2021年7月17日土曜日

種を引きずるヨコヅナツチカメムシの幼虫

ちょっと前、7月4日のお散歩中。

なにやら組んずほぐれつしている虫がいた。


見たことないツチカメムシが白い種を運んでいるところだった。

高校の通学路なのでスマホでパシャパシャ撮って虫を確保。

拡大。

よく見たら幼虫だった。老眼不便。。

後翅の翅芽もあるから5齢(終齢)幼虫である。

ここら辺の齢期の区別は、

「図説カメムシの卵と幼虫(養賢堂,2004)」に詳しい。

以前買った本が10数年の時を経て役にたった。


さて、大きな幼虫なので候補はツチカメムシかヨコヅナツチカメムシ。

以前はよく見たヨコヅナツチカメムシは最近とんと見たことがなく、ずいぶん減ってしまったのでツチカメムシの方だろうか。

2種の区別は触角の節数で可能である。

触角4節…ヨコヅナツチカメムシ Adrisa magna

触角5節…ツチカメムシ Macroscytus japonensis

腹面

ヨコヅナツチカメムシ Adrisa magna

触角4節なので、ヨコヅナの方だった。

腹面は、ほぼゴキブリですな。


運んでいた種子

なんだろ?ヤマウルシあたり?

種皮も割れてボロボロだった。


ツチカメムシの仲間は種子を運んで落ち着いた場所で食事をする習性があるそうで、ヨコヅナツチカメムシでは成虫が運んでいるのを見たことがある。

幼虫も同様の習性があるのは今回初めて知った。

15年前の旧ブログの記事になるが、ヨコヅナツチカメムシの成虫が種子運びしている記事を書いている。↓

成虫になると大きいだけあって、カキの種やヤブツバキの種を引きずっていくことのを見たことがある。

insectmoth.hatenablog.com

今回は幼虫も同様の行動をすることが判ったので記事にした。


ではまた

2021年7月10日土曜日

ナラ枯れについてくるもの

お散歩コースのナラ枯れは、最近では常緑カシ類にも拡がっている。

アラカシやウバメガシも穴だらけ。

でもコナラのようにドンドコ枯れたりはしない感じ。

将来的には判らないのでボチボチ観察する所存。

今のところ、アラカシが数本枯れたのは確認している。


さて、梅雨時の暗い林を歩いていると、

粉を吹いたウバメガシの幹を変な虫が歩いていた。

ヘタレなので生態写真は採らずにすぐ確保。

図鑑でしか見たことがないワタクシ的初見の虫。

ルイスホソカタムシ
Gempylodes ornamentalis

腹面


前胸の関節の自由度が高い。

前胸の中央に深い陥入孔がある。なにゆえ?

頭部腹面

変な顔。

現在の所属はアトコブゴミムシダマシ科 Zopheridae のようだ。

キクイムシ類の捕食者だそうで、以前は珍品だったが最近はナラ枯れ林で増えているらしい。

基本、夜行性らしいが雨が降りそうな暗い空だったせいか、昼間でもうろついてたのかも知れない。


こんなのもいた。ナラ枯れのコナラにいた。

ニッポンツノヤセバチ
Parastephanellus matsumotoi

ひょろいのに後脚だけがモリモリしている。1枚撮ってすぐ確保。

ツノヤセバチ科 Stephanidae という小さなグループに属する。

こちらは捕食者ではなく寄生者。

やはりキクイムシ類につくそうだ。

側面

ニッポンツノヤセバチ Parastephanellus matsumotoi
後脚基節がやたらと長い。

産卵管を入れて撮ると小さくなってディティールが。。

胸部背面

印刻があまり見ないパターン。

カッコよし。


頭部・胸部側面

おでこのトゲがツノヤセバチ科の特徴。

翅

後翅の翅脈は1本だけ

腹端

背板先端は二叉状。産卵管のガイド的なヤツ?

前胸背板も二叉状。


頭部背面

何とも言い難い顔。

顔、前から

ほっぺたぷっくり三角おむすび顔。

たぶん筋肉が詰まってるんだと思う。

大顎もどことなく変な形。やっとこ型?

産卵管の先端

・

・

・

他にもナラ枯れが目立ちだして見るようになった虫に、キマダラヒロクチバエとマルマダラヒロクチバエがいるんだけど、関係しているかは不明。

ナラ枯れの幹に集まっていたりするので絶対何か関係していると思うんだけど、誰か調べたりしないかな?

かな?


ではまた

2021年7月3日土曜日

マダラホソトガリヒメバチ

先々週見たハチ。

2021年6月20日
マダラホソトガリヒメバチNematopodius oblongus

触角と後脚付節の先が白く、ピコピコ目立つ。

写真撮って名前が判らないのも何なので採集。

いつものヒメバチサイトでぱらぱら絵合わせ。

で、

マダラホソトガリヒメバチにそっくりなので、念のため同属に何種いるか「日本産ヒメバチ目録 Check list of Japanese Ichneumonidae」で確認。

上記のサイトは移行中とのことで移行先は愛媛大の中みたい。

コチラ↓(タイトルはいっしょ)

http://web.agr.ehime-u.ac.jp/~entomology/mokuroku/index.html

で、同属は何種かいた。

マダラホソトガリヒメバチNematopodius oblongus とか

ニセマダラホソトガリヒメバチNematopodius flavoguttatus。

この2種については国会図書館デジタルコレクションで「Notes on Nematopodius」で検索したら昆蟲(東京昆虫学会)の雑誌に検索があった。

記事のタイトルは「NOTES ON NEMATOPODIUS (NEMATOPODIUS) FLAVOGUTTATUS UCHIDA, WITH DESCRIPTION OF A NEW SPECIES FROM JAPAN (Hymenoptera : Ichneumonidae)」

英文なので斜め読みして、どうもニセじゃない方だと結論付ける。

本属には3種いてもう1種クシゲマチホソトガリヒメバチというのがいるが画像は見当たらないし、分布が奄美大島なので除外した。

以下、採集したマダラホソトガリヒメバチの拡大画像。

背面

マダラホソトガリヒメバチNematopodius oblongus


腹面

マダラホソトガリヒメバチNematopodius oblongus


翅

小さな鏡胞があるように見えて、ない。外側が開いている。


胸部背面

前伸腹節の印刻は「人」


胸部側面

Epicnemial carinaが上まで伸びているかいないかが違うとかなんとか。

ニセでは複眼後方の白斑がつながっていたり、胸部側面の白斑も大きいようだ。


顔



産卵管



この属はジガバチモドキ類に寄生するそうだ。

ではまた 

2021年6月26日土曜日

ウンナンヨツボシホソバの♂交尾器

日曜日、ネムノキは未だ蕾じゃのう、と見上げていると、

ヨツボシホソバらしきもの。

最近、日本のヨツボシホソバはヨツボシホソバとウンナンヨツボシホソバの2種に分かれた上に、外観ではほとんど区別できないという鬼畜仕様の普通種になってしまったので、ちょっと持ち帰ってみた。

以前見たときはヨツボシホソバに落ち着いたのだが、交尾器を見るとウンナンヨツボシホソバになってしまった。

同所的に分布するとは困ったことである。

いちいち交尾器を見ないと確実なことが言えないではないか。

で、その交尾器。

ウンナンヨツボシホソバ Lithosia yuennanensis
♂genitalia
ファルス(挿入器)は除いてある。

反転した挿入器

ウンナンヨツボシホソバ Lithosia yuennanensis
♂genitalia

*************記号説明**************

sl:sacculus サックルス。バルバ腹縁部基半の硬化部。

un:uncus ウンクス。第10腹節背板起源の遊離突起。

hrp:harpe ハルペ。バルバ内面の腹方にある硬化部。日本原色蛾類図鑑(保育社)ではサックルスの基方から伸びる硬化部にはclasperが当ててある。どちらかよく判らん。

cor:cornutus コルヌツス。ベシカ(エデアグス内部の膜質部)に生じる刺状の突起。複数形はcornuti。

↑2021.6/28 括弧閉じの位置を修正しました。

************************************

蛾類通信No.161261に2種の区別点があるので参考にしてみる。

バルバ(valva 把握器)のサックルス先端のトゲはヨツボシホソバでは上方に向くが、ウンナンヨツボシホソバでは後方に向く。

ウンクスはヨツボシホソバでは太く、ウンナンヨツボシホソバではより細い。比べたら判る。

ハルペの形も違うようだ。

コルヌツスはヨツボシホソバでは基部の幅の3倍以上の長さがあるが、ウンナンヨツボシホソバでは小さく、基部の幅の2倍程度。


個体変異もあるかもしれないので全面的には信用しないでくださいな。


旧ブログにヨツボシホソバの♂交尾器と♀交尾器の記事を書いているので参考にどうぞ。↓をクリック。

insectmoth.hatenablog.com

insectmoth.hatenablog.com

ではまた

2021年6月19日土曜日

複眼回・・・キスジアブ

 日曜日に私的初見のこんなアブがいた。

キスジアブ Tabanus fulvimedioides ♀

アブ類ではやや小型。

複眼が緑色で3本の横紋があり、単眼瘤はないのが特徴。

背面

キスジアブ Tabanus fulvimedioides ♀
腹部第2節の両側に橙褐色斑がある。


腹面

キスジアブ Tabanus fulvimedioides ♀
前翅
キスジアブ Tabanus fulvimedioides ♀
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

1b:第1基室、2b:第2基室、d:中室、r5:第5径室

R:径脈、M:中脈

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

以下、手持ちの図鑑情報。

R4脈に小枝がない。(青矢印のところ)

第5径室は広く開き狭まらない。(赤線部分)

腹部第2節以降の各背板に三角形の灰黄色中央斑と細い後縁斑があり、第1~3節腹背板に橙褐色の側斑がある。

近縁種のヒメキスジアブT. fulvilineus は腹部第2節の側斑がなく、腹背の前部ほど淡黄褐色で後方は黒褐色になることで区別されるそうだ。

ヒメキスジアブの分布は本州中部以北と九州の阿蘇地域、キスジアブは北海道、本州、四国、九州に普通。

砂丘地や草地、畑地で多発することがあるとか。

うちのお散歩コースは住宅地から即、山地になるので今まで見たことがなかった。砂防堰堤の砂地で細々と生息しているみたい。

両種とも人を刺咬する。


複眼に3本線があるものにジャーシーアブやキボシアブ(Hybomitra属)がいるが、単眼瘤を持つことでキスジアブ類と区別できる。

ヒゲナガサシアブ属(Isshikia)は複眼に3本線があり、単眼瘤も持たないが、触角第3節の背突起が非常に長くなることでキスジアブ類と区別できる。


などと、「原色ペストコントロール図説第2集」に書いてあった。

おまけ

顔

キスジアブ Tabanus fulvimedioides ♀

複眼はいいぞ。

触角第3節の基部は尖るのみである。


ではまた

2021年6月12日土曜日

反転した交尾器の乾燥標本・・・コガネムシ

 6月最初の日曜日。

今期初見の無印コガネムシ。

コガネムシ Mimela splendens ♂

今風に言うと、
シン・コガネムシ?

コガネムシ Mimela splendens ♂


さて、交尾器の形状で分類するのはよくある方法である。

一昔前は交尾器の外形だけで検討されていたが、最近では内部の膜質部(交尾の際に反転して精子を注入する部分)の構造も検討されるようになってきた。

コガネムシはそこまでする必要もなく判るのだが、

コガネムシは適度に大きいので試しに確認してみた。

交尾器を取り出して、10%苛性カリ水溶液で10分煮て筋肉を溶かす。

その後、先を曲げた柄付き針でちまちまと膜質部を引っ張り出したのがコチラ。

コガネムシ Mimela splendens 
♂ genitalia

先の膨らんだ複雑怪奇な内袋が出てきた。


大きいし、割と丈夫そうな膜質部なので膨らませたまま乾燥してみた。

こんな感じ↓

金魚のブクブク(エアーポンプ)にピペットの先を固定して空気を吹き込みつつ膨らんだ状態のまま乾燥。


いっちょあがり

左側面

コガネムシ Mimela splendens 
♂ genitalia

右側面

コガネムシ Mimela splendens 
♂ genitalia


上から

コガネムシ Mimela splendens 
♂ genitalia

後方から

コガネムシ Mimela splendens 
♂ genitalia

先が二股になってるし、交尾中はめったなことでは抜けないだろう。

たぶん種類ごとに形が違うんだと思う。


ではまた

2021年6月5日土曜日

マエグロマイマイの蛹

 ちょっと前のツイート

この個体はなんとなく持ち帰って飼育していた。

落ちていたから何かに寄生されているかも?

と思っていたら、今朝蛹化していた。

マエグロマイマイLymantria xylina nobunaga
Female Pupa
おざなりなハンモック状の繭である。

マイマイガの蛹と似ているが、二次刺毛の色がピンク色。

前胸と中胸の毛は黒色。

マイマイガの蛹の毛は褐色だった。

マイマイガよりほんの少しおしゃれである。

マエグロマイマイLymantria xylina nobunaga
Female Pupa
中胸の肩の部分に艶消しの黒い模様がある。
この模様はマイマイガにもカシワマイマイにもなかった。


こういうマットブラックな模様のある蛹は以前みたことがある。

エグリイチモジエダシャクの蛹がそうだった。

旧ブログで記事にしているので 興味ある方は以下をクリック。

insectmoth.hatenablog.com

 

マエグロマイマイの幼虫はこちらの旧ブログの記事にある。

insectmoth.hatenablog.com


おまけ
正面から見たマエグロマイマイの蛹
ちょび髭生やしたアザラシの赤ちゃんみたいな?

ではまた