点刻部がある。


ではまた


2025年7月12日土曜日

ひょろひょろカメムシ

日曜日に見かけた虫

走り回る糸くず。

イトカメムシとかヒメイトカメムシとか近縁種がいたけどどっちだろ?

普通種だけどちゃんと確認したことないなぁ、ということで拉致ってきた。

側面

イトカメムシ
Yemma exilis
体長は6㎜ほど。

ヒメイトカメムシMetacanthus pulchollusは体長4㎜前後とこれより小さい。

触角先端は紡錘形で黒褐色、先端は白い。

背面

イトカメムシ
Yemma exilis
翅は腹端に達しない。

ヒメイトカメムシは翅の先端が腹端に届くそうだ。


側面拡大

イトカメムシ
Yemma exilis
他のカメムシと違って、臭腺開口域は細長く鈎状に突出する(矢印)

その前のトゲは小盾板から生えるが、イトカメムシではあったりなかったりするそうだ。ヒメイトカメムシでは普通に生えているそう。

昔の図鑑でトゲのあるなしで分類していたような?

ニセの記憶かも知れない。


背面拡大

イトカメムシ
Yemma exilis
頭部は細長く、単眼は横溝の後方にある(矢印)

ヒメイトカメムシの頭部は短いらしい。

いじってるうちに翅が取れたので外して拡大

イトカメムシ 翅
Yemma exilis

後翅は虹色の干渉色が出ているので

翅の厚みはシャボン膜と同じくらいだと思う。


ではまた

2025年7月5日土曜日

ちょっと面白い産卵管・・・セモンホソオオキノコ

日曜日のお散歩で見たオレンジ色のキノコ

なかなかでかい
幅30㎝ほど。

裏側

ヒダもないし、肉眼的に管孔もないように見える。

カビたか?

あまり硬くなかった。

キノコは難しいので同定放棄。。

キノコが生えていた木はクヌギかコナラで10年ほど前は生きており、中心が朽ちてトゲアリが営巣していた。

近所で見かけるトゲアリはこの木が最後だった。

道から外れたところで生きていてほしいところだけど、ナラ枯れの被害で太いコナラ系は軒並み枯れたのでちと厳しいかも。

ところでキノコにはちっちゃい虫がいたので持ち帰った見た。

セモンホソオオキノコ
Dacne picta
模様があってわかりやすい大きくないオオキノコムシ科の一種。

腹面

以上♂

♂交尾器部分

変な引き出し方になったかも。

こちらは♀背面

セモンホソオオキノコ
Dacne picta
♀腹面

外見上の雌雄差が判らない。。

触角とか前脚跗節とか差がありそうなものだけど、同じである。

強いて言うなら体が♀で分厚い気がする。

写真撮ってなかった。

♀の産卵管

セモンホソオオキノコ
Dacne picta
光顕画像撮る暇なかったのであれだけど、ギザギザ付きの板の列が背腹に一対ずつ4列並んでいた。

パタパタと引っ掛かりながら伸びていく感じ。

キノコの管孔の奥に産卵するのだろうか?


ではまた

2025年6月28日土曜日

キバラケンモンの野外での繭

今週はスマホ画像オンリー。

2週間前の6月15日、

ビワの葉が重なった間で繭を見つけた。

4㎝ほどある、そこそこの大きさ。

繭に毛が織り込んでないのでドクガ系ではなさそう。

今気が付いたけど、繭の下にミズアブ系の幼虫がいる。

蛹が透けて見える程度の繭なので、長期に渡って休眠するような種類ではないだろうと踏んで持ち帰ることにした。

昨日羽化したのがこれ↓

キバラケンモン
Trichosea champa
キバラケンモンだった。

キバラケンモンもどちらかと言うと毛虫系の幼虫だけど、ドクガ科やカレハガ科、ヒトリガ科みたいに毛を繭に織り込んだりはしないようだ。

成虫腹面

キバラケンモン
Trichosea champa
腹部はなにやら肋骨模様。

もう一枚

キバラケンモン
Trichosea champa
名前の由来の「黄腹」は腹部背面の色。

名前を付けるときは展翅標本見ながら名前つけたんだろうなぁ、と思ったり思わなかったり。


幼虫は旧ブログで紹介済み↓

insectmoth.hatenablog.com


ではまた