2025年11月1日土曜日

夏の名残りのオオセイボウ

雨降り明けの日曜日、

濡れた地面に光るキラキラ

タマムシのカケラかと思ったら、どうもハチの腹部っぽい。

持ち帰って拡大。

オオセイボウ
Stilbum cyanurum
いなくなったなぁ、と思っていたオオセイボウだった。

まだお散歩コースにいたんだ。

腹面

薄い腹板に齧られた跡があるので、アリに解体された模様。

側面

オオセイボウ
Stilbum cyanurum
腹端部がわ
オオセイボウ
Stilbum cyanurum
歯状突起は4個。

腹端節前方の普段隠れている部分は点刻というより網目状。


10年ほど前はたまに見かけて標本作った記憶がある。

探してみたが、黒っぽくなっていて時間がかかった。

2005年9月18日採集
オオセイボウ
Stilbum cyanurum

なんと20年前だった。

拾った腹部もそうだが、緑色味が無くなって、青色も藍色に退色している。

間に数回見かけた様な気はするけど、近年は近所では見かけなくなっていた。

腹部側面

見かけの第1節がちょっと違うような気がするが、雌雄差かしらん?

点刻に毛が残っている。

腹端

拾った腹部同様、4歯。


拾った腹部を撮影して翌日。

こちらも乾燥すると、緑色味が消えて藍色に。。

どうもタマムシと違って、色の発現に水分が必要なのかも??


電顕で見たら違うのかな?


ではまた

2025年10月25日土曜日

フタテンチビアツバの交尾器

虫は少ないし、天気は悪いしでネタの供給ができないでいる今日この頃。

冷蔵庫に入れっぱなしだったフィルムケースの蛾を取り出す。

フタテンチビアツバ
Neachrostia bipuncta
蛾の仲間は大雑把に大蛾類(マクロ)と小蛾類(ミクロ)などと分けて小蛾類を専門に集めるヒトを「ミクロ屋さん」などと呼んだりする。

前翅長6㎜のこの蛾も見た目はミクロだけど、ヤガ科なのでマクロである。

今年の5月に八幡さんのガラスに止まっていたもの。

フタテンチビアツバ
Neachrostia bipuncta
ちっちゃいけど小蛾類ではないなぁ、コブガ科とかか?とか思いながらフィルムケースに取り込んだものの、忙しい時期なので放置してしまったもの。

軟化展翅するのもしんどいので、交尾器を取り出して観察することにした。

背面

腹面
側面


バルバを展開して腹面から。
フタテンチビアツバ
Neachrostia bipuncta
Male genitalia

微妙に左右非相称。。

生態画像見るとちょっと羽化失敗してるクサいのでわからないけど、たぶんこうゆうものなのだと思う。


ではまた

2025年10月18日土曜日

クズクビボソハムシがご近所さんになりました。

そのうち来るやろなあ、と思っていたのがもう来た。

先々週の日曜日

お散歩コースのクズの葉に見たことのない食痕。

というかネットでは見たことある不穏な食痕に気付いた。

この日は雨降りのせいか下手人は見当たらず。

次の日曜日。

2024年10月12日
クズクビボソハムシ
Lema diversipes
遠目にはウリハムシだけどちょっと違和感のあるハムシがいた。

久々にお散歩ネットを取り出して確保。

2♀を得た。

クズクビボソハムシは、きべりはむし48(1)「クズクビボソハムシの兵庫県南東部からの追加記録」によると、2016年に東京都で初確認された外来種で、神戸市では東灘区で2021年に確認され、2024年の調査では神戸市中央区から西宮市まで拡がっていることが報告されていた。

一年たったら須磨区でも見つかったので、少しづつ分布が拡がっているようだ。クズが食草だったらそうなるかぁ。

せっかく確保したので拡大画像を残しておくなり。

背面

クズクビボソハムシ
Lema diversipes
色合いはウリハムシだけどクズに付いてるのと首(前胸)が細いのですぐわかる。

腹面

側面
全体的にツルツルしているけど、腹面には金色の毛。

前胸はつまんだように細い。

クビボソハムシ類は皆こんな体形

首じゃないけど、

前胸だけど。

前から見ると

クズクビボソハムシ
Lema diversipes
中胸側板の毛が丸見えで変な感じ。

正面顔

眉間のシワがすごい。

怒ってる?

大顎広げてもう一枚。

クズクビボソハムシ
Lema diversipes
上唇の側縁に毛束があるみたい。

上唇先端も中央がぽちっと突出。


ではまた

2025年10月11日土曜日

アオヘリアトキリゴミムシ

見た虫貼るだけ回

9月最後の日曜日に葉上にいたゴミムシ。

アオヘリアトキリゴミムシ
Parena latecincta
ちょっと頭でっかちなアトキリゴミムシの一種。

同属にクロヘリアトキリゴミムシがいるが、図鑑を見る限りでは頭がちょい小さ目な感じ。

背面

アオヘリアトキリゴミムシ
Parena latecincta
照明を当てると青緑っぽい光沢が出る。

頭部背面

先っちょがカギ爪状の平たい大顎。

いもむし毛虫が主食みたいなので、包丁みたいな大顎でスパッと切り裂く感じなのだろうか。

ついでの頭部腹面


同属のヒラタアトキリゴミムシの幼虫はタケノホソクロバの幼虫集団を食べているのを見たことがある。卵も幼虫集団の近くに産み付けていたので、わざわざ餌の近くを選んで産卵しているようだ。

この辺は過去記事で紹介している。↓

「脳筋肉食昆虫(偏見)の母性・・・ヒラタアトキリゴミムシ」

アオヘリアトキリゴミムシも同属なので、同じような生態なのではないかと思う。

ネット上では同属の幼虫がヒロヘリアオイラガの幼虫集団を食べているのを拝見したことがあるので、鱗翅目の幼虫集団ならなんでもよさそうである。


ではまた

2025年10月4日土曜日

ツマグロスケバ

9月最後の日曜日に見た虫。

ツマグロスケバ
Orthopagus lunulifer
コウゾ属の葉っぱに今季初見のツマグロスケバの成虫がいた。

近所ではコウゾのほかにアカメガシワやニセアカシアの青い枝なんかで幼虫を見かけることが多い。

テングスケバ科に属する。

手持ちの図鑑の検索表からテングスケバ科の特徴を抜き書き

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単眼は複眼の下方、頬の凹所にある(頭頂にあるのはセミ、ヨコバイなど)

後脚基節は合着し不動

前翅の爪状部脈は2本でY字状

触角の鞭毛は無節(有節なのはアリヅカウンカ科Tettigometridae

後付節第2節は小さくなく先端は裁断状もしくは彎入し1列の小棘をもつ

状部脈に顆粒を欠く(顆粒を装うのはシマウンカ科Meenoplidae

後翅の臀部に網目状の脈を持たない(網目状なのはビワハゴロモ科Fulgoridae

下唇の末端節は幅より明らかに長い(末端節が幅とほぼ同長なのはハネナガウンカ科Derbidae

状部脈は爪状部の先端に達せず内縁に終わる(爪状部脈が爪状部端に達するのはコガシラウンカ科Achilidae

後脛節端に可動の距がない(可動距があるのはウンカ科Delphacidae

頭部は前方に伸長する

顔に2~3条の隆起線をもつ(顔に1条の中央隆起線をもつのはヒシウンカ科Cixiidae

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持ち帰ったので各部を拡大。全体画像撮り忘れた。

背面

ツマグロスケバ
Orthopagus lunulifer
頭部が長い。

頭部腹面

頭部側面
矢印は下唇末端節(口吻の鞘)、長いですな。

ツマグロスケバ
Orthopagus lunulifer
青丸が2対の隆起線。

青矢印が複眼下部にある単眼。

赤矢印が触角の鞭毛。

触角自体はポリプがたくさん開いたサンゴみたいな形。

ウンカ系はなんかこんな変な形の触角持ちが多い。

前翅・後翅

ツマグロスケバ
Orthopagus lunulifer
最初白バックで撮ったら白い横脈が飛んでしまったので青バック。

丸印が後翅臀部でビワハゴロモでは網状の脈があるそうな。

前翅基半

緑で囲ったのが爪状部で、丸印がY字状の爪状部脈。

矢印が爪状部の終点で先端に達してない。

爪状部脈に顆粒は見当たらない。

後脚先端

略号は以下

c:基節 coxa

tr:転節 trochanter

f:腿節 femur

ti:脛節 tibia

ta:付節 tarsus

青矢印が脛節先端で棘だらけだけど可動の距はない。

赤矢印が第2付節で極端に小さくなく棘列がある。


胸部腹面

ツマグロスケバ
Orthopagus lunulifer
ウンカやヨコバイってよく跳ねるけど、バッタみたいに腿節が太くない。

で、腹面から見たら転節が重要っぽい。

矢印は基節と転節の関節部。

これが

こうなって
こう。

おまけ

採ったのは♂だったので腹端部を観察。

腹端背面

腹端腹面
腹端側面
下半分が交尾器で上側が腹端節。

腹端節を持ち上げる

肛門は腹端節の先っちょにある。

腹端節を外して斜め上からパチリ。

ツマグロスケバ
Orthopagus lunulifer
把握器の間に上向きに二つ折りの挿入器、なのかな。

挿入器先端は交差してるので判りにくいけど、2本ある感じ。

チン〇〇が2本てそんなことある?

把握器の外側中央にもカギ爪があるけど、交尾に役立てているのだろうか?

時間が取れなくて調べきれなかった。


ではまた

2025年9月27日土曜日

洗面所のダニ

いよいよお散歩生き物ネタがなくなってきた。

9月の初めころ、自宅の洗面所の鉢植えの周りに粒々のゴミが落ちていた。

生き物だとするとダニかしらん?

なんやろ?とセロテープにくっつけてフィルムケースに確保しておいたのを思い出して拡大してみた。

ヒメヘソイレコダニ
Acrotritia ardua
体長0.6㎜ほどのダニでした。

ササラダニの仲間で土壌動物である。

洗面所どころか家屋に関係ないダニだった。

血とか吸わずに腐葉土を食べる平和主義者である。

バタバタしてたので最低限以下の同定経過。

軽く解剖。

ササラダニの仲間は前体部(左)と後体部(右)に分かれる。

後体部の腹面には生殖門域と肛門域がある。

ヘソイレコダニ科では生殖門域と肛門域が分かれずに細長い性肛門域となる。で、中央におへそのような構造(結合三角域)がある。

ここら辺までは実体顕微鏡で何とか判る。

あとは光学顕微鏡の世界。

胴感杯と突起の位置が重要らしいけど、写真に残せなかったので割愛。
矢印の桁間毛は長く目立つことと、脚の爪は第1脚が2本、2・3・4脚は3本で両側の爪は細い、ことなどでヒメヘソイレコダニとした。
同属他種の脚の爪は各1本である。

脚部とか細かく撮りたかったけど時間が取れなかった。

ではまた

2025年9月20日土曜日

ナガコバチの一種

 最近のお散歩ネタが枯渇しているので

ハードディスクから貼ってないのをペタリ。

ナガコバチ科の一種
Eupelmidae G.sp.
中脚で跳ねる一族。

2025年4月13日

雨中のお散歩で見かけたヤママユガ科の卵。

種類を確かめるために五つほど持ち帰った。

帰ってから拡大してみたら、寄生蜂が羽化したあとのがほとんどで、無事なのが一個だけだった。

なんてこと。

一縷の望みをかけて保管していたけど、出てきたのが上のナガコバチ。

なので卵の種類は判らず。

上から見て円形に近いからヤママユだと思うけど。

ナガコバチ科の背面

キレイなのでヨシ

正面顔

ナガコバチ科の一種
Eupelmidae G.sp.

私では種類までは判りません。


ではまた