2018年2月17日土曜日

ノコメトガリキリガの孵化幼虫


以前記事にした、産卵を終えたノコメトガリキリガのお母さん、
(過去記事;「ノコメトガリキリガの卵と交尾器」)
一晩フィルムケースに入れておいたらまだ卵を持っていたようで
10個ほどケース内で産卵していた。
半分ほどは黄色いままで発生が進まず無精卵だったようだが
今週になって孵化してしまった。
ノコメトガリキリガ 孵化幼虫
Telorta divergens first instar larva
体長2mmの糸クズである。
霧吹きの水滴でも放っておくとくっ付いておぼれ死ぬような存在である。
本種の幼虫は与えれば葉っぱも食べるが、基本は花や蕾を好んで食べる。
農業上では「モモノハナムシ」と呼ばれる害虫である。

見た目は一般的なヨトウムシ系の特徴の無いいもむしなので、1齢幼虫での他種との区別はちょっと無理そう。

さて、寒いとはいえ室内で保管して早めに孵化した幼虫をどうするか。。。

そこで、ちょうど良い具合にサクラの花芽があるのを思いつく。
タッパーにつめた腐葉土から先週ナナフシモドキがフライング孵化したので
休日に膨らんだサクラの花芽のある枝を探してきて与えてあったのだ。

サクラの蕾を枝からちぎってフィルムケースに投入。
面相筆で蕾に乗せてやると、早速喰いついた。
餌付け成功。
さすが害虫。

終齢幼虫は旧ブログに貼ってます。
コチラ→「ノコメトガリキリガの♂交尾器」


おまけ
サクラの蕾をかじるノコメトガリキリガ孵化幼虫動画

ではまた

2018年2月10日土曜日

幼虫成分追加(ナガサキムジホソバの幼虫)

種名は判らないけども久し振りにイモケムを見ました。

お散歩コースのお地蔵さん。
スマホ画像、15mmほどの毛虫。

持ち帰って撮り直し
コケガ亜科の1種 Lithosiinae G. sp.
ヤネホソバでもないし、シロホソバに近いようなそうでもない。

***2024年1月20日追記************
その後の飼育でヤネホソバが羽化しました。
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***2024年1月27日追記の追記************
ナガサキムジホソバでした。
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コケガ亜科としたのは、、、
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二次刺毛が多い。
背腺が無い(水色矢印)
腹脚の鉤爪は異規的縦帯(青丸内)
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上記3点でヒトリガ科なのが判る。
あとは地衣の付いてるようなお地蔵さんにいたので
地衣食のコケガ亜科と思った次第。

二次刺毛は一時刺毛以外の余分に生えた毛。
一時刺毛は旧ブログに書いた。↓

背腺はドクガ科幼虫の第6・7腹節背面に見られるおできみたいな器官、と
異規的縦帯など鉤爪の呼称については旧ブログのこの記事、↓
を見てください。

おまけ
顔
コケガ亜科の1種 Lithosiinae G. sp.
わさおくん、、、?

ではまた

2018年2月3日土曜日

これも収斂進化?・・・フサヤスデとカツオブシムシ幼虫

日曜日にツイッターに貼った画像ですが、、、

口が開いたままのトックリバチ類の古巣。
入口が泥で封じていないので営巣放棄されたものと判る。
こんなイイ家を他の生き物が見逃すわけがない。
捲ってみると、、、
ニホンフサヤスデ Eudigraphis takakuwai
植木鉢をどけるとよくいるヤスデとはかなり違った体型である。
スマホ画像では何なので以前撮ったデジカメ画像
ニホンフサヤスデ Eudigraphis takakuwai

フサヤスデ科 Polyxenidae のニホンフサヤスデ属 Eudigraphis なのだが、本属は日本産は1種だが3亜種に分けられていたり、イヤイヤ独立種でない?とか議論はあるようだが、「日本産土壌動物第2版」では1種の扱いなのでそれに倣っておく。
亜種名で言うとウスアカフサヤスデだろうか。

ところでフサヤスデのおしり、画像の矢印部分に毛の束があるのだが非常に抜けやすい。
この毛の束は「尾毛叢(びもうそう) tail brush」といい、その毛は「有枝剛毛 trichome」と呼ぶ。
文献には卵塊の表面に塗りつけて包み外敵から守る、とある。
この毛は非常に絡まりやすく、かつ抜けやすいので自身を外敵から守るのにも使うと思われる。

有枝剛毛の拡大
ニホンフサヤスデの有枝剛毛 trichome
ギザギザの毛の先端に3~4本根元に向いた枝がある。

図鑑にも書いてあったが、フサヤスデのこの形態、カツオブシムシ類の幼虫によく似ている。特にマダラカツオブシムシ属 Trogoderma は機能がよく似た毛束をおしりに持つ。
代表的なのはヒメマルカツオブシムシだけど、あいにく手持ちの幼虫が無かったので同属の、、、
ヒメマダラカツオブシムシ Trogoderma inclusum 幼虫
たまたま会社で飼ってるこの虫のおしりの毛を拡大。
ヒメマダラカツオブシムシ Trogoderma inclusum の槍状毛
より洗練されたような感じ。
槍状の先端の付け根には返しがあってギザギザの毛に絡まりやすい。
細かな形態の違いはあるが、機能的には同じである。
ヤスデと昆虫と言う離れた分類群ではあるが奇妙な一致である。

コレも「収斂進化(しゅうれんしんか)」と言っていいのかな?

ヒメマルカツオブシムシの幼虫にアリンコをけしかけたら一体どうなるかやってみたいのだが、いつも忘れてしまう。

おまけ 以前撮ったフサヤスデの赤ちゃん動画
途中見失ってます。

ニホンフサヤスデ成体の脚は13対あるが、動画のは5対しかない。
生まれたての赤ちゃんは3対しかないそうである。
生まれたての赤ちゃんは定義上昆虫である(ウソ)
脱皮のたびに1対ずつ脚が増えていくそうなので動画のは第3幼期と呼ばれる時期みたい。こういう少しずつ増える変態方法を「増節変態」と呼ぶ。

生まれたての3対赤ちゃん見てみたい。

追記
その後生まれたての3対赤ちゃん見つけたので記事にしました。↓

2018年1月27日土曜日

アシヨレグモの♀

ネタが無いので旧ブログで既出の生き物。。。
アシヨレグモ Weintrauboa contortipes

今回は♀成体。
アシヨレとか言いながら脚が捩れてない。
脚が捩れているのは♂の方。

♂は旧ブログのこちら↓
「今年もお付き合いありがとうございました。」

裏側
アシヨレグモ Weintrauboa contortipes

腹部腹面基部にある外雌器。
ぺろんとした割りと単純な形。
犬の鼻みたいな。。。

クモ類の交接(交尾とは言わない)は、この外雌器に♂が精子を注入して行われる。
♂は特殊化した触肢にあらかじめ精子を移しておき、触肢を使って精子を注入する。

訳わからんことするやつらである。

ところでアシヨレグモはピモサラグモ科 Pimoidae と言う耳慣れない科に属する。
古くはサラグモ科に入れられていたが分けられたようだ。

ネイチャーガイド 日本のクモ 増補改訂版(文一総合出版,2017)では
Pimoidaeにアシヨレグモ科をあてている。
解り易さを優先されたようである。

日本産クモ類(東海大学出版部,2009)という日本産のクモの聖典である分厚い図鑑と、専門の先生がネットに公開されている「日本産クモ類目録 ver.2017R1」(リンク先PDF) ではピモサラグモ科が使われているので、リスト等を作るときはピモサラグモ科を使用する方がいいだろうと思う。

ではまた

2018年1月20日土曜日

外部寄生するヒメコバチ

ネタが無いので過去画像から。
2016年の2月はじめのコナラの枝先、
10mmほどの糸くずみたいないもむし。

拡大して見ると、
ちっこい尺取り虫だった。
十中八九、越冬中のナカウスエダシャクの弱齢幼虫。

この模様の幼虫は過去何度か飼育して皆ナカウスエダシャクが羽化した。

なので、もーいいかな?と思ったけどヨク見たら
背中にゼリービーンズみたいな物を背負ってる。
寄生バエの卵にしてはツヤテカしているので寄生蜂のたぐいかな?

確認のため拉致。
寄生虫と言うと、体内に潜んで食い荒らす、みたいなイメージを持っていたけど、
中にはこんな種類もいるようだ。

外にいたら振り落とされたりして不利なような気もするが、
中にいても宿主の血球に取り巻かれたり、他の寄生虫に攻撃されたりすることもあり、
体内は体内でそれほど安全と言うわけではなさそう、という話だ。

で、上の幼虫の10日後、こうなった。
尺取り虫は萎びてしまい、幼虫のいたところは透明な抜け殻だけ。
ねじれた不思議な塔が立っていた。
蛹のようなそうでないような?

その9日後、体長2mmのハチが羽化。
ヒメコバチ科の1種 Eulophidae gen.sp.
裏側
ヒメコバチ科の1種 Eulophidae gen.sp.
短い針(産卵管)が見えるから雌みたい。
ねじれた茶色い塔はどうやら蛹化時に出した糞だった。
ハバチなどを除くハチの幼虫は糞をしないで蛹化時に一度に糞を排出する。
極端な便秘体質ですな。

図鑑の解説。
附節は4節、前脚脛節距は短く曲がらない、
中脚脛節距は短く細い、触角は少なくとも9節は明瞭
etc.・・・
寄生のパターンは、
トンボ、バッタ、カメムシ、甲虫、ハチの卵寄生。
甲虫の卵-幼虫寄生。
ヨコバイ、カメムシ、アミメカゲロウ、ハエ、ハチ、甲虫、鱗翅目の幼虫寄生。
クモの卵の過寄生などがあるそうな。
日本の記録だけで32属約130種の記録がある。

種までの同定は私には無理。。。

おまけ
蛹はミイラ化した尺取り虫をめくると殻があった。
左がおしり方向。
なんか鉄人28号のコントローラーみたいな突起がついてる。???

ではまた

2018年1月12日金曜日

ノコメトガリキリガの卵と交尾器

去年の暮れ(12/23)、ツイッターに貼ったヤツ
ノコメトガリキリガ Telorta divergens ♀
サクラの幹に卵を産み散らかしていた。。
産卵直後の卵は薄黄色。
数種類しか見たことないが、ヤガ科の卵は大体そうで
数日経つと着色する。

年明けて初散歩の1月2日、様子を見ると
矢印部分の卵は着色して鉢巻き模様が出ているが、一部そのままのがある。
交尾が完全でなく、すべての卵を受精できなかったのだろうか?

さて、

卵産んだからもういいよね?と連れ帰ったメスの交尾器を観察。
ノコメトガリキリガ Telorta divergens ♀genitalia
交尾嚢(画像下方の透明な袋)が綺麗であまり濁っていない。

こちらは以前採った分の♂交尾器
ノコメトガリキリガ Telorta divergens ♂genitalia
上図はファルス(エデアグス)を外した状態。
ファルスはこちら。
ノコメトガリキリガ Telorta divergens ♂phallus
内袋(ベシカ;vesica)を反転させるとこんな形。
ノコメトガリキリガ Telorta divergens ♂phallus
先端に1本のコルヌツス(cornutus,刺状の硬化部)がある。

こちらも別の日に採った♀の交尾器
ノコメトガリキリガ Telorta divergens ♀genitalia
こちらの交尾嚢は内部が濁っていて交尾が問題なく終了した感じ?
あと、ドゥクツス・ブルサエ(ductus bursae,交尾口から交尾嚢までの管状部)の形状が反転した♂の交尾器と同じ形状なのがオモシロい。
この♀の交尾嚢には♂のコルヌツスが残されていた(下画像矢印)。

ではまた

2018年1月1日月曜日

戌年にちなみまして・・・イヌビワハマキマドキ

12年前に使った画像・・・

え~さてさて
お散歩コースで見る蛾の中で「イヌ」がつくものを探してみました。
2005年の5月に飼育羽化したもの。
イヌビワハマキモドキ Choreutis japonica
名前の通り幼虫はイヌビワを食す。
イヌビワの展葉前の巻いた葉っぱを糸で綴って巣にします。
こんな感じ。
イヌビワハマキモドキ Choreutis japonica の巣
特徴的なのでほぼ本種と同定してよい。
同じハマキモドキガ科で開いた葉っぱに糸を貼って巣にする種類がいる。
タイワンオドリハマキモドキ Brenthia formosensis という種類だが、
こちらは旧ブログで紹介してます。
こちら-->「神戸のタイワンオドリハマキモドキ」

今年も週に1回くらいは更新する感じで行こうかと思います。

ではまた